【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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1149話 ユナとトミー【北部side】

公開日時: 2023年9月19日(火) 12:35
文字数:1,673

 タカシがユナやトミーを見掛ける少し前の話――の続きだ。

 リンドウ北部になだれ込んで来た魔物は、まずは一般住民が戦って時間を稼いだ。

 続いて、ブギー、ジョー、ケフィ、ロッシュたち鉱山戦力がゴブリンの数を減らす。

 さらには治安維持隊が到着し、ホブゴブリンたちにも対処していった。

 しかしそこに、新たな脅威が襲う。


「ギャオオオオオォ!!」


「こいつ……まさか!? ゴブリンキングか!?」


「こんな大物、初めて見たぞ……」


 キサラやヤックルも驚く存在が現れた。

 ゴブリンキング――ゴブリンの上位種だ。

 ホブゴブリンやゴブリンジェネラルよりも上の存在である。

 当然、その戦闘能力は高い。


「グルルルォオオオオ!!!」


「「ゴブッ! ゴブーッ!」」


 ゴブリンキングが号令をかけると、後方から追加のゴブリンたちが現れる。

 さらにホブゴブリンやゴブリンジェネラルまで現れた。


「ちぃっ! どうしてゴブリンキングなんて大物が……」


「ヤックル隊長! 一度退きましょう!!」


「建物の被害を我慢して陣形を整えれば……ゴブリンキングだって倒せるはずです!」


「しかし……ハイブリッジ男爵様に任された街を、そう簡単に荒らされるわけには……」


 ゴブリンキングが出てきたことにより、戦況は一気に不利になった。

 このままではマズイ。

 誰しもがそう思っていた。


 だが、隊長のヤックルは一時撤退を決断できない。

 何とかこれ以上の被害を出さない方法はないのか。

 彼が悩んでいる時だった。


「――【ハンドレッド・ファイアーアロー】!!」


「「ギャオオォッ!?」」


 上空から炎の矢の雨が降る。

 その雨は、ゴブリンキングにこそ当たらなかったが、それ以外のゴブリンやホブゴブリンたちを焼き払っていく。

 さらに――


「【エアバースト】!!」


「グルッ!?」


 風の塊がゴブリンキングをよろけさせる。

 その隙に、2人の男女がヤックルたちの前に降り立った。


「ふふん。待たせたわね! 援軍よ!!」


「ユナ様!? それに……トミー殿まで!」


「遅れてすまん。街の反対側にいたもんでな」


 それはユナとトミーだった。

 2人はリンドウの常在戦力ではない。

 ユナは気ままな散歩中であり、トミーは諸用でリンドウを訪れていた。

 しかし偶然どちらも街の反対側にいたため、駆けつけるのが遅れたのだ。


「おおっ! 『魔弾』のユナ様だ! Bランク冒険者だぞ! 彼女がいれば、ゴブリンキングだって怖くないぜ!!」


「Cランクパーティ『緑の嵐』リーダーのトミーもいる! Bランク間近っていう噂もある彼なら、ゴブリンたちを始末してくれるぞ! これで勝ったも同然だな!!」


「リンドウの……いや、ハイブリッジ男爵領の英雄たちだ! この目で見ることができるとは!!」


 ユナの登場により、住民たちは一気に活気を取り戻す。

 そんな彼らの様子を確認した上で、ユナは宣言する。


「ゴブリンキングを倒すには、それなりの魔法が必要になるわ! あんたたち、邪魔だから下がって――」


「「「ユナ様! ユナ様! うおおおぉっ!!」」」


「お前ら、ちゃんと聞け! いくらユナ様だって、ゴブリンキングを片手で倒したりはできねぇんだぞ!! 巻き添えにならないよう、しっかりと後ろに――」


「「「わあああぁっ! トミー! トミー!」」」


「き、聞いちゃいねぇ……」


 ユナやトミーの言葉を聞かず、住民たちは熱狂している。

 それも仕方ないかもしれない。


 リンドウにも、ハイブリッジ男爵家の配下は常駐している。

 採掘場統括者のブギー、ジョー、ケフィ。

 リンドウ治安維持隊のヤックル、キサラ。

 リンドウ温泉開発担当官のアビー。

 リンドウ酒場の店長にして、影の実力者とも言われるトパーズ。

 このあたりが有名で、影響力もそれなりにある。


 しかし、あくまでそれはリンドウ内での話だ。

 ハイブリッジ男爵家全体から見れば、その影響力はたかが知れている。

 そんな中で、領主の第五夫人にして『魔弾』の二つ名を持つBランク冒険者のユナがやって来たのだ。

 そしてついでに、Bランク間近とも噂される御用達冒険者のトミーの姿もある。

 盛り上がるなという方が無理があるだろう。


 ゴブリンキングを前にして、ユナとトミーは少しばかり困った状態に陥るのだった。

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