ハイブリッジ杯の成果を確認しているところだ。
まずは新たに加護(小)を付与した者たちの現状確認である。
トリスタ、ヒナ、セバスは今後も貢献してくれそうだ。
続いて、残りの2人のステータスを確認する。
レベル?、キリヤ=エイクオルド
種族:ヒューマン
身分:平民
役割:筆頭警備兵
職業:双剣士
ランク:C
HP:低め
MP:??
腕力:??
脚力:高め
体力:??
器用:??
魔力:??
残りスキルポイント:???
スキル:
剣術レベル5(4+1)
雷魔法レベル3(2+1)
??
キリヤの冒険者ランクはCだ。
かなり前には冒険者として活動していたことがあり、その際にDランクまで昇格していたそうだ。
しかしある日パーティメンバーと揉め事を起こしたため引退状態になり、ヴィルナのヒモとして過ごしていた。
その後は俺の配下登用試験に合格し、ハイブリッジ家の警備兵として働くようになった。
最近になり、文官トリスタが主導して取り組んでいる西の森の開発や街の周囲のファイティングドッグ狩りを行うようになった。
それらは一度冒険者ギルドを介してキリヤが受注している形になるので、彼の冒険者としての実績にも繋がる。
また、今回のハイブリッジ杯で準優勝をしたことも好評価だったようだ。
冒険者ギルドが関わっていない各種大会の功績も、ランクの評価において一定程度は考慮されるのである。
それらの結果、彼の冒険者ランクはDからCに上がった。
キリヤのスキルにおいて、特筆すべきは剣術のレベルの高さだろう。
もともとレベル4で、加護(小)の恩恵により最高レベルの5に達した。
蓮華の場合は、もともとがレベル3で、加護(小)の恩恵によりレベル4に達している。
トーナメントでも死闘を繰り広げていたし、キリヤと蓮華は同格かもしれない。
いや、キリヤに加護(小)が付いた今は、キリヤの方が上か?
だが、蓮華には強力な風魔法がある。
それ単体でも十分に有効な風魔法だ。
一方のキリヤの雷魔法は、あくまでも剣術の補助的な使い方にとどまる。
殺傷能力の高い武器や魔法を禁止していたハイブリッジ杯においてはキリヤが優勢だったが、ルール無用なら蓮華の方が優勢になる可能性は十分にある。
まあ、別に蓮華とキリヤは対立しているわけでもないので、普通に仲良く切磋琢磨してもらえればいいのだが。
キリヤは、今後もハイブリッジ家の筆頭警備兵として活躍してくれるだろう。
いずれ新たに領軍を編成した場合は、そのトップもしくは幹部クラスに置くのもありだな。
一方の蓮華は、いずれは故郷のヤマト連邦に帰るだろう。
ミリオンズの一員としてこの街にとどまっているのは、武者修行のためである。
俺やキリヤというハイレベルな剣士がいることだし、彼女も学ぶことは多いはず。
一度ソラトリアという剣の聖地に向かってみるのもいいかもしれない。
まあ、このあたりはおいおい考えよう。
レベル?、ヴィルナ=エイクオルド(旧姓:シルリーニャ)
種族:兎獣人
身分:平民
役割:索敵員
職業:細剣士
ランク:D
HP:??
MP:??
腕力:低め
脚力:高め
体力:??
器用:??
魔力:??
残りスキルポイント:???
スキル:
剣術レベル3(2+1)
獣化術レベル3(2+1)
気配察知術レベル3(2+1)
??
ヴィルナの冒険者ランクもCだ。
ハイブリッジ家に登用される前はDランクで、安定した戦闘能力と索敵能力で好評価を得ていたそうだ。
最近になってCランクに昇格した理由はキリヤと同様である。
西の森の開発やファイティングドッグ狩りに加え、今回のハイブリッジ杯で優勝を収めたことが評価されたのだ。
彼女のスキルを見てみよう。
剣術、獣化術、気配察知術がそれぞれレベル3となっている。
ミリオンズの面々と比べると極端に優れているわけではないが、一般冒険者や一般兵士に比べると安定して高いレベルにあると言っていい。
また、彼女の長所は抜群の聴覚にもある。
兎獣人としての生来の能力であり、スキルとしては表示されていないだけだ。
彼女の近況を確認しておくか。
「ヴィルナ。キリヤとの新婚生活はどうだ? 困っていることはないか?」
俺は何気なく尋ねたつもりだったが、ヴィルナは顔を真っ赤にしてうつむいたまま黙り込んでしまった。
これは……、何かあるな。
「ヴィルナ」
俺が再度促すと、彼女は意を決したように口を開いた。
「実は……部屋の壁が少し薄いかなと思っているのです……」
「ほう。壁か」
彼女たち2人は、新婚なので同じ部屋で住んでもらうことになった。
もちろん本人たちやミリオンズの面々とも相談した結果だ。
新築の別館を一部だけリフォームし、夫婦水入らずで生活できるようになっている。
だが、残念ながら防音機能などは特に施していない。
ごく普通の壁のままだ。
同じ建物内に住んでいる他の者には、大きめの声を上げれば聞こえてしまうだろう。
日常会話や生活音ぐらいならあまり響かないはずだが……。
「確かに、ヴィルナの声は本館にまで聞こえてきたことがあったな」
彼女とキリヤとの夜の生活……いや、性活は順調なようである。
「え、えええっ!?」
今度は顔から耳まで赤く染めて、あわあわと慌てる。
うーん。
ちょっと悪戯心が芽生えてしまったぞ。
「ヴィルナ。お前は声が大きなタイプなんだな。俺も妻も、そんなことは全然ないんだがなぁ……」
「ううう……」
ヴィルナは目に涙を浮かべている。
さすがにいじめすぎたか。
セクハラはこれぐらいにしておこう。
俺がそう思ったとき……。
「おいおい。俺のヴィルナに絡むのはやめてもらおうか。ハイブリッジ騎士爵サマよぉ」
キリヤが口を挟んできた。
俺がヴィルナにセクハラしているのを嗅ぎつけ、助け舟を出しに来たようだ。
夫の鏡である。
「誤解だ。お前たち2人の部屋の防音機能を強化しようかと相談していただけだ」
俺はそう言い訳をしておく。
まるっきり嘘というわけではないし。
「ほう。そりゃ助かるな。俺は気にしねえが、ヴィルナが気にしていたからな」
「ううっ。それはそうですよ……。ヒナさんやシェリーさんにもからかわれるんです。顔から火が出るかと思いました」
ヴィルナが顔を赤くしたままそう言う。
2人が夫婦として今後も仲良く暮らしていくためにも、館の再整備は必要か。
トリスタやヒナも同じような悩みを持つかもしれないな。
街の大工に依頼しておくことにしよう。
さて。
それはそれとして、他の者たちの現状と今後についても考えておかないとな。
トミーや雪月花たち、それにナオンとその部下たちの仕事ぶりを再確認しておこうか。
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