魔道技師ジェイネフェリアが来訪してきた翌朝になった。
「昨日はいろいろあったなあ……」
ジェイネフェリアとの一件、花やクリスティとのハプニング。
そして特筆すべきは、レインと一線を越えたことだろう。
昼間はジェイネフェリアとの商談中の出来事だったので、軽く満足させてやっただけだ。
しかしその夜に自室へ改めて招き、今度こそ深い仲になったのである。
「あへぇ……。お館様、すごすぎですぅ……」
夢見心地のレインがそう呟く。
彼女は俺が初めての相手だったそうだ。
しかし、そんな彼女は昨晩乱れに乱れていた。
俺はそれなりに経験豊富な上、『精力強化レベル1』と『夜戦術レベル1』を持つからな。
また、身体能力や五感も優れているため、大抵の相手に満足してもらうことができるだろう。
「ふふふ。また可愛がってやるからな」
俺はレインの頭を撫でながら、そう言った。
しかし、後のことは考えていなかったな。
俺の妻は、現在3人。
ミティ、アイリス、モニカだ。
そして婚約済みの女性が5人。
ニム、ユナ、マリア、サリエ、リーゼロッテだ。
あと、蓮華とも少しそういう話が出始めている。
オリビアに口で奉仕してもらったこともあるし、花にはパンツを半ば事故とはいえ見せてもらった。
だが、結婚に関する話が一切ないままで一線を越えたのは、レインが初めてとなる。
彼女をどう扱うべきか。
普通に考えれば、妻にすべきか。
しかしミティやアイリスが何と言うか……。
それに、あまりにも妻を増やしすぎるのもな。
跡取り問題が発生するかもしれない。
妾ぐらいなら問題ないか?
しかし、最初から妾志望の花とは違い、健気に俺を想ってくれていたレインのことを妾として扱うのもなあ……。
……うん。
ここは保留にしよう!
成り行きに任せるのだ!
「それはそれとして、今はこっちの方が大切かもしれない」
俺はレインのステータスを視線を向ける。
そう。
昨晩大満足させたことにより、ついに加護(小)の条件を満たしたのだ。
レベル?、レイン=ハティア
種族:ヒューマン
身分:平民
役割:メイド
職業:短剣士
ランク:ー
HP:??
MP:低め
腕力:??
脚力:??
体力:??
器用:高め
魔力:??
残りスキルポイント:???
スキル:
剣術レベル2(1+1)
料理術レベル3(2+1)
清掃術レベル2
??
「職業は短剣士か……。確かに、ハイブリッジ杯でも短剣を使っていたな」
キリヤには通じなかったが。
ま、彼は相当な実力者だし、仕方ないだろう。
職業は短剣士でも、スキルとしては剣術になっている。
キリヤの場合も、職業は双剣士だが、スキルとしては剣術だった。
この点、職業はある程度細分化されているが、スキルは過度に細分化されていないといったところか。
「ステータスは……。MPが低めで、器用が高めと……」
短剣士として、小回りの利く戦い方をするタイプだな。
まあ、まだ剣術レベル2なので本格的な戦いは厳しいだろうが。
料理術レベル3と清掃術レベル2を持っているし、本職はやはりメイドのまま頑張ってもらうのがいいだろう。
いざというときは戦闘もある程度こなせる、スーパーメイドといったイメージだな。
もし通常の加護の付与に成功すれば、その時に改めて方針を考えることもできる。
本人がメイドを極めたいのであれば、スキルポイント次第だが料理術や清掃術、その他メイドの仕事に関するスキルを上げていくことができる。
本人がミリオンズの一員として戦闘に貢献していきたいと言うのであれば、剣術や身体能力強化系のスキル、あるいは魔法系のスキルを取得・強化するのがいい。
頼もしい戦力になるだろう。
そして、忘れてはならないのがミッションの件だ。
達成に向けて一歩前進した。
ミッション
加護(小)を新たに5人へ付与せよ。
報酬:加護(微)の開放、スキルポイント20
このミッションが追加されて以降の加護(小)の対象者は、少し前に付与したバルダインだけだった。
レインで2人目だ。
まだ折り返し地点にも来ていないが、ミッション達成が徐々に見えてきたと言っていいだろう。
「さて、そろそろ起きる時間かな?」
俺はベッドから出て着替えを始める。
上を脱いだとき、ちょうどレインが目を覚ました。
「あれ……? お館様……。どうしてここに……?」
「おはよう。昨晩のことを覚えていないのか? ずいぶんと可愛らしい声を上げていたが」
「え!? あっ!」
思い出したようだな。
「あ、あのっ! 私なんかを抱いていただいてありがとうございます! 本当に嬉しいです! この思い出、一生大切にしますっ!!!」
彼女は顔を真っ赤にして、そう言う。
「思い出? おいおい、何を言っているんだ」
「だって、平民の私なんかを抱いていただけるなんて……。しかも、すごく優しかったですし、最後は激しかったし、もう死んでもいいくらい幸せで……。ああ、夢じゃないですよね? 夢だったら嫌だなぁ~……」
レインがそんなことを言う。
俺が苦笑しながら頭を撫でると、彼女は嬉しそうな顔でこちらを見上げてくる。
「レイン。これは夢ではないぞ。それに、思い出になどする必要はない」
「え?」
「なぜならば、今後もずっと可愛がってやるからだ。ま、初めての経験として思い出にするのはありだがな」
俺はレインの耳元で囁いてみた。
「…………」
しかし、レインは固まってしまった。
そして、みるみると涙目になっていく。
「う、うえぇ~ん……。わあぁああん……」
「おいおい。なぜ泣く?」
もしや失言だったか?
忠義度は……。
いや、別に下がってはいないな。
むしろ、少し上がっている。
「だ、だって……。こんなこと初めてだから……。グスッ……。それに、お屋敷に来た頃は毎日不安しかなかったから……。お仕えできただけでも奇跡なのに、優しくしていただける日が来るとは思わなかったから……。グスッ……。これからも、私のことをいっぱい可愛がってくれるんですよね? また抱いていただけるんですよね?」
レインは大泣きしてしまった。
俺は彼女の肩を抱き寄せ、背中をポンポンと軽く叩いてやった。
「レイン。俺の傍に居たいのなら、もっと自信を持て。お前は有能なメイドだ。俺が保証する。あと、今後ともよろしく頼む。期待しているぞ」
「はい……。はいっ……。ヒック……」
「よしよし」
俺は彼女が落ち着くまで待つことにした。
こうして、俺はレインという有能なメイド兼ハーレムメンバーを手に入れたのであった。
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