「ちょっと、あんた! 何見てんのよ!」
「変態! 最低!!」
「見ないでよ!! いやっ、もう……!」
「もうお嫁に行けないぃ……」
少女の一人が俺の視線に気づき、他の少女たちもそれに続く。
彼女たちは顔を真っ赤にして股間部の服を押さえている。
「す、すまない! だが、これは不可抗力で……」
俺は必死に釈明する。
確かに、俺は彼女たちのふんどしを奪った。
しかし、この風は完全に偶然の産物だ。
俺は悪くない!
「何が不可抗力よ! この変態!」
「もう許さないから! 絶対、打首にしてやる!!」
「そうよ! あんたなんか、ちゃんとした侍の人たちに捕まってしまえばいいのよ!!」
少女たちが怒りの声を上げる。
このままでは、本当に打首にされかねない。
どうにか、誤解を解く方法は……。
俺は思考を巡らせる。
だが、そんな段階はもう過ぎていた。
「怪しげな雄叫びが聞こえたぞ!」
「こっちだ!!」
男たちの声が聞こえる。
どうやら、騒ぎを聞きつけて城内の侍がやってきたらしい。
このままでは捕まってしまう。
「侍さんたち! この部屋です! この部屋に、怪しげな変質者がいるんです!!」
少女たちが侍たちを呼ぶ。
ここは女中たちの休憩室だ。
侍たちも、通常なら突入をためらうところだっただろうが……。
こうして少女たちが助けを求めている以上、躊躇はしないだろう。
「ぬぅ……変態だと!?」
「この桜花城に、そのような不埒者がいるとは!!」
「どこの家の者だ!? 一族郎党、厳罰に処すべし!!」
「いや、この桜花城にそのような者はおらぬはず! 侵入者の可能性が高いぞ!!」
侍たちはこちらに迫りながら、怒りの声を上げる。
俺は確かに侵入者ではあるが、断じて変態ではない。
しかし、この状況では俺が何を言っても聞いてはもらえないだろう。
ここは――
「うおおおおぉっ! くらえっ! 【デッドリー・ミステイク】!!」
俺は必殺技を発動する。
周囲を強烈な閃光が包み込んだ。
「うわっ!?」
「な、なんだ!?」
「め、目が……!」
侍たちが視界を奪われて怯む。
その間に、俺は全力で逃げ出した。
(おっと……! 戦利品を忘れるところだった)
俺は少女たちのふんどしを改めて回収する。
そして、侍たちから逃れるために再加速した。
「拙者は『ふんどし仮面』! ゆめゆめ忘れるな、ふんどしの素晴らしさを! では、また会おう!!」
俺は捨て台詞を残して、部屋から飛び出す。
そのまま城の外に向かった。
堀や塀があるのでなかなかの脱出難易度だが、俺の身体能力や魔法を駆使すればどうということはない。
俺はすいすいと城外まで逃げ延びる。
そして無事に追っ手を撒き、しばらく時間を置いて紅葉や流華と合流したのだった。
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