【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1552話 いつの間にか朝に

公開日時: 2024年10月30日(水) 12:49
文字数:1,169

「ぎゃはははは! 実に爽快な気分だ!!」


 俺――高橋高志は、桜花藩の城下町を駆け回り続けている。

 昨日の日中は、普段通りに諜報活動をした。

 武神流道場に帰ったあと、師範とちょっとした問答もあったな。

 その後は、心のもやもやの原因となっていた『光の精霊石』を闇魔法で封印して……。

 すっきりした気分になった俺は、夜の諜報活動に乗り出した。

 桜花城の素晴らしい闇の瘴気を目にして、闇魔法によってその瘴気を全て吸収。

 さらにハイになった俺は、桜花城だけではなく城下町全体から闇をいただくべく、夜の城下町を駆け回って今に至るというわけだ。


「さて、中規模以上の瘴気は一通りいただいたな。だが、まだだ。まだ足りない。ちょっとした闇ですら、今の俺にはご馳走となる……」


 俺の中に、闇が満ちていく。

 少し前に記憶喪失となっていた俺は、常に不安感を覚えていた。

 何か大切なことを忘れてしまったような、そんな不安だ。


 だが、今は違う。

 闇は俺の心の隙間を埋めてくれる。

 瘴気を吸収すればするほどに、俺の心は満たされていくのだ……。


「――うぐっ!? あ、頭が……!!」


 不意に、軽い頭痛に襲われる。

 何だ……?

 この感じは?


「日差し……? そうか、いつの間にか朝になっていたのか。いや、朝というより昼前か……?」


 俺は、いつの間にか日が昇っていることに気づいた。

 どうやら、城下町を駆け回っているうちに夜が明けてしまったようだ。

 いつもなら、爽やかな朝と感じていたかもしれない。

 だが、今日は違う。


「はぁ……。少し疲れたな……」


 俺は一般家屋の影に入り、一息つく。

 体が重い。

 どういうことだ?

 闇を吸収した影響だろうか?


 闇は素晴らしいものだ。

 吸収すればするほど、俺は成長できる。

 それは間違いない。

 だが、闇を吸収した体は日光との相性が悪い……という可能性はあるな。


「まぁいい。原因の解明は急ぐこともないだろう。単純に、徹夜活動が体に堪えているだけかもしれないしな」


 俺は軽く伸びをする。

 次にするべきことは……


「そろそろ拠点に帰るか。昼寝すれば、この頭痛も治るだろう」


 昼寝をすると、当たり前だが寝不足が解消される。

 そして、時間経過により日が暮れ始める。

 その2つの意味で、俺の調子が戻る可能性は高いはずだ。

 俺は拠点に向かって歩き出す。

 その道中、ふと思った。


「そうだ。闇の素晴らしさを前に、うっかり存在を忘れていたが……。俺には紅葉たちという大切な仲間がいたな」


 山村の娘、紅葉。

 元スリの少年、流華。

 武神流師範の孫娘、桔梗。

 いずれも、将来性豊かな俺の仲間だ。


「闇は素晴らしいものだ。3人にも、闇をお裾分けしてやろう。桜花城のクソ侍やそこらの一般住民にはもったいないものだが、かけがえのない仲間には別だ。この俺が直々に、闇の魅力を教えてやるとするか」


 俺は道場に向かって歩きだす。

 その足取りは、いつもより少し軽やかなものだった。

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