【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1326話 同行願い

公開日時: 2024年3月17日(日) 12:05
文字数:1,244

 俺はメルティーネに案内され、王城の客室に入った。

 特殊な構造により、地上と同じような環境が再現されている部屋だ。

 中のソファに、俺たちは向かい合うように座る。


「改めて言っておこう。メルティーネ、今日は本当にいい一日だったよ」


「はいですの。私も、ナイ様とご一緒できて楽しかったですの」


 俺の言葉に、メルティーネが嬉しそうに答える。

 彼女は少し逡巡してから、口を開いた。


「あの……。ナイ様は、これからどうなさるおつもりですの?」


「ヤマト連邦に向かうことになる」


 俺は即答する。

 メルティーネはうなずいた。


「やはり、そうなりますよね……。でも、どうしてヤマト連邦に?」


「それは……」


 俺は少し考える。

 メルティーネには、俺が与えられている使命を伝えていない。

 超常の存在から与えられたミッションの件も、サザリアナ王国のネルエラ陛下から与えられた指令の件も……。

 それに、俺がサザリアナ王国の貴族であることも伝えていないし、俺の本当の名前すら……。


「すまない。俺がなぜヤマト連邦に向かうのかは、言えないんだ。色々と込み入った事情があってな」


 俺は素直に打ち明ける。

 メルティーネを信頼していないわけではないのだが……。


「そう……ですか……」


 彼女は残念そうな顔をする。

 しかし、すぐに顔を上げた。


「なら、私もナイ様に同行させてほしいですの」


 メルティーネは言う。

 彼女の言葉には、どこか必死さが感じられた。

 俺は少し驚いてから、彼女に尋ねる。


「それは……本気で言ってるのか?」


「はいですの」


 メルティーネはうなずく。

 その目は真剣だった。

 しかし……。


「メルティーネ……。俺は、君をヤマト連邦に連れて行くつもりはない」


「!」


 俺の言葉に、彼女はビクリと身を震わせる。

 その目は見開かれていた。


「理由をお尋ねしても?」


 震える声で、メルティーネは尋ねる。

 俺は正直に答えることにした。


「ヤマト連邦という国がどんなところか、俺は知らない。そして、メルティーネも知らないだろう? そんな危険な場所に、メルティーネを連れて行きたくない」


「でも……。それでも私は……」


「ダメだ。百歩譲って、俺の領地なら構わないけどな。それでも、正式に国交を結んでからだ」


 俺はメルティーネの言葉を遮る。

 そんな俺の態度に、メルティーネは少しムッとしたようだった。

 しかし、一拍遅れて彼女はハッとなる。


「もしかして、ナイ様は人族の国王ですの?」


 メルティーネが質問する。

 ……俺の言葉のわずかな情報を見逃さないとは、やはり王女様だ。

 のほほんとしているように見えて、鋭いところもある。


「俺はサザリアナ王国の国王ではない。だが、貴族ではある。男爵って言ってな……。ぼちぼちぐらいの地位だが」


 俺は答えた。

 メルティーネは意外そうな顔になる。


「大英雄のナイ様でも、大貴族ではありませんの? 人族にはそれほどの強者たちが……?」


 メルティーネはブツブツとつぶやき始める。

 ……いかんな。

 謙遜は美徳のはずだが、時には害となることもあるらしい。

 人族に関する誤った情報が広まる前に、訂正しておくことにしよう。

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