【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1010話 にゃぁは安心しましたにゃ!

公開日時: 2023年5月3日(水) 12:04
文字数:2,073

 俺はダダダ団にボコボコにされてピンチだった。

 そこに、エレナ、ルリイ、テナの3人からなる『三日月の舞』が乱入し、奴らを撃退してくれた。


「ふぅ……。危なかったな」


 俺はそう呟いて、地面に座り込む。

 チンピラたちは、この場から去っていった。

 しかし、これで終わりじゃない。

 むしろ、ここからが本番だ。


「エレナ、ルリイ、テナ。ありがとう」


 俺は立ち上がりつつ、礼を言う。


「これぐらい、気にしなくていいわよ。というか、ありがたいと思うんなら、いい加減に敬語を使いなさいよ!」


「ふふふー。どういたしましてー。エレナちゃんは上下関係に厳しいから、従っておいた方がいいかもねー」


「どうもっす! オレっちは気にしないっすけど、エレナっちは怒ると怖いっすよ!!」


 エレナはやや素っ気ない態度で答え、ルリイは微笑みながら返し、テナは元気よく応じた。

 ツンデレっぽいのが火魔法使いのエレナ。

 柔和なのが雷魔法使いのルリイ。

 元気でボーイッシュなのが土魔法使いのテナだ。


 よし、覚えた。

 俺は記憶力がいい方なんだ。


「でも、タケシも意外にやるのね。見直したわ」


「え? ……そ、そうか?」


「敬語!」


「……そ、そうでしょうか?」


 今の戦いで、俺にいいところがあっただろうか?

 最初に、偶然を装った金的攻撃でヨゼフを倒したぐらいかな……?

 しかし、あの時はまだエレナはここに来ていなかった。

 彼女が目撃したのは、チンピラたちにボコボコにされている俺の姿だろう。

 それなのに、俺を見直すとは一体どういうことなのか……。

 俺が首を傾げていると、ルリイとテナが口を開いた。


「ふふふー。そっちの女の子を助けるために、ダダダ団に挑んだんでしょー?」


「負けることが分かっていて立ち向かうなんて、なかなか出来ることじゃないっす! その精神だけは立派っす!!」


「……」


 なるほど。

 そういうことか。

 確かに、一般人からすればダダダ団は怖い存在だからな。

 チンピラ相手に殴られる覚悟を決めてまで助けに入るというのは、なかなかできることじゃないだろう。


(まぁ、実際はそこまで考えての行動じゃないのだが……)


 サーニャちゃんが泣きそうになっているのを見て、咄嗟に体が動いただけの話だ。

 俺が予定している『ヤマト連邦への潜入作戦』を考えれば、むしろスルーするべき局面だった。

 ネルエラ陛下にバレたら俺の評価が下がるかもしれない。

 まぁ、結果的にチンピラを追い払えたし、とりあえずは良しとしよう。


「ふっふっふ。見る目があるじゃないですか! その通りです! 俺は正義のために立ち上がったのですよ!!」


 俺は精一杯カッコつけて言う。

 しかし、エレナたちは半眼で俺のことを見ていた。


「……タケシ、調子に乗らないことね。その精神は素晴らしいけど、現実問題としてあなたは何もできなかったんだから」


「ふふふー。でも、タケシさんは凄いよー。あれだけボコボコにされていたのに、もう大丈夫そうだもんねー?」


「遠目で気付かなかったっすけど、実は闘気で防御していたんすか? なかなかの防御力っす!」


 エレナ、ルリイ、テナの順で言葉を発する。

 俺のことを一定程度には評価してくれているようだが、どうにも上から目線というか、どこか馬鹿にしたような雰囲気がある。

 まぁそれも当然か。


 彼女たちはベテラン冒険者であり、少なくとも3年前ほどの時点からCランクパーティを組んでいた。

 一方の俺は、彼女たち視点ではDランクで停滞中の新米冒険者だ。

 しかも、つい先ほどチンピラたちにボコボコにされているシーンを目撃している。

 格下が粋がっているように見えるのだろう。


(舐められていることは別にいい。俺の偽装が成功しているということでもあるからな。しかし……)


 すぐに立ち上がったのは失敗だったかもしれない。

 彼女たちから見て、俺の防御力が優れていることになってしまっている。

 実際にその通りなのだが、ここで肯定するべきではない。

 こういう小さなところから、俺の正体がバレる恐れがあるからな。


「うっ!? いたた……。やっぱり痛いですね……。あはは……。ちょっと休んでおきますよ」


 俺はお腹を押さえて、苦しそうな演技をする。

 我ながら名演技だ。

 これで男優賞は俺のもの――


「にゃにゃっ! お客様ー! 死んじゃダメですにゃーー!!!」


「ふごっ!?」


 俺は突然現れた少女に抱きつかれて、変な声を出してしまう。

 今のはいいところに直撃した。

 油断していたので闘気を切っていたし、殺気がなかったので咄嗟の回避もできなかった。


「……って、さっちゃんさん!?」


 体の痛みに耐えつつ視線を上げると、そこには猫獣人の少女がいた。

 彼女は俺に強く抱きついている。

 発展途上の柔らかい胸が心地良い。


「はいですにゃ! サーニャですにゃ!! お客様、生きてますにゃ!? 死んじゃ嫌ですにゃ!!」


「え、ええ。なんとか無事です……。今のタックルは効きましたが……」


 俺は少しだけ苦笑いをしながら答える。

 すると、彼女はパッと顔を輝かせた。


「よかったですにゃ! にゃぁは安心しましたにゃ!!」


「むぐっ……!」


 再び、彼女の膨らみかけの胸に顔を埋められてしまう。

 またもや、心地よい感触が俺を襲ったのだった。

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