「むにゃ……。タカシー……」
ファイアードラゴンのドラちゃんが、寝言で俺の名前を口にする。
夢の中でも俺とイチャついているらしい。
「ふふ……。ドラちゃん、かわいい奴め……」
俺は彼女の頭を撫でる。
俺は先ほど、彼女に加護(小)を付与した。
さっそく、彼女のステータスを覗いてみることにする。
レベル?、ドラゴヴィフィア=フレイムハート
種族:繝峨Λ繧エ繝ウ
身分:荳狗エ繝峨Λ繧エ繝ウ
役割:番人
職業:轣ォ轤弱ヶ繝ャ繧ケ菴ソ縺
ランク:ーー
HP:??
MP:高め
腕力:??
脚力:??
体力:??
器用:低め
魔力:??
残りスキルポイント:???
スキル:
火炎ブレス術レベル4(3+1)
飛行術レベル4(3+1)
変化術レベル3
??
(いくつかの文字化けはあるが……。ティーナに比べると少ない方か……)
俺はそんなことを考える。
感覚がズレてきているかもしれない。
本来、ステータス画面に1つの文字化けがあるだけでも充分にヤバいのだが……。
転移者フレンダと聖女リッカは、それぞれユニークスキルらしき箇所が1つだけ文字化け。
古代アンドロイドティーナは、名前、種族、身分、職業、スキルの合計5箇所が文字化け。
そしてファイアードラゴンのドラちゃんは、種族、身分、職業の合計3箇所が文字化けしている感じだ。
(文字化けしている箇所の数だけ見れば、フレンダやリッカよりも多いが……。スキルに文字化けはない。これらが意味することは……)
俺はあれこれ考えてみる。
そして、1つの仮説に辿り着いた。
(それぞれの欄に表示されている単語は、『権限者』が事前に設定していたものなのではなかろうか? 種族、身分、役割、職業、スキルなど……。それらは俺が見ているステータス画面に表示される。だが、『権限者』が事前に設定していなかった単語があった場合、それは文字化けして表示されるとか?)
俺はそんな仮説を立ててみる。
例えば、フレンダやリッカのユニークスキル(?)について考えてみよう。
とても珍しいスキルが故に、『権限者』でもその存在を知らず事前にスキル名を登録していなかった可能性がある。
もしくは、ユニークスキルの存在自体は知っていたが、俺の加護付与スキルの対象者になるとは想定しておらず、事前にスキル名を登録しておくことをサボったとか……。
この仮説が当たっているとすると、『権限者』といえども万能の存在ではないのかもしれない。
(種族や身分の欄についても、似たようなものかもな)
古代アンドロイドのティーナやファイアードラゴンのドラちゃんに加護(小)を付与しようとしたとき、『権限者』がそれを中止してきた。
俺の抗議によって付与処理は無事に再開されたわけだが、『権限者』にとって想定外の対象への付与処理だったに違いない。
(名前の文字化けについてはどうだろう? 事前の登録が云々という話ではないだろうが……)
転移者フレンダ、聖女リッカ、ファイアードラゴンのドラちゃん。
それぞれ、名前については正常に表示されている。
文字化けしているのは古代アンドロイドのティーナだけだ。
(付与処理に対して最も渋ったのは、ティーナに対してだったな……。やはり、魂の存在とかが関係してくるのかね?)
俺はそう推測する。
ドラちゃんが加護付与スキルの対象になったのは、『権限者』の想定外ではあったのだろう。
しかし一方で、彼女が知性ある生命体であることに疑いの余地は一切ない。
そのため、『権限者』は付与処理に対してさほど強く渋ったりしなかったし、付与後の名前もちゃんと表示されている。
だが、古代アンドロイドのティーナについては強く渋る素振りを見せた。
また、付与後の名前には文字化けが発生している。
古代アンドロイドのティーナに魂が存在するかどうか、『権限者』やシステムから見ても微妙なところだったのかもしれない。
(まぁ、過ぎたことはいいけどな)
俺の愛する女を、魂のない無機物と見なした『権限者』に思うところがないわけではないが……。
それは今は置いておくとしよう。
俺の抗議が実り、今では彼女にも加護(小)が付与されているのだから。
それよりも、今はドラちゃんのステータスだ。
引き続き、彼女のステータスを確認していくことにしよう。
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