【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1624話 景春への贈り物

公開日時: 2025年1月11日(土) 12:10
文字数:1,171

「ずいぶんと強気じゃないか、景春。それ相応の覚悟があってのことなんだろうな?」


「ふん、吠えるな謀反者め。貴様が余に手出しできぬことは分かっているのだ」


 景春は俺を睨みながら、そう告げる。

 桔梗や早雲が動きかけるが、俺はそれを目で制した。

 元藩主との問答だ。

 完全に論破して、俺の正当性を強めておこう。

 そして、この期に及んで自らを『余』と呼称する景春の心を完膚なきまでに砕きたい。


「手出しできない……だと? それはどういう意味だ?」


「そのままの意味だ。貴様は人の『死』を異常に忌避している……。それだけでなく、拷問なども嫌っている。そうだろう?」


「……」


「牢で目覚めたときには、余も終わりを覚悟した。しかし、貴様は余を処刑するどころか、拷問にかけることすらしなかった」


「……」


 俺は沈黙を貫くが、それは事実だ。

 謎の呪いにより、俺は他者を殺害できない。

 それに、落城後に発覚したとある事実により、俺は景春へ拷問責めすることもできなくなった。


「実に快適だったぞ? 何もせずに食事が運ばれてきて、何の苦労もなく生活できたのだからな」


「……」


「殺されず、拷問されることもない……。そう確信できる者が相手なら、何も恐れることがある? 快適な牢の中でゆるりと作戦を練り、忠臣と結託していずれ貴様を排除すればいいだけのこと。簡単なものだ」


「……」


 俺は沈黙を続ける。

 景春の言っていることは全て事実だ。

 しかし……。


「残念だったな。お前の理解はズレている」


「なんだと?」


 景春が俺を睨む。

 俺はニヤリと笑い、続けた。


「いったいいつから、俺がそれほど甘い男だと勘違いしていた? 拷問も処刑もせずに、ただ放置しておくとでも?」


「強がりはよせ。先の戦いでも、ここ最近の余への待遇を見ても、貴様の甘さは明らかだ。貴様に余を排除することはできん」


「ほう? 面白いことを言うな。ならば……」


 俺はパチンと指を鳴らす。

 すると、傍らから数人の黒子が歩み出た。

 顔は隠しているが、その正体は闇忍だ。

 黒羽や水無月もいる。


 彼女たちは、移動式テーブルを景春の前まで運んでいく。

 その机の上には、1つの箱が乗せられていた。

 各辺が40センチぐらいの立方体の箱だ。

 フタ付きの開閉式だが、今はヒモによってフタが閉じられた状態である。


「さて、景春。その箱はお前への贈り物だ。遠慮せず開けてみろ」


「……?」


「ああ、もちろん『開けたらドカンと爆発する危険物』などではないぞ? それは保証しよう」


「ふん……。この期に及んでつまらぬ駆け引きだ。物品で余を懐柔する気か? それとも、醜い虫でも見せて嫌がらせをするつもりか?」


「開けてみてのお楽しみさ」


「……いいだろう。開けてやる」


 景春はテーブル上の箱に近づく。

 そして、箱のフタを押さえていたヒモをほどく。


「なっ……!? こ、これは……っ!!」


 景春が息を呑むのが分かった。

 箱の中にあったものとは……

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