「策?」
俺は首を傾げる。
すると、カゲロウが口を開いた。
「その前に、一つ確認しておきたいのだが……。高志殿は、桜花藩に行きたいのだな?」
「ん? ああ、そうだ」
カゲロウの問いに、俺はうなずく。
彼女はそんな俺を見て、真剣な表情を浮かべた。
「この『霧隠れの里』に骨を埋めるつもりはないか? 里長の私と共に、この里を守っていく気はないだろうか?」
「…………」
思わぬ言葉に、俺は黙ってしまう。
俺としては、それもアリかもしれないと思った。
だが、彼女は本当にそれでいいのだろうか?
俺はカゲロウの顔をジッと見つめてみる。
彼女は頬を染めつつも、真剣極まりない表情だった。
「高志殿……どうだろうか?」
「ふむ……」
彼女は本気だ。
俺も真剣に考え、答えなければならない。
「私と共に、この里を……」
「カゲロウ。それはできない」
俺は彼女の言葉を遮った。
すると、カゲロウは悲しげな表情を浮かべる。
そんな彼女の顔を見ると、俺の胸が痛んだ。
だが、それでも俺はカゲロウに言わなければならない。
「俺は桜花藩に行きたいんだ」
「どうして……」
「そこに、俺の記憶を取り戻すきっかけがある気がするんだよ」
俺はカゲロウに言う。
ミッション……。
記憶喪失の俺でも、その特別性は理解できる。
ミッションで命じられた内容を達成すれば、何かを掴めるかもしれない。
彼女は目を閉じて、大きく息を吐いた。
「そう……か……」
そして、目を開けた彼女は寂しそうな笑みを浮かべていた。
俺とカゲロウは、無言で見つめ合う。
「すまないな」
「高志殿の記憶喪失の遠因は、私にもあるのだ。高志殿に恨み言を言えるはずもない」
「ああ……」
「だが……そうだな。今なら、イノリ殿もおまけでついてくるぞ?」
カゲロウは、イノリに視線を向ける。
すると彼女は、慌てて顔を横に振った。
「わ、私は別に……高志様とそういう関係になりたいとか……」
「そうなのか? イノリ殿が高志殿に向ける視線は、明らかに懸想している者のそれだと思うのだが……」
「ち、違います!」
イノリが顔を赤くする。
可愛いな……。
カゲロウだって美人だし、俺の失われた記憶の中には他にも魅力的な女性はいただろう。
しかし、処女の巫女が赤面する姿というのは、男心をくすぐるものがある。
「高志殿も満更ではなさそうだな?」
カゲロウがニヤニヤしながら言ってくる。
俺は思わず視線を逸らしてしまった。
そんな俺に畳み掛けるように、カゲロウが次の行動に打って出た。
「イノリ殿。ちょっといいか?」
「はい……?」
カゲロウは、イノリの背後に回る。
そして……彼女の巫女装束の胸の部分をはだけさせた。
「ひゃああああぁっ!?」
イノリが顔を真っ赤にする。
彼女は慌てて両手で胸元を隠した。
だが、カゲロウは気にせずに話し始める。
「どうだ? 高志殿」
「……素晴らしい」
俺は思わず唸る。
イノリの巫女装束から覗く、二つの果実。
俺の視線はそこに釘付けになっていた。
決して大きくはない。
そもそも、先ほどもたっぷりと見せてもらったものだ。
初めて見るものではない。
だが……こうした別のシチュエーションで見る胸というのは、また違った刺激がある。
実に素晴らしい。
恥じらう顔、はだけた巫女装束、控えめな膨らみ。
まさにベストバランス。
ヤマト連邦の至宝はここにあったのか!!
「た、高志様……見ないでください……」
イノリが恥ずかしそうに身をよじる。
そんな彼女の仕草を見て、俺は将来のことを改めて真剣に考え始めてしまうのだった。
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