【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1450話 宿屋の一室にて

公開日時: 2024年7月20日(土) 12:05
文字数:1,158

「はぁ、はぁ……。よ、ようやく終わったぜ……」


「お疲れ様。流華」


 俺は流華に労いの言葉をかける。

 謝罪回りは無事に終わった。

 今は宿屋の一室に戻ってきたところである。


 例の侍にも、この件は報告しておいた。

 金銭的な賠償に加えて謝罪回りまで終えた今、流華の過去の罪は遡及的に免責とされている。

 現代日本とは少し法体系が違うようだが、そのあたりは気にしないでいいだろう。

 とにかく、これで彼は晴れて自由の身となったのだ。


「はぁ、はぁ……。あ、兄貴……」


「ん?」


「その、ありがとうな。オレのために色々やってくれて」


 流華がお礼を言う。

 俺は首を振った。


「別に大したことはしてないさ。気にするな」


「で、でもよぉ……。兄貴がいなかったら、オレぁ……」


 流華はうつむく。

 彼は孤児であり、スリで生計をたてていた。

 その生活は綱渡りのような、いつ転落してもおかしくないものだったのだ。


「お互い様さ。俺だって、余計な手を出して流華に迷惑をかけた。流華が死ななくて本当によかったよ」


「……っ! あ、兄貴!」


「おっと……」


 流華が飛びついてくる。

 俺は彼を受け止めた。

 野郎をハグして喜ぶような趣味は持っていないのだが、ここで躱すのもマズイだろう。

 それに、たとえ男であっても俺を『兄貴』と呼んで慕ってくれる相手だ。

 無下に扱うことはできない。

 俺は彼の頭をポンポンと叩いた。


「兄貴! オレ、一生付いて行きます!!」


「あ、ああ……そうか……」


 やっぱり、彼はなんかヤバい。

 男のくせに、妙な色気があるのだ。

 衆道に目覚めてしまいそうである。

 俺は内心の動揺を必死に隠す。

 そして、話題を変えることにした。


「それにしても、流華」


「ん? どうしたんだよ、兄貴?」


「そろそろ着替えないか? その格好は少々……」


 俺は彼の体に視線を向ける。

 上半身はボロ切れのみであり、腹や脇が露出している。

 胸部は辛うじて隠されているが、逆に言えばそれ以外の上半身はほぼ裸である。


 下半身も際どい。

 かなり短いズボンを穿いている。

 太ももは丸見えであり、尻も半ケツ状態だ。

 男とはいえ……いや、男のモノだからこそ、あまり視界には入れたくない光景である。

 このままだと、間違いが起きてしまうことも否定できない。


「あっ……。や、やめろ。見ないでくれ……」


 流華が慌てて俺から離れる。

 顔を赤くし、モジモジとしている。

 可愛いな……。

 いや、何を考えているんだ俺は?

 相手は男だぞ?

 俺は必死に自分に言い聞かせた。

 しかし、ちょっと前屈みになってしまう。


「と、とにかく! 着替えだ!!」


 俺は強引に話を進めた。

 これ以上は危険だ。

 一刻も早く、平常心を取り戻す必要がある。

 そのためにすべきことは、着替えだ。

 薄着によって醸し出される妙な雰囲気さえなくなれば、俺が男相手にたかぶることもなくなる。

 しっかりと心を落ち着かせれば、どうということもない。

 そのはずだ。

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