【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1044話 来い、我が親愛なる輩下よ

公開日時: 2023年6月6日(火) 12:07
文字数:1,968

 ヨゼフの必殺技を耐え抜いた。

 今の攻撃に全ての闘気を注ぎ込んだのだろう。

 攻撃技を放っただけの彼だが、すっかり疲労困憊といった様子だ。


 これでこの場を収めることができる――。

 そう思ったのも束の間。

 彼の背後にいる10人以上のチンピラを見て、俺は改めて気を引き締めた。


「へっへっへ! この人数を相手に勝つことはできねぇだろ!!」


 ヨゼフが勝ち誇ったように叫ぶ。


「ふん。雑魚どもが何匹集まろうと大差はない」


「はっ! 言ってろ! お前の弱点は分かってんだよ!!」


「何……?」


 聞き捨てならない。

 俺の弱点だと?


 チートスキル『ステータス操作』によって、俺は満遍なくスキルを強化している。

 一般的に見て、俺はかなり強い。

 冒険者の上位10パーセント……いや1パーセントにも入る実力を持っていると断言してもいいだろう。


 先日は聖女リッカに敗北してしまった通り、俺も完璧ではないが……。

 あれは総合力やパーティバランスで負けた感じだ。

 こんな地元マフィアの幹部ごときに突かれるような弱点などあるはずがない。


「面白い……。いったい俺にどんな欠点があると言うのだ?」


「へへっ! それは――こういうことさ!! 構え!!!」


「「「へいっ!!」」」


 ヨゼフが合図を出すと同時に、背後にいたチンピラたちが魔道具を構える。

 あれは……攻撃魔法を再現するタイプの魔道具か?

 魔法使いにとっては無用の長物だが、魔法を使えない者にとっては有用なものである。

 そこそこ高価なはずだ。

 古都オルフェスだけあって、チンピラにも魔道具が行き渡っているわけか。


「ふん……。俺に生半可な攻撃魔法が通じるとでも?」


「御託はいい! やれっ! お前ら!!」


「【ファイアーボール】!!」


「【エアリアルスラッシュ】!!」


「【ストーンショット】!!」


 チンピラたちが一斉に魔道具を起動し、魔法弾を放ってくる。

 俺ではなく――少し離れたところにいるエレナや魔導工房の少女に。


「……っ!」


 俺は彼女たちの前に立ち、身を挺して守る態勢を取る。

 ズガガガガッ!!

 俺の背中を攻撃魔法が襲う。

 威力は大したことがない。

 だが――


「それがテメェの弱点だ。へへっ、怪しい奴のくせに、ザコ女どもを庇うなんてよ」


「ちっ……」


 咄嗟に動いたので、防御用の影魔法を発動する暇がなかった。

 おかげで、多少のダメージを受けてしまった。


「お前がいくら強かろうと、4人の足手まといを庇いながら俺たちと戦えるわけがねぇ! たった1人にやられるほど、ダダダ団は甘くないからな!!」


「……」


「ひゃっはぁっ! どうした? 怖くて声も出せないか? それとも、足手まといの女どもは諦めるか?」


「そのどちらでもない」


「あ? 負け惜しみを言うんじゃねぇ! たった1人で何ができる!!」


 ヨゼフが唾を飛ばしながら怒鳴ってくる。

 実際、影魔法しか使わない前提であれば、少しばかりキツイ状況だ。

 俺の影魔法は、まだまだ実戦での試運転が不足しているからな。


「いったい、いつから――」


「あん?」


「――俺が1人だけだと思っていた?」


「何ぃ?」


 訝しげなヨゼフを見つつ、俺はニヤリと笑う。

 そして、影魔法の発動準備に入る。


「人の話はちゃんと聞いておけ。俺は最初からこう言っていたはずだ。『我らはダークガーデン。闇に潜み――闇を狩る者』とな」


「なっ!? ま、まさか……!!」


「来い、我が親愛なる輩下よ。――【シャドウ・ホール】」


 パチンッ!

 俺の指パッチンの音と共に、2つの黒い渦が姿を現す。

 そこから現れたのは――


「我が名はテルティウム。雷を司る者なり」


「わ、我が名はクァルトゥス。土を司る者なり」


 2人の人間だった。

 俺と同じく黒装束に身を包んでいる。

 その正体は、もちろんモニカとニムだ。

 事前にお願いしておいたセリフもバッチリである。

 かなり嫌がられたが、頑張って頼み込んだ甲斐があった。


「さぁ、お前の罪を数えろ」


「ひ、ひぃっ!?」


 ヨゼフが悲鳴を上げる。

 突如追加された2人の存在に、完全に動揺しているようだ。


「な、何だ……? いったいどこから現れた!? 侵入者が判明した時点で、入口は封鎖していたはず……」


「ふん。入口を封鎖したぐらいで、我らダークガーデンの侵入を防げるとでも思ったか」


「何だと!?」


「卓越した影魔法は、空間魔法の性質を帯びる。俺の侵入を許した時点で、お前らの敗北は決まっていたということだ」


 俺は淡々と告げる。

 モニカとニムが来てくれた以上、この場の優位性は俺たちへ大きく片寄った。

 これでもう安心だ。


「そ、そんな馬鹿な……。いや、待て……。まだまだ人数差はある! こうなりゃ、刺し違える覚悟で――」


「ほう……。我らダークガーデンを相手に、勝てるつもりなのか?」


「あぁ! やってやるぜ!! 野郎共、行くぞぉっ!!」


「「「お、おおおぉ!!」」」


 チンピラたちが雄叫びを上げながら襲ってくる。

 俺、テルティウム、クァルトゥスはそれぞれ迎撃態勢を整えるのだった。

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