俺は牢屋の一室で、とある女盗賊に1対1の尋問を行っている。
まずは、彼女の名前を教えてもらった。
キサラというらしい。
「さあ、ここからが本番だ」
俺はそう言って、牢屋内のイスに縄で彼女を拘束した。
「な、何をする気だ? どうせ逃げれやしないのによ」
彼女の言う通り、ここから逃げることは不可能に近い。
俺の不意を突いてこの部屋から脱出したところで、隣の部屋にいるミティ、ナオミ、ネスター、シェリーが気づくだろう。
彼女たちが間に合わなかったところで、特に問題はない。
ここは地下牢。
脱出経路は限られており、その出入り口には当然警備の者が常駐している。
「そんなに警戒するなって……。ちょっとした実験に付き合ってもらおうと思ってな」
俺は、彼女にそう告げる。
「じ、実験だと? オレをオモチャにする気か!? ふざけんな!」
「まあまあ、そう怒るなよ。すぐに終わるから」
彼女は抵抗の素振りを見せるが、イスに縛り付けられているためロクに動けない。
「くそっ! こんなことしやがって、ただじゃおかねえぞ……」
「いいのか? 反抗的な態度を取っても……」
「……チッ」
彼女は舌打ちして、おとなしくなった。
「よし。では、始めるとするか」
「何を始めるってんだ? オレはもうどうなったって構わん。さっさと殺してくれ」
「それはできない相談だな」
「はあ? どういうことだ?」
「言っただろう? お前には情報を吐いてもらわないと困るんだ」
「諦めな。話せることは全て話し……っ!? ギャハハハッ!? な、何しやがる!!」
「ほう。やはり効き目は抜群だな。素晴らしい……」
俺はジェイネフェリアからもらったとある魔道具を起動している。
これは、羽毛を小刻みに震わせる機能を持つ。
ぶっちゃけ大した仕組みではないのだが、振動具合を微調整できるところが肝だ。
俺は羽毛をキサラの脇腹に当てる。
「ヒギィイイッ!! や、やめろぉおおおっ!!」
「やめてもいいんだぞ。情報さえ教えてくれればな」
「あぎぃいっ!! だ、だから話せることは全部喋ったって言ってんだろうがぁあっ!!!」
「まだ何か隠してるんじゃないか?」
「ほ、本当だってぇえっ! あひゃあああっ!? ほんどに何も知らねぇんだよぉおっ!!」
「そうか。なら、仕方がないな」
俺はキサラの脇腹から羽毛を遠ざける。
「はあっ、はあっ……」
「では、次はこっちだな」
「ちょ、待て……」
俺は次に足裏へ魔道具を向けた。
「ひっ、ま、まさか……」
「ああ、そうだ。今度はここだよ」
「や、やべろっ! そこは本当にダメなんだってばぁあああーっ!!!」
キサラは激しく暴れるが、縄で縛られているために逃れられない。
「あぐぅううっ! だ、だめだぁああっ! そこだけは許してぐれぇええーっ!」
「こっちの方が反応がいいな……。ここをくすぐられるのが好きなのか? こっちも濡れてきているじゃないか」
くすぐられて臨戦態勢になるとは……。
なかなかの希少性癖だ。
世の中にはいろいろな人がいるんだなぁ。
「う、うるせえ! とにかくやめろぉっ! それ以上されたらおかしくなっちまいそうなんだって!」
「遠慮することはないぞ」
俺は足裏に羽毛を押し当てつつ、脇腹を手でツンツンと突いた。
「あがっ!? や、やめっ……! ヒギィイイッ!!!」
キサラの身体が激しく痙攣する。
「おいおい。そんなに動くと危ないぞ」
「だ、だれのせいで……。いぎいぃいいいいいーっ!!」
「お、いい感じになってきたじゃないか。もう少しだな」
「あがっ、あがががっ!! だ、だめだっ、やめろっ、やめてぐれぇええーっ!!」
「大丈夫だ。安心しろよ。ちゃんとこっちも刺激してやるから」
俺はキサラの脇腹を羽毛で刺激し、脇腹を手で突きつつ、敏感なところへ口を運んだ。
「ち、違う! そういう意味じゃな……っ!?」
「ふむ。これが女盗賊キサラの味か……。悪くないな……」
「あぐぅううっ! ヒギィイイッ!!!」
俺の絶技により、キサラは盛大に達した。
そして彼女は気絶した。
「ふう。これで当初の目的を達成……していないじゃないか!」
俺は我に帰る。
いつの間にか、手段と目的が入れ替わってしまっていた。
「情報を引き出さないと! おい、起きろ! 起きてくれ!!」
「……ううーん……。もうダメぇ……」
「くそっ! なんて寝付きがいいんだ!」
「……すやすや」
「仕方ない。起きるまで待つか……」
その後、目が覚めたキサラは隠していた情報を洗いざらい白状してくれた。
どうやら、街に潜んでいる賊は『闇蛇団』というらしい。
黒狼団や白狼団とも繋がりを持っていたそうだが、基本的には別の組織だとか。
いくつかある賭博場の内、最も本体に近い場所も聞き出すことができた。
騎士団からの尋問では得られていなかった情報だ。
これを聞けたのは大きい。
次の作戦が立てやすくなる。
「ありがとう、キサラ」
「……ふん。それよりも、交換条件は覚えているんだろうな?」
「もちろんだとも。まずは減刑嘆願だろ? 反省さえしていれば、お仲間ともども便宜を図ってやるさ。それと……」
俺はキサラの脇腹をくすぐる。
「あひゃっ!?」
「また今度、くすぐりプレイをしてやるよ。俺の女になれ、キサラ」
「……ふん。仕方ねえから付き合ってやるさ、タカシ親分」
キサラが顔を背けつつそう答える。
こうして、俺は女盗賊キサラの心と情報を手に入れたのだった。
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