【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1373話 タカシ=ラスカル『ヴァース・スタイル』

公開日時: 2024年5月4日(土) 12:26
文字数:1,392

「ぐっ……! ひ、【ヒール】……!」


 俺は全身傷だらけになりながらも、何とか治療魔法を使う。

 傷を癒やし、体力を回復させた。


「はぁ……はぁ……」


「ほう? 俺のタックルを耐え抜いたか」


 俺の目の前には、岩の鎧を着た男が立っている。

 この男は幻影だ。

 俺は今……『霧隠れの里』の地下遺跡にいる。

 巫女イノリが発動した特殊な術により、並行世界の俺と戦わされているのだ。


「器用貧乏のお前では、これほどの土魔法は発動できまい。……どれ、さらなる高みをみせてやろう。はあああぁっ!!」


 幻影が魔力を解放する。

 すると、彼の岩鎧の周りにさらなる岩が付着し始めた。


「なっ!?」


「硬いだけが、岩鎧の取り柄ではない。いくつもの特性を持った多重構造にすることで、総合的な耐久度が増すのさ。お前程度には難しい話だったかな?」


「こ、この……っ!!」


 幻影の煽りに憤る俺。

 だが、激昂したところで状況が改善するわけではない。

 彼の一層目は、ダイアモンド並みの硬度の鎧だった。

 そして、二層目は――


「これこそが俺の【フェルゼン・アバランチ】だ! この岩石の外郭は、たとえ砕かれようと一瞬で修復される! そしてこの拳は……鉄をも砕くのだ!!」


 そんな言葉と共に、幻影が殴りかかってくる。

 速い!

 いや、これは……!!

 かなり速い!!!


「うおおおおっ!?」


 俺は必死で避けた。

 そうしなければ、死んでいたからだ。

 二重構造の岩鎧……。

 相当な重さがあるはずなのに、それを全く感じさせない素早い動き。

 並大抵の身体能力ではない。


「ほう? 意外に動ける奴だな」


 幻影が笑う。

 そして、さらに魔力を高めた。


「では、俺の第三段階を見せてやろう! こおおぉ……!!」


 幻影の岩鎧がさらに進化する。

 一層目は、ダイアモンド並みに硬い岩。

 二層目は、硬度はほどほどだが、再生機能付きの岩。

 そして、三層目は――


「刮目しろ、これこそが【夜叉粘土闘衣】!! そしてくらえ! 必殺のぉぉーー!!」


「っ!!」


「【ボンバー・ナックル】!!!」


「ぬおおおおおぉっ!?」


 俺は岩鎧の突進を必死に避ける。

 粘土のように柔らかい表層が、彼の動きをサポートしているのか?

 先ほどまでよりもさらに速くなっていた。

 おそらく、ダッシュの際に魔力で粘土を操作しているのだと思われる。

 岩鎧の総質量は増加しているはずなのに、その動きはこれまで以上に的確で素早い。


「お前に勝ち目はないぞ! 俺はタカシ=ラスカル『ヴァース・スタイル』! 浮気者のお前を成敗してやろう!!」


「くっ……! き、近距離では分が悪すぎる……」


 俺は距離を取る。

 遠距離攻撃で仕留めるしかない。

 岩鎧を纏っているとは思えない彼の素早さであっても、逃げに徹した俺に追いつけるほどではないはずだ。


「くらえっ! 【ブランチスピア】!!」


 俺は魔法を放つ。

 植物魔法の『ブランチスピア』だ。

 初級魔法で威力は弱い。

 だが、土魔法に対しては相性が良いのだ。

 これで多少の牽制には――


「甘いぜっ! 【フィンガー・ファイアー・アロー】!!」


「なっ!?」


 また新手の幻影が参戦してきた。

 彼の放った炎の矢は、『ブランチスピア』をあっさり撃ち落とした。

 飛んでいる魔法を射抜くなんて、とんでもない技量の弓術だ。


「くたばれ! 【極技・千本桜】ぁ!!」


「う、うわあぁぁっ!?」


 幻影が千の弓矢を繰り出す。

 俺は全力で回避した。

 だが……。


「ぐうぅ!? がああぁっ!!」


 俺の全身に矢が刺さっていく。

 無数の矢が、俺の全身を蹂躙していった。

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