「さんさんと輝く太陽! 今日は快晴だ!!」
「絶好の海水浴日和だね! 海風が気持ちいい!」
「さ、最高の1日になりそうです!」
俺、モニカ、ニムは水着に着替えて砂浜に立っていた。
ここは、オルフェスの港近くにある浜辺だ。
俺たちは遊びに来たのである。
「しかし、人はあまりいないな?」
「ルクアージュに比べたら、浜辺が少しこじんまりとしているからじゃない?」
「そ、それに、この街の目玉は『英霊祭』と聞きました。今は『英霊祭』にも海水浴にも、時期外れですから」
「なるほど……。確かに、それはそうか」
リーゼロッテの実家、ラスターレイン伯爵家。
その領都ルクアージュは、『水の都』として名高い。
三方を海に囲まれた闘技場、広い浜辺、海洋温泉などが存在するのだ。
それに対して、オルフェスはどうか?
こちらは『古都』として有名だ。
古代遺跡の一部をそのまま街として利用しており、一般民衆や地元マフィアですら魔道具を活用している。
さらに、魔力の関係で半ば不定期に開催される『英霊祭』が名物となっている。
一応は海に面しているのだが、ルクアージュと違って浜辺が小規模だ。
その上、今の季節は一応冬である。
サザリアナ王国は温暖な気候なので、今日のように快晴であれば冬でも海水浴を楽しめなくはないのだが……。
地元民は、わざわざ海水浴を楽しんだりはしないのだろう。
「まぁ、それでもいいさ。泳げないわけじゃなし」
「うん! 泳ぐの楽しみ!!」
「泳ぎましょう!!」
俺、モニカ、ニムはテンション高めで話している。
海水浴を楽しむのは、ルクアージュ以来だな。
およそ1年半ぶりとなる。
前の夏は、合同結婚式のアレコレで忙しかったからな。
久しぶりに楽しもう。
他の面々がいないのは寂しいが……。
ヤマト連邦での任務が終わったら、帰還後に改めてみんなで楽しめばいい。
想定よりもヤマト連邦が平和だったら、そこで海水浴を楽しむ可能性もなくはない。
ヤマト連邦は島国だからな。
「タカシ……。私のこの水着……どう?」
「あ、ああ……。似合っていると思う」
「えへへ……。ありがと……」
はにかむモニカの姿は、とても魅力的だった。
ただでさえ大きな胸が強調されていてセクシーなのに……。
さらに腰のくびれも強調されていて……。
(けしからん……。実にけしからんぞ……!)
俺は思わず鼻血が出そうになる。
落ち着け……!
落ち着くんだ俺……!!
「あ、あの……タカシさん……。わたしは……ど、どうでしょうか?」
「あ、ああ……。ニムも良く似合ってる……」
「ふぇへへ……。良かった……」
ニムは灰色のワンピースタイプの水着だ。
露出は少ないものの、逆にそれが保護欲を掻き立てる。
普段はあまり目立たないが、実はニムも胸が育ってきている。
俺の8人の妻の中ではマリアに次いで若いし、まだまだ成長の余地は残っているだろう。
「タカシさん……」
「ん? なんだ?」
「タカシさんの視線を独り占めできて……幸せです」
「お、おう……。そ、そうか」
ニムの瞳にハートマークが見える。
彼女の愛は、これほどまでに強かっただろうか?
俺の理性が崩壊してしまいそうだ。
「ふふ……。ニムちゃん、普段は我慢しているもんね? ミティやアイリスに遠慮して……」
「え? そうだったのか?」
「はい……。ミティさんもアイリスさんも、タカシさんと仲が良くて……羨ましいです。でも……わたしもタカシさんが大好きですから……!!」
「わ、分かった……。俺もニムが好きだよ」
第一夫人ミティと、第二夫人アイリス。
別に、妻たちの序列みたいなものを意識しているわけではないが……。
しかしやはり、出会った時期やパーティとして行動を共にするようになったタイミングが早い者の方が親しみを感じているかもしれない。
特に、ミティ、アイリス、モニカの3人については、俺の子どもを出産済みだし……。
第四夫人のニムは、少しばかり遠慮していたようだ。
「ふぇへへ……。嬉しいです……。今はわたしだけのタカシさんです……!」
「ふふっ。ご満悦のニムちゃんには悪いけど、今は私もいるからね?」
「あっ! す、すみません! つい……!」
ニムとモニカがそんな会話をする。
こうして、オルフェスでの海水浴は続いていく――。
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