ミティがイリーナとレティシアを睨んでいる。
「あはは。ちょっと……アタシはもう疲労困憊なんだけど……」
「わ、私もです……。ハイブリッジ男爵、ミティさんを何とか説得して下さい……」
2人はミティに抵抗する気力が残っていない様子だ。
まぁ、俺との尋問プレイでそれなりの体力を使っていたしなぁ。
イリーナについては、時魔法まで使っていたし。
「ま、まぁまぁ。落ち着くんだ、ミティ。彼女たちも別に悪意があったわけでは――」
「私は至って冷静です。ご安心ください、無茶はしませんので」
「そ、そうか?」
「はい。彼女たちには、タカシ様の偉大さについてじっくり教え込むだけです」
「ふむ……。ならいいか」
俺は深く考えないことにした。
「よ、良くないってばぁ!」
「ハイブリッジ男爵! 私たちを見捨てるのですか!」
「すまない。お前たちのことは忘れないぞ。国を守るために立派に戦ったと、ネルエラ陛下には伝えておく」
俺にとって、イリーナとレティシアはなかなかに重要性の高い人物たちだ。
サザリアナ王国の騎士団の中で高い役職に就いており、その能力も高い。
そして何より、本人たちが美少女である。
しかしそれでも、ミティと天秤に掛ければその優先度は比較にもならない。
俺はミティに逆らうわけにはいかないのだ……。
「そ、そんなぁ……」
「裏切り者ぉ……」
「さぁ、おしゃべりはそこまでです! ささ、タカシ様。まずはこの鞭で……」
「こうか?」
「あぁんっ!」
「ひいいぃん!」
俺はミティの指示の元でイリーナやレティシアに逆尋問プレイを仕掛けていく。
「ふふふ。寸止め地獄だったか? ずいぶんと好き放題してくれたな」
「あ、あうぅ……。ごめんなさい……」
「で、でもぉ! タカシちゃんだって楽しんでいたじゃない……」
「黙りなさい!」
ビシィッ!
ミティの鞭がイリーナを捉える。
「あうっ!?」
「タカシ様がそんなことをお楽しみになられるはずがないでしょう! ねえ? タカシ様」
「……おっ、そうだな!」
俺はそう同意する。
ミティに見られると、思わず背筋がピンと伸びてしまうのはどういうことだ?
「それはそうと、イリーナには1つ聞きたいことがあったんだ」
「なに? この状況で……」
「時魔法を俺に教えてくれないか? 使えると便利そうなんだよな」
「時魔法はアタシのアイデンティティだよ? いくら王国の将来を共に担うタカシちゃん相手にだって、おいそれと教える訳には……」
「頼む! この通りだ」
俺は土下座した。
「ええー……。あ、頭を上げてよ。なんか、こっちが悪いことをしているみたいじゃん……」
「教えてくれるのか?」
「ううーん……」
イリーナの歯切れは非常に悪い。
こうなったら奥の手だ!
ふふふ。
この尋問プレイの状況を大いに利用させてもらうことにしよう。
*****
……という様々な系統の魔法があり、魔法使いはそのいずれかまたは複数の魔法を扱うことができる。
MPの量を増やし、魔力の流れを速やかにする。
基礎鍛錬はこの2つに多くの時間を費やす。
魔法を使っての戦闘では、この2つの優劣が勝敗を分けると言っても過言ではないからだ。
各魔法には、最初級・初級・中級・上級と呼ばれる4つの基本魔法がある。
これは世界規模で詠唱呪文や魔力制御のコツが共有されており、秘匿性の低い魔法である。
一方で、特定の魔法を最上級まで極めると各人で独自の魔法を開発することも可能となる。
4つの基本魔法で対応し切れない場面に対応できる独自魔法が開発されることが多い。
本人の好みや願望が強く影響することも多く、好戦的な性格の方がより強力な独自魔法を開発できる傾向にある。
独自魔法は自分の能力と合っているかどうかも大切だ。
例えば『大量の攻撃魔法で弾幕を張って敵を殲滅する』場合、それなりに多くのMPに加えて、簡易的な魔法を連続して発動する魔力制御も求められる。
仮にその者の能力上の得意分野が『大型呪文をじっくりと詠唱して一撃で敵を範囲殲滅する』というタイプだとすると、あまり向いていないと言えるだろう。
運良く自分の志向と能力傾向が一致していれば、より強い独自魔法を開発できる可能性が高まる……。
「ふんふん。なるほどな」
俺はイリーナから情報を聞き出している。
基本的な内容ではあるが、とても大切なところでもあるな。
こうして上位者から聞き出せたのは運が良かった。
「時魔法のようなレアな魔法の適性はどうやって判別するんだ?」
「あっ。木ノ葉式という方法があっ最も簡単であっあっ一般的なあっ……」
イリーナが情報を漏らす。
ま、俺の尋問術に掛かればこんなものだな。
あっさりと情報を吐いてくれたぜ。
「よし。じゃあさっそくやってみるか。――ん?」
「はぁ、はぁ……。タカシちゃん、アタシをこのまま放っておくつもり? ヒドイよぉ……」
「あ……。すまんすまん」
情報を引き出すことに集中していたな。
断続的な悲鳴を上げていたイリーナだが、別にグロテスクな行為をしていたわけではない。
むしろ、非常に喜んでもらえていたと言っていいだろう。
彼女の身体はビクビクと痙攣しており、顔は涙とヨダレでグチャグチャだ。
「魔法のテストは後でやっておこう。まずはちゃんとイリーナの相手をしてやるとも」
「タカシ様。こっちの女の準備もできておりますが」
「んーっ!!」
ミティの手元にはレティシアがいる。
確かに彼女も準備万端のようだ。
「よしっ! 俺に任せろ!!」
こうして、尋問プレイは進んでいったのだった。
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