防具屋に到着した。
アドルフの兄貴とレオさんに連れてきて頂いた防具屋だ。
店主はドワーフとかではない普通のじいさんである。
話しかける。
「すいません。彼女の防具を購入したいと考えているのですが」
じいさんはこちらをギロリと睨んできた。
さらに、ミティの体を上から下へとじろじろと見ている。
「ふん。誰かと思えば、いつぞやの小僧か……。予算はいくらだ?」
この防具屋には一度しか来たことがないんだが。
よく覚えているな。
「予算は金貨数枚ほどで考えています」
「金貨数枚だと? その程度の予算じゃ大したものは買えんぞ。せいぜい革の鎧だな」
じいさんはそうぶつくさと文句を言いつつも、良さそうなものをいくつか見繕ってくれている。
これがツンデレってやつか?
しかし男のツンデレなんぞ誰も望んでいないぞ。
じいさんが見繕ってくれたものをミティに試着させ、着た感じが良いものを選んでもらう。
俺用にも1つ選ぶ。
2つとも普通の革の鎧。
初心者用装備等一式で出てきたものと同じような質だ。
じいさんに鎧の代金を支払い、次は武器屋へと向かう。
武器屋にやってきた。
ちなみにここの店主もドワーフではない。
「こんにちは。彼女が使うハンマーを購入したいのですが」
「ほう、ドワーフの娘か。このあたりでは珍しいな。……よし、この槌を試してみろ」
ミティが店主からハンマーを受け取る。
先端部分が木でできているようだ。
先端部分の大きさはミティの頭と同じくらい。
ミティが軽く素振りをする。
問題なく振れているようだ。
「ふむ、その重さなら少し軽いかもしれんな。次はこっちを試してみろ」
店主が次のハンマーをミティに渡す。
今度のは先端部分が金属製だ。
先端部分の大きさはミティの肩幅ぐらい。
ミティが素振りをする。
ちょっと重そうだ。
手がプルプルしている。
「さすがにそれは厳しかったか。しかし若さの割には力が強いな。なかなか将来有望だぞ。次はこの槌はどうだ?」
店主が新たなハンマーをミティに渡す。
先端部分が石でできているようだ。
先端部分の大きさはさっきの2つの中間ぐらい。
ミティが素振りをする。
これが一番しっくりきているようだ。
「ふむ、それぐらいが良かろう。ドワーフの娘よ、振ってみて問題はないか?」
「はい、問題ありません。タカシ様、これが良いかと思います」
ミティは気に入ったようだ。
店主もオススメしている。
このハンマーを購入することにした。
このハンマーをストーンハンマーと名付けよう。
防具も武器も購入した。
いよいよファイティングドッグ討伐だ!
と言いたいところだが、その前に冒険者ギルドに向かう。
ミティの冒険者登録をしておかないと、討伐報酬がもらえないからな。
冒険者ギルドに到着した。
受付嬢と目が合う。
20歳くらいのお姉さんタイプの人だ。
彼女とはもう何度も顔を合わせており、ある程度打ち解けている。
「こんにちは。こちらのドワーフの冒険者登録をお願いしたいのですが」
「こんにちはタカシさん。あら? そちらのドワーフの彼女は、もしかしてタカシさんの奴隷ですか?」
「ええ、この前のホワイトタイガー討伐でまとまったお金が入りましたからね。そのお金に借金分を足して、思い切って買っちゃいました」
「随分と思い切りがいいですねえ。昨日報酬を受け取ったばかりなのに……」
心なしか受付嬢の視線が冷たい気がする。
やはり男が女性の奴隷を買うのは心証が悪いのだろうか。
別にナニする目的で買ったわけではないよ。
本当だよ。
ホントウダヨ。
ちょっと言い訳しておこう。
「近いうちに東の方に行こうかと思っていまして。1人だと不安なので、戦力増強のために購入しました」
「ふーん。まあいいでしょう。彼女の冒険者登録ですね? 登録料として銀貨1枚を頂きます。こちらの用紙に名前と職業をご記入下さい」
そういって紙を1枚渡してきた。
ミティに字が書けるか聞いてみる。
彼女は字が書けないそうだ。
俺が代わりに記入しよう。
名前:ミティ
職業:槌士
これで良いだろう。
記入した紙と銀貨を受付嬢に提出する。
「お名前は、ミティ様……。職業は槌士ですね。ではギルドカードを発行致しますので少々お待ち下さい。」
そう言って彼女はカウンターの奥へと引っ込んでいった。
しばらく待つ。
彼女が戻ってきた。
「お待たせしました。こちらがギルドカードになります」
受付嬢からギルドカードを受け取る。
もちろん最初はEランクだ。
礼を言い、冒険者ギルドから出る。
防具も武器も購入した。
いよいよファイティングドッグ討伐だ!
