【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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第36章 人魚の里

1220話 恐れるのをやめましょう

公開日時: 2023年12月1日(金) 12:07
文字数:2,064

「え? なんだって?」


「だから、人魚を見たんだってば!」


 俺の目の前に座るユナが、俺に話しかけてくる。

 ここは隠密小型船のデッキ。

 俺たちはヤマト連邦に向けて、順調に航海中だった。


「人魚ですか? モニカさんからも聞きましたね」


「わたくしも、以前から噂ぐらいは耳にしていますわ」


「うむ。拙者も同じくでござる」


 サリエ、リーゼロッテ、蓮華がユナの言葉に反応する。

 この場には、乗組員が勢揃いしていた。


「マリアも見たよっ! すっごく美人さんだったよ!!」


「ふむ……。ユナに加えてマリアもか……」


 マリアは『視力強化』のスキルを取得済みだ。

 そしてユナは、素で視力がそこそこ優れている。

 その2人が目撃したというのなら、間違いないだろう。


「人魚の生息域が近づいてきているのかもしれないな。気を引き締めていこう」


 俺はそう告げる。

 オルフェスからヤマト連邦までの進行具合は、およそ6~7割ぐらいだろうか?

 魔導回路は引き続き正常に作動しているし、順調に進んでいるはずだ。

 ヤマト連邦に到着するのもそう遠くないと思われるが、その前に人魚関連で何か起きるかもしれない。


「かしこまりました。私なりに、警戒しておきます」


「ピピッ! 当機も警戒モードに移行いたします」


「知らない土地……。ちょっと怖いかも……」


「私は地縛霊だったし、島国は初めてだよー」


 レイン、ティーナ、ドラちゃん、ゆーちゃんが口々に言う。

 その他の面々も、それぞれの反応を見せた。

 楽しみにしている者、不安そうにしている者、動じない者。

 その様子は様々だが、いずれも少しばかり不安な気持ちを持っている様子だ。

 俺はゆっくりとうなずき、そしてみんなの顔を改めて見回した。


「俺から1つ」


 俺は声を上げた。

 みんながこちらに注目する。


「過度に恐れるのをやめましょう。海を見たら人魚がいたりとか、ヤマト連邦の海岸線沿いにサムライがいたりとか、上陸後には忍者や力士がいたりとか……。噂でしか聞いたことがないような存在がいると思う。だが、これからは、やっぱり恐れてしまったら乗り越えられない。今回は、俺たち自身の軌跡を刻み、サザリアナ王国の平和を勝ち取るために来たんだ。謎の存在への恐れを捨てて、未知なる地に打ち勝つことだけを考えましょう。さぁ、行こう!!!」


 俺はそう鼓舞した。


「はい!」


「頑張ろう!」


「了解ー」


「き、気合いが入りました!」


 ミティ、アイリス、モニカ、ニムが元気よく返事する。

 他のみんなも、口々に同意の言葉を発してくれた。


「よし……。それでは引き続き、ヤマト連邦に向けて全速前進DA!」


「「全速前進だ!!!」」


 俺の号令に合わせて、みんなは拳を振り上げた。

 ……さてと。

 これで少しは緊張がほぐれたらいいんだけどな……。


 そんなことを考えつつ、俺は前方を見据える。

 前方には水平線まで広がる海。

 そして、その先には、ヤマト連邦があるのだろう。


「……むっ!? さっそくか!!」


 俺がそう告げた瞬間、船が大きく揺れる。


「何事ですか!?」


 サリエが周囲を確認するように見回す。

 他のみんなも同様に警戒していた。


「前方の海に大型の魔物――これはリトルクラーケンだ!!」


 俺の口から魔物の名前が飛び出す。

 前方の海から巨大なイカの化け物が姿を現したからだ。

 全長は6メートルぐらいだろうか?

 以前ルクアージュの近海で戦ったリトルクラーケンより、一回り大きい。


 触手のようなものも大量に生えており、触手の先端が吸盤になっている。

 その吸盤で船を捕えて、一気に引きずり込むつもりなのだろう。


「みんな! 戦闘準備だ!!」


 俺は声を上げた。

 だが、ここは海の上。

 船の上では、使える魔法が制限される。

 船を破壊しないためにも、範囲攻撃系の魔法は控えるべきだろうな。

 俺はそう考える。


「わたくしが行きますわ!」


 そう言って、リーゼロッテが前に出た。

 リトルクラーケンの触手が伸びる。


「はっ!!」


 蓮華が触手に向かって斬撃を放った。

 伸びてきた触手は、見事に切り刻まれる。


「ピピッ! 2時の方向から、新たな触手が来ます!」


 ティーナが声を上げる。


「私が止めます!! ――【オーバーヒール】!!!」


 サリエが魔法を発動した。

 過剰な治療の力が触手を襲う。


「ピギャー!?」


 リトルクラーケンが悲鳴を上げ、触手を引っ込めた。


「やりますね、サリエさん! わたくしが追撃いたしますわ!! ――【レインレーザー】!!」


 ちゅどん。

 リーゼロッテの杖から、レーザー光線のような水が放たれる。

 それはリトルクラーケンの頭部に向かって一直線に突き進んでいった。


「ギュルゥー!?」


 リトルクラーケンが悲しげな鳴き声を上げる。

 これで討伐完了だ。


「みんな、見事だった。素晴らしい」


 俺はそう称える。

 リトルクラーケンぐらいなら、俺たちの敵ではないな。

 これからも順調に進んでいけるだろう。

 俺はそう確信しつつ、航海を進めていくのだった。





*****





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