【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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1554話 討ち入り、桜花城!

公開日時: 2024年11月1日(金) 12:09
文字数:1,361

「……あそこだ。あそこに紅葉たちが……」


 俺は、とある建物の前に来ていた。

 紅葉・桔梗・流華が捕らわれていると思しき場所。

 それはもちろん、桜花城である。


「芽によって形作られた矢印は、桜花城方面に向いていたからな。そして、その芽は『七つ草』のもの……。桜花七侍が絡んでいると考えて、間違いない」


 俺は考えを再整理しつつ、目の前の桜花城を見る。

 昨日の深夜、俺は桜花城の瘴気を全て吸収した。

 今の俺にとって、桜花城はさしたる魅力も美しさも感じない。


「だが、そんなことを言っている場合ではない。紅葉たちを助け出さなければ……。それに、ミッションの件もある」


 俺は桜花城に向かってひっそりと歩き始める。

 闇に満たされた俺は、全能感でいっぱいだ。

 正面突破でも、桜花城の全てを滅ぼせるはず。

 しかしそれはそれとして、全能感に振り回されない理性も少しは残っている。

 最終的には大立ち回りになるかもしれないが、せめて最初だけは静かに潜入したい。


「……どうやら、桜花城内部や周辺は少しばかり混乱しているようだな。城門前を警備する『侍所』に人がいない。そして、門も開けっ放しだ……」


 俺は『気配隠匿』スキルを活用し、大胆かつ慎重に桜花城へと繋がる橋を渡っていく。

 今の俺は、いつもの日中活動で着用している侍装束だ。

 特に目立ったり、怪しまれたりすることはない。


「ん? おい、そこの――んぎっ!?」


「……」


 門を通り桜花城敷地内に入ったところで、男が話しかけてきた。

 混乱気味の桜花城でも、さすがに敷地内を全スルーとはいかないか。

 だが、彼の言葉は最後まで続かなかった。

 俺が首をトンッとやって、気絶させたのだ。


「悪いな。急いでいるんだ」


 俺は倒れた男に謝る。

 だが、反省も後悔もない。

 紅葉たちを一刻も早く助け出さなければならないのだ。


 俺はそのまま、やや早足で桜花城1階を進んでいく。

 すると、上へと続く階段前に数人の侍が立っているのを見つけた。

 これはさすがに、こっそりと通過はできないか……。


「見ない顔だな、新人か?」


「ああ、そうだ。上階の警備を任されたのだが……」


 侍の一人が、俺に話しかけてくる。

 城内勤務の侍同士は、ほとんどが顔見知りなのだろう。

 少しばかり警戒されている。


 しかし同時に、不審者として強く警戒されているわけでもなさそうだ。

 彼の言葉の通り、新人の侍だとでも思っているのだろう。

 他の侍たちは、俺に特段の関心を示していない。


「なるほど。だが、今は少し立て込んでいてな。今日のところは、一階で待機していてくれ」


「ああ、分かった。ただ……せめて少しだけでも、上階の様子を見ておきたい。今後の警備の参考になるのでな」


 俺はそう告げ、侍の横を通り過ぎようとする。

 ちょっと無理がある理由なのは分かっている。

 だが、通り抜けてしまえばこっちのもの。

 うやむやにする感じで通り過ぎたい。


「おい、待て――がっ!?」


「……」


 侍が俺を引き止めるべく、肩を掴もうとする。

 その手を軽く躱し、腹パンを一発。

 侍が崩れ落ちるより早く、俺は上階への階段を上り始める。


「え?」


「ん? おい……」


 俺と問答していた以外の侍たちが、ようやく異変に気付いたようだ。

 しかし、もう遅い。

 俺は1階から2階への階段を上り終えた。


「く、曲者だ! であえ、であえー!!」


 背後から声が聞こえる。

 俺はそれに構わず、2階を進み始めたのだった。

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