と言いたいところだが、いきなり実戦はマズイ。
まずは街から出て少し歩いたところで練習することにする。
最初は地面に石を置いてそれをハンマーで叩く練習だ。
問題なく当たる。
いくら器用のステータスが低くとも、これぐらいならば外さないようだ。
次に、ゆっくり動く俺をひかえめに攻撃してもらう練習をした。
これも大きな問題はない。
しかし若干ハンマーの攻撃精度が落ちる。
ミティ1人でファイティングドッグと戦うのは危険が伴うな。
俺がサポートする必要がありそうだ。
最後に回避の練習もした。
俺がそこそこの速さで攻撃し、それを回避してもらう。
これはまったく問題がなかった。
回避には器用のステータスが影響しないみたいだ。
そんな感じで、小一時間ほど練習した。
いよいよファイティングドッグの討伐である。
辺りを索敵していると、ファイティングドッグを1匹発見した。
まずは俺が手本を見せる。
今の俺のステータスとスキルであれば、正面から奴と対峙し倒すこともできるだろう。
しかしそれではミティの参考にならない。
初心を思い出し、まずは回避に専念する。
そして隙を見つけて重い一撃をぶつける。
こうすることによって安全に狩れる。
兄貴達の教えだ。
無事討伐が完了した。
ミティも戦闘の雰囲気は掴めただろう。
次は彼女にも攻撃してもらう。
緊張している様子だったので声をかける。
「とにかく落ち着いて回避するんだよ。ファイティングドッグは動きが単調だから、焦らずに見極めれば怖い相手じゃない。俺もサポートするから」
「分かりました! 頑張ります!」
よしよし、元気はあるな。
その調子なら大丈夫そうだ。
辺りを索敵し、ファイティングドッグを発見した。
まずは俺が前に出て、奴の注意を引きつける。
回避に専念し、隙を見て攻撃を加える。
奴の注意が完全に俺に向いている。
ミティが奴の後ろへ回り込む。
ハンマーを振りかぶり、奴へと振り下ろす。
見事にクリーンヒットした。
「よし、いいぞミティ! 素晴らしい攻撃だ!」
やはりハンマーの威力は高いな。
俺がある程度弱らせておいたのもあるが、彼女の一撃でほぼ瀕死になっている。
レベリングのこともある。
念のため彼女にとどめを刺してもらった。
「この調子でガンガン狩っていこう。ミティには才能があるぞ。天才かもしれないな!」
どんどんほめて彼女には自信を取り戻してもらうつもりだ。
それに才能を感じるのも嘘ではない。
少なくとも俺よりはありそうな気がする。
ミティもほめられて満更でもなさそうだ。
「ありがとうございます。全てはタカシ様のおかげです。これからも頑張ります!」
そうしてその後もしばらくファイティングドッグ狩りに励んだ。
ミティのレベルが2から3に上がり、スキルポイントが10追加された。
どうやら彼女の場合は、レベルが1上がる度にスキルポイントが10入ると考えてよさそうだ。
彼女のポイントを10消費し腕力強化を取得する。
長所を伸ばす方針だ。
これでさらに彼女のハンマーの威力が上がる。
当たりさえすれば、ファイティングドッグを高確率で一撃で倒せるようになるだろう。
犬狩りの効率が上がることに期待したい。
そろそろ今日の狩りは終わりにするか。
少し早いが、初日から無理することもないだろう。
それに、宿屋や飲食店を見て回る時間も欲しいからな。
まずは報酬を受け取りに冒険者ギルドへ向かおう。
レベル10、たかし
種族:ヒューマン
職業:剣士
ランク:D
HP:79(61+18)
MP:100(40+60)
腕力:36(28+8)
脚力:35(27+8)
体力:81(35+11+35)
器用:42(32+10)
魔力:36
武器:ショートソード
防具:レザーアーマー、スモールシールド
残りスキルポイント5
スキル:
ステータス操作
スキルリセット
加護付与
異世界言語
剣術レベル3
回避術レベル1
気配察知レベル2
MP強化レベル3
体力強化レベル2
肉体強化レベル3
火魔法レベル4 「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム」
水魔法レベル1 「ウォーターボール」
空間魔法レベル2 「アイテムボックス、アイテムルーム」
MP消費量減少レベル2
MP回復速度強化レベル1
称号:
犬狩り
ホワイトタイガー討伐者
レベル3、ミティ
種族:ドワーフ
職業:槌士
ランク:E
HP:38(29+9)
MP:21(15+5)
腕力:46(25+8+13)
脚力:13(10+3)
体力:25(19+6)
器用:4(3+1)
魔力:18(14+4)
武器:ストーンハンマー
防具:レザーアーマー
残りスキルポイント0
スキル:
槌術レベル1
腕力強化レベル1
MP回復速度強化レベル1
称号:
タカシの加護を受けし者
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