【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

889話 魔物狩りの進捗

公開日時: 2023年1月1日(日) 12:05
文字数:2,351

 大掃討作戦が始まって、数時間が経過した。

 今回の作戦に参加している冒険者は三十人を超える。

 だが、全員で一箇所にまとまって行動するわけではない。

 まとまればまとまるほど安全度は増すが、代わりに狩りの効率が落ちるからだ。


 とはいえ、完全に自由行動にしたら同士討ちのリスクが高まってしまう。

 それに、そもそも日にちを合わせて狩りを行う意味が薄まってしまう。

 というわけで、各参加者は適度にバラけて狩りをしている感じだ。


 事前に、各パーティの担当区域も決めている。

 EランクやDランク下位のパーティは、森の比較的浅い部分を担当してもらっている。

 少数のゴブリンや単独のハウンドウルフが主なターゲットだ。


 逆に、Dランク上位やCランクの冒険者には、より深い森の中に入ってもらうことになる。

 この作戦の指揮官である俺は、そういった上位陣に同行している。


「斬魔一刀流……火炎斬!!」


「うおおおぉっ! どりゃあ!!」


「影の刃――【シャドウエッジ】!」


「「「ギャアアアァッ!!!」」」


 アラン、トミー、月の攻撃を受け、ゴブリンたちが悲鳴を上げて倒れていく。

 それぞれのパーティメンバーも奮闘している。

 やはり、彼らの実力は安定しているな。


 中でも、アランの成長は目覚ましい。

 彼は、俺の得意剣術である『斬魔一刀流』を使いこなしつつある。

 『火炎斬』はその中でも初歩であり、その後は『獄炎斬』『魔皇炎斬』へと至っていく。

 彼の現時点におけるランクはDだが、今回の作戦が無事に終わればCランクも見えてくるだろう。

 俺が『火炎斬』を練習していたのもDランクの頃で、実戦で習得に成功してからすぐにCランクに昇格した。


 トミーの実力も高い。

 彼は、ラスターレイン伯爵領の一件があった頃からCランクで、今もCランクのままだ。

 一つの限界点に達しているような形だが、加護(小)の条件さえ見たせばその限界を突破することも可能だろう。

 そうなれば、Bランクも見えてくるはずだ。


 月はどうか?

 三姉妹の雪、月、花は、それぞれの個人ランクがCで、パーティランクも同じくCだ。

 雪と花が1か月ほど前に加護(小)の条件を満たしたことにより、その実力は大きく増した。

 彼女たち二人は、近い内にBランクに達してもおかしくない。


 それに比べ、月は一歩劣ってしまっているのが現状だ。

 彼女の努力が不足しているとは言わないが、やはり加護の恩恵の差は大きい。

 月も加護(小)の条件を満たすことができれば、三姉妹仲良くBランクになることもあり得る。

 そうなれば、パーティランクもBが見えてくるだろう。


「素晴らしい。これなら、順調に狩りが進んでいきそうだ」


 俺は、満足げに呟いた。

 今のところ、特に大きな問題は起きていない。

 順調だ。

 この調子で、どんどん狩りを進めてもらおう。


「――む?」


 俺の気配察知スキルに、魔物の反応がある。

 単独で、大きめの反応だ。

 ゴブリンやクレイジーラビットではないな。


「おい、お前たち――」


 俺は注意の声を上げようとする。

 だが、俺の言葉よりも早く彼らは警戒態勢に入っていた。


「我が神よ! 俺たちなら大丈夫です」


「へへっ。伊達に長いこと冒険者をやってきてませんぜ!」


 アランとトミーが自信満々に言う。

 油断しているわけではないか。

 いい意味でリラックスしている様子だ。


「出てくるのを待ち構えて~。いくよ~。【ウッドバインド】~」


「ガアァッ!?」


 茂みから飛び出してきたリトルベアを、花の魔法が捕らえる。


「凍えろ……。【ブリザード】……」


「グゥ……グオォッ……」


 雪の放った氷結系の水魔法。

 その冷気が、リトルベアを包み込む。

 奴の体温を急速に奪っていく。


「へへっ。いいねぇ!」


「温度差でダメージを与えてやるぜ! 【ファイアーボール】!!」


「グアアァッ!?」


 アランの放った最初級の火魔法がリトルベアを襲う。

 本来、リトルベア級の魔物に対してファイアーボールでは威力不足だ。

 しかし、先んじて放っていた雪のブリザードにより体温が低下していたリトルベアに、それは大きな効果を発揮した。


「これでトドメよ! 【シャドウエッジ】!!」


 月の必殺の一撃が、リトルベアの首を切り裂く。


「グルルルル……」


 首から血を流しながら、リトルベアが倒れる。

 戦闘終了だ。

 連携も取れているし、問題なさそうかな。


「さすがは、我がハイブリッジ男爵家が普段から重用しているだけある。見事なものだ」


「勿体なきお言葉でございます! 我が神よ!!」


「タカシの旦那にそう言っていただけると、嬉しいでさぁ!」


「えへへ。ありがとね~」


「……どうも」


「まだまだこんなものじゃないわよ!」


 アラン、トミー、花、雪、月がそんな反応を示す。


「よし、ここはお前たちに任せよう。俺は他の場所を見て回ることにする。無理だけはするなよ? 何かあったらすぐに知らせてくれ」


「承知しました!」


「分かったわ!」


 こうして俺は、彼らと別行動を取ることにした。

 どこを見て回るか……。

 EランクやDランク下位に任せているエリアは、大して重要じゃないよな。

 危険度も低いし、見て回る意味は薄い。


「そうだ、フレンダに任せているエリアに行ってみよう」


 Bランク冒険者である彼女が率いるパーティには、それなりに危険な場所を任せている。

 ま、危険と言ってもせいぜいリトルベアが出るぐらいだけどな。

 西の森の危険度はラーグの街周辺の中では高めだが、王国全体の中ではさほどでもない。

 フレンダが危機に陥ることはそうそうないだろう。


 例外があるとすれば、『魔の領域』から高ランクの魔物が迷い込んできた場合ぐらいだろうな。

 俺もかつて、ホワイトタイガーに遭遇したことがある。

 あのときは大変だった。


「おっと、思い出に浸っている場合じゃないな。ちゃちゃっと見て回って、仕事を終わらせていこう」


 俺はそんなことを呟きつつ、フレンダの担当区域に向かい始めたのだった。

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