ノノンの長い夜が続いている。
資金が完全にゼロになった彼女は、自分が着ている服を1着あたり金貨1枚分のチップとして賭けている。
だが、仕切り直してからの最初の勝負は負け。
彼女はスカートを剥ぎ取られ、ショーツを晒す。
さらに次の勝負でも負けた。
「ひゃはは! 脱ーげ! 脱ーげ!」
「いいぞ、いいぞ!」
観客たちのヤジが飛ぶ。
ノノンの服は、残りわずか2枚。
シャツとショーツだけだ。
そのどちらかを脱がなければならない。
「うう……。ぐずっ……。もう、やめて……」
ノノンは泣きじゃくり、顔を伏せる。
「おいおい、嬢ちゃん。まだ2回負けただけだろう? 諦めるのは早えぜ」
「ほら、さっさと脱げや。そうすりゃ、最後にもうひと勝負ができる」
「そんなボロ布を金貨1枚分のチップとして認めてやってんだ。この厚意を無下にするってんなら、こっちにも考えがあるぜ?」
ロッシュが凄む。
ここまで、彼の筋書き通りに事が運んでいた。
このままノノンの服を全て剥ぎ取り、その次の段階まで進めばこの仕事は完了となる。
(へへ。こいつはガキだが器量良しだ。うまく奴隷に堕とすことができりゃ、先行投資分や手間賃を払ってもお釣りがくる)
このサザリアナ王国の法体制はしっかりしている。
また、騎士団や衛兵なども真面目に仕事をしており、大犯罪を犯せば目を付けられ、優先的に潰される。
(少し前に、『黒狼団』の奴らが王城に侵入しやがったのだったか。よくやるぜ、あいつら)
ロッシュは狡猾さだけでなく、戦闘能力も高い。
しかし、さすがに騎士団に目を付けられて生き延びるほど自信過剰ではなかった。
ノノンを奴隷に堕とすために、わざわざこうして回りくどいことをしていることにもその慎重さが表れている。
(誘拐して強引に奴隷に堕とすのもできなくはねぇが、騎士団に目を付けられる。こうしてギャンブルを介することで、本人にも負い目を感じさせることができるってわけだ)
高レートのギャンブルは、サザリアナ王国において違法だ。
しかしそれはそれとして、参加者たちは負け分を素直に支払うことが多い。
踏み倒せば胴元の『闇蛇団』が黙っていないという事情もあるが、それだけではない。
そもそもギャンブルの世界に足を踏み入れたのは各自の判断であり、そのことを負い目に感じて自主的に支払うのだ。
この点は、日本における野球賭博だとか麻雀賭博あたりと同じイメージだろう。
「ぐすっ……。ぐすっ……。ううっ……」
ノノンは嗚咽を漏らして泣いている。
だが、ようやく覚悟を決めたのか、顔を上げた。
「分かりました……。シャツを脱ぎます……」
「はっはっは! いい覚悟だぜ! さあ、脱ぎな!」
ノノンはシャツに手を掛ける。
そして、ゆっくりとボタンを外していった。
「ううっ……。ううっ……」
「へへ、よく見とけよ。こいつは見物だぜ」
「ああ。娼婦のストリップなんざ見飽きたものだが、こいつは別格だな」
「そうだな。こんなガキのストリップは初めて見るぜ」
観客たちが口々に感想を述べる。
「ぐすっ……。ううっ……。ぐすっ……」
ノノンは羞恥に耐えながらも、シャツのボタンを全て外し終えた。
シャツの前が開き、可愛らしい胸元が露わになる。
彼女は手でシャツの前を閉じる。
「ははは! 恥ずかしいのか!?」
「ガキの癖に色気づきやがって!」
「乳首立ってんじゃねえのか!?」
「こりゃあ傑作だぜ!」
観客たちは大喜びしている。
彼らの目はどこか黒ずんで狂気をはらんでいた。
「ううっ……。ぐすっ……。ううっ……」
「だが、ボタンを外しただけじゃダメだぜ。おら、誰かそのシャツを回収しな」
「へい!」
「い、いやぁっ!」
ノノンが抵抗する。
「またかよ。往生際が悪いな」
「そうだそうだ。大人しくしとけ」
「い、いやっ……。お願いします……。許してください……!」
「こうなりゃまた実力行使だ」
「暴れんなよ? 嬢ちゃん」
ノノンの左右の手がそれぞれ掴まれる。
ただでさえ、大の男と少女だ。
力の差は歴然。
その上、ノノンの右腕を1人、左腕を1人が拘束している。
これでは、抵抗できるはずもない。
「ひっ! 離してっ! 嫌っ! い、痛いっ!」
ノノンが必死に抵抗するも、男たちの力には敵わない。
彼女の腕が少し開かれた状態まで持っていかれる。
シャツのボタンは全て外されているので、当然彼女の体の前半分はフリーの状態となった。
「ほら、可愛い胸元が丸見えだぜ?」
「おおっ! いいねえ! もっと見せてくれ!」
「ははは! いいぞ! もっとやれ!」
観客たちが囃し立てる。
「やめっ! 見ないでくださいっ!」
「ははっ。今さら遅えよ」
「おら、仕上げだ!」
ガバッ!
ノノンの両腕が強制的に上げさせられた。
バンザイの状態となる。
あれよあれよという間にシャツも剥ぎ取られる。
これで、ノノンの上半身は完全に露出してしまった。
「ふーむ。ちっちゃくて可愛い胸をしてるじゃないか」
「へへ、本当だ。綺麗な肌してるなあ」
「いいねいいねぇ! 俺、こういう展開を待ってたんだよぉ!」
「ロリコンかよ。気持ち悪い奴だぜ」
「ま、顔は悪くねえけどな。今はまだ早いが、あと2年もすりゃ……」
「わかってねぇな。こういう膨らみかけのが一番いいんだろうが!」
観客たちが好き勝手に言っている。
ノノンの体は、真っ赤に染まっていた。
「ううっ……。ぐすっ……。ううっ……」
ノノンは嗚咽を漏らしている。
「おいおい、泣くなよ。これからが本番だぜ? 最後の一枚を賭けた大一番が残ってるじゃねえか」
「ぐすっ……。ひくっ……。ひぐっ……」
ロッシュの言葉を受けても、ノノンが泣き止むことはない。
大勢の男の前で、彼女の服装はショーツ1枚のみ。
スカートもシャツも剥ぎ取られてしまった。
その上、彼女の両手は万歳の状態で押さえつけられている。
つまり、今のノノンはノーガード。
どんな視線でも受けるしかないのだ。
「さて、そろそろ離してやれ。そのままじゃ勝負にならねえからな」
「へい!」
「はっはっは! よかったなぁ! これで隠せるぜ!」
「ううっ……。ううっ……」
ノノンは嗚咽を漏らしつつ、両腕で体を隠す。
だが、それで隠れるのはほんの一部。
殆どの部分が露わになったままだ。
「へへ。それじゃあ、いよいよ最後の一勝負だ」
ロッシュがそう言い、ついにノノンの運命が決するときが来たのだった。
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