「みんな、例の件の方向性は決まったのか?」
「はい! もっと高志様のお役に立てるよう……私は得意分野を伸ばします!」
「俺もだ! 一人前の忍者になれれば、兄貴を暗殺とかから守れる!!
「……私も。剣術を磨いて、高志くんを護衛する……」
俺の問いかけに、紅葉たちがそう答える。
何の話かって?
もちろん、加護についてだ。
今回の一件で、紅葉、流華、桔梗の3人が通常の加護の条件を満たしたのである。
桜花城攻めについてはちょっと早まったところもあって自省すべき点はあるが、彼女たちの加護を得られたこと自体は素直に喜ばしい。
「暗殺? 護衛? みんな、心配性だな」
「用心するに越したことはありませんよ、高志様」
「ああ。俺は兄貴を尊敬しているけど……城内には兄貴のことを疎ましく思っている連中もいるからな」
「……事態を受け入れるには時間がかかる……」
紅葉、流華、桔梗が口々にそう言う。
まぁ、一理あるか。
俺は謀反を起こして桜花藩を乗っ取った。
そのことが城内で好意的に受け入れられるとは思っていない。
最優先で講じるべきは、桜花景春への対処だ。
公開処刑するのがベストなのだが、俺は呪いによって景春を殺せない。
紅葉たちに命じれば、俺が手を下さずとも処分できる可能性は高い。
だが、まだ若い彼女たちに人殺しの罪を背負わせたくない。
ならば、桜花七侍の連中や一般侍たちに命じるのはどうか?
最も無難で現実的に思えるところだが、彼らは彼らで俺を全面的には受け入れていない。
俺が命じたとて、素直に従ってくれるかどうか……。
単に処刑をサボるぐらいならまだしも、景春と連携して逆襲の謀反を企てる……。
なんてことも考えられる。
彼らの目の前で処刑を見届ければいいって?
ごもっともだが、実際にはおそらく無理だ。
俺の呪いにより、景春を処刑しようとする者たちを止めてしまうことになるだろう。
うーん……。
無理に殺処分に拘るより、精神的に懐柔したり屈服させたりした方が現実的かもしれないな。
このあたりについては、何らかの方策がないか考えているところだ。
「……おっと。そう言えば、先にミッションの達成処理をしておくか」
「みっしょん……ですか? それは一体、何でしょうか?」
「あー……、深くは気にしないでくれ。独り言だ。考え事をするから、少しだけそっとしておいてくれ」
うっかり『ミッション』という単語を口にしてしまった俺は、慌てて誤魔化す。
紅葉たちに『加護』や『ステータス』については説明した。
だが、『ミッション』については説明していない。
彼女たちのことは信用しているが、まだ若い彼女たちにアレコレと事情を説明して重荷を背負わせる必要はないだろう。
(ポチッとな)
俺はステータス画面を操作し、達成済みとなっていたミッションの報酬を受けとる。
ステータス画面は俺だけが視認できる。
宙に浮いているそれを指でタップしたりスワイプしたりして操作することもできるし、その気になれば頭の中でイメージしただけで操作することもできる。
ミッション
桜花城を攻め落とし、支配しよう
報酬:加護(大)の解放
スキルポイント10
達成報酬を受け取ったのはこのミッションだ。
紅葉たちを強化していく前に、これらの報酬をざっと確認しておこう。
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