【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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1338話 カゲロウ【ミティたちside】

公開日時: 2024年3月29日(金) 12:40
文字数:1,524

「ふん……。他愛のない……」


 ミティが吐き捨てる。

 召喚された多数の式神は、ミティたちによって無事に撃破された。


「くっ……。つ、強い……」


 国境警備隊の者たちが唇を噛む。

 彼女たちは、これまでにも侵入者の撃退に力を発揮してきた。

 しかし、今回の敵は彼女たちにとって強すぎる。


「さあ! 大人しく投降しなさい!!」


 ミティが降伏を呼びかける。

 すると……。


「まぁ待ってくれよ。私の可愛い部下をいじめるのは、そこまでにしてくれないかい?」


 警備隊の後方から、声が聞こえてきた。

 声のする方を見ると……そこには1つの人影があった。

 年齢は20代前半くらいだろうか。

 黒髪をポニーテールにした、背の高い美女である。


「カゲロウ様……」


「君たち、もう下がっていなさい。ここからは私が対処しよう」


「し、しかし……」


「いいから、ね。君たちの妖力はすでに空っぽだろう? そんな状態では、この者たちに対処することはできない。ただの足手まといにしかならないのさ。分かったら下がりなさい」


「は、はい……」


 警備隊の者たちはカゲロウに言われるがまま、後ろに下がっていく。

 そして、音もなく姿を消した。

 警戒態勢に入るミティたちに、カゲロウが告げる。


「いやぁ、それにしてもお見事だね。『鏡像カウンターアバターズ』があれほどすぐに倒されるとは思わなかったよ」


「あの程度、私たちにとっては造作もないことです」


「そうかい? しかし、頭では理解していても、なかなか踏ん切れないものだと思うよ。自分の鏡像が仲間に倒されるって状況はね」


「…………」


 カゲロウの言葉に、ミティが押し黙る。

 実際、的外れな指摘ではないからだ。

 戦闘開始直後は、自然な形でそれぞれが自身の鏡像と戦っていた。

 無意識レベルで、『自分の鏡像が仲間に倒される』という状況を回避しようとしていたのかもしれない。

 カゲロウはさらに続ける。


「君たちは本当に強い。早めに倒したとはいえ、鏡像との戦いでの消耗は無視できないものだったはずだ。それなのに、続けて多数の式神を一蹴するとはね。驚嘆に値する戦闘能力だ。歴代の侵入者の中でも間違いなく最上位。部下に欲しいぐらいだよ」


「…………」


 ミティたちはカゲロウの言葉を聞きながらも、警戒を緩めない。

 そんな彼女たちの様子を見て、カゲロウが肩をすくめる。


「やれやれ……、そんなに警戒しないでくれ。今さらだが自己紹介でもしておこうか。私はカゲロウ。『霧隠れの里』を束ねる者だよ」


「霧隠れの里……。噂には聞いておったが、本当に存在したのでござるか……」


 蓮華が呟く。

 カゲロウはニヤリと笑った。


「織田家の重臣、東雲家の者か。君に知られているとは光栄だね。それに神宮寺家の三姉妹もいるし……。人外レベルの異国の強者が9人に、人外そのものの存在が3人……。絶対に放置はできない集団だ」


「…………」


 ミリオンズ一行が警戒を強める。

 さすが、『霧隠れの里』を束ねる者なだけはある。

 蓮華や雪月花の出自を把握しているばかりか、ミティやアイリスたちの戦闘能力を適切に評価し、その上ティーナやドラちゃんの正体までをも薄っすらと察しているらしい。


「即刻にこの国から立ち去ってほしい」


「できません……と言ったら?」


「実力を行使させてもらおう。……と言いたいところだが、いくら私でも君たち16人を同時に相手取ることは難しい」


「ならば、さっさと降伏しなさい。私たちの入国を認めた上で、必要な情報を提供すれば命までは取りません」


 ミティが降伏勧告をする。

 しかし、カゲロウは首を横に振った。


「それはできないな。私はこれでも責任ある立場なのでね。……そこで提案したい。遊戯で決着をつけないか?」


「……遊戯ですって?」


 ミティが訝しむ。

 果たして、カゲロウが提案してくる遊戯は……。

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