【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

762話 そこに美少女がいれば

公開日時: 2022年8月26日(金) 12:29
文字数:2,104

 俺は少女騎士たちと対峙している。

 だが、彼女たちはなかなか動き出さない。

 まるで、何かを言い淀んでいるかのようにも見える。


「おい、早くかかって来いよ」


「……そ、その前にひとついいですか?」


「なんだ?」


「その……なんで、イリーナ大隊長とキスをされたのですか?」


「ん? それはもちろん、彼女に俺のことを信じてもらうためだが……」


「「「…………」」」


 少女騎士たちが無言になった。

 そしてなぜか、顔色がどんどん赤くなっていく。


「あれ? なんか変なこと言ったか?」


「は、ハイブリッジ男爵には奥方がいらっしゃいますよね!?」


「それがどうかしたか?」


「どうかしたというより、なぜそのようなことをなさるのですかっ!」


「いや、そこに美少女がいればキスはするだろ。男として当然のことだ」


「「「…………」」」


 またしても少女騎士たちが黙り込む。


「もういいから、早くかかってこい」


「で、では最後にひとつだけ……」


「なんだ?」


「私が健闘したら、私にもキスをしていただけますでしょうか!?」


 少女騎士のひとり――ルシエラが叫んだ。


「……は? いや、まぁ、そのくらいなら別にいいけどさ。本当にそんなことでやる気が出るのか?」


「はい! 絶対出ます!」


「そうか。なら、がんばれよ」


「はいっ!」


 こうして俺とルシエラは構え直す。

 いよいよ試合が始まるかと思ったが――


「あっ! ズルい! 私もしたいです!」


「私もお願いします!」


「「「私たちも!!」」」


 他の少女騎士たちも一斉に声を上げた。

 なんでこんなに人気なんだ?

 まぁ、平民から男爵まで駆け上がった俺は、相当な有望株であることは間違いないのだが……。

 顔面偏差値は普通のはず……。

 こればかりはスキル取得でどうにかなるものでもないし。


(いや、待てよ?)


 そう言えば日々の冒険者活動や鍛錬を通して、精悍な顔つきになってきた気がしないでもない。

 将来有望でイケメン、そして無類の女好きともなれば、ワンチャンの玉の輿狙いの女性が群がってくるのも当然の話か。

 だが、俺の地位や金が狙いの女性にあっさり丸め込まれる俺ではないぞ。

 ここは毅然とした対応を――


「ふっ、いいだろう。俺を倒したら、希望者全員にキスをした上、ハイブリッジ家に登用してやろう」


 あれ?

 内心で思っていたこととは違うことを話してしまった。


「「「きゃーっ!!!」」」


「ちょっ!?」


 イリーナがまた何かを言い掛けたが、俺は目で彼女を制する。

 男たるもの、前言を撤回するわけにはいかない。


「俺を倒せずとも、最も活躍した者はハイブリッジ家への登用を健闘する。そして俺に一太刀でも入れた者には、キスしてやると約束しよう」


「「「おお~っ!!」」」


 よしよし、盛り上がってきたな。


「では、行くぞ」


「「「はい!」」」


 少女たちが金属製の剣を構える。

 俺も愛用の木剣――という名の木の枝を構えた。

 そして、試合開始の合図を待つ。


「はじめッ!」


 イリーナが右手を振り下ろした。

 直後、まずひとりの少女が動いた。


「いきます!」


 ルシエラが一気に間合いを詰めてくる。

 速い。

 だが、この程度なら対処できる。


「ハッ!」


 俺は彼女の一撃を軽く受け流す。

 そして、そのまま反撃に移る。


「せいっ!」


「くっ!」


 ルシエラの鉄剣が俺の木の枝を受け止めた。


「ば、バカな……。なぜそんなもので剣を受け止められるのです!?」


「闘気を通しているからだが……」


「そ、それにしたって限度というものが……。ええい! みんな、今のうちよ!」


 ルシエラの声に、残りの少女騎士たちが一斉に動く。


「ハァアアッ!!」


「セイヤァアッ!!」


「セェイッ!」


 3人同時に斬りかかってくる。

 なかなか息の合った攻撃だ。

 だが――


「甘い!」


 俺はルシエラの剣を止めていた木の枝をクルリと回転させ、逆に彼女たちの剣を巻き取った。


「うわわわわわわ!?」


「「「キャアアアアアッ!?」」」


 少女騎士たちが悲鳴を上げる。

 そして、彼女らの手から離れた剣が地面に落ちる前に、俺はそれをキャッチした。


「はい、没収っと」


「そ、そんな……」


「こ、これはいったい……」


「信じられません……」


 少女騎士たちは呆然自失としている。

 これでこの4人は脱落だな。


 ……ん?

 ルシエラだけはまだ諦めていないような目をしているが……。

 まぁ、剣を失っては何もできないだろう。


 と、そんなことを考えているうちに、少し離れたところから魔力の波動を感じた。

 俺はそちらに視線を向ける。


「脱落者はどいてなさいっ! いきますよ!」


「「はあああぁっ!!!」」


 少女たちが何やら魔力を開放している。

 俺を中央にした三角形の頂点に位置するように陣取っている。

 あれは――


「【アイスボール】!」


「【エアバースト】!」


「【ストーンショット】!」


 3種の魔法が発動。

 氷弾、風刃、石礫が飛んでくる。


「ほう、魔法の使い手か」


 初級とはいえ、一般人を含めれば使い手はめずらしい。

 やはり騎士団。

 優秀な人材が集まっているようだ。


「逃げ場はありませんよっ!」


「後詰め用意よし!!」


「お覚悟!」


 他の少女騎士が剣を構えている。

 この3種の魔法攻撃に手間取れば、容赦のない追撃がくるだろう。


(魔法や剣術込みなら、いくらでも対処方法はあるが……)


 それ以外の技法でこの包囲網を無傷で突破するには――

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