【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1573話 甘ちゃん

公開日時: 2024年11月20日(水) 12:10
文字数:1,200

「桜花家伝来……【乱舞・千本桜】!!」


「「【二重桜花槍】!!」」


「ちぃっ! 調子に乗りやがって……!!」


 景春と、その妹たち。

 合わせて3人の血統妖術が俺を次々に襲う。


「俺には効かん……そう言っているだろうが!!」


「くく……。それはどうかな? 貴様の火妖術は見事だが、妖気には限りがあるはずだ。こちらからの攻撃を無力化する度に、貴様の妖力は減っていく……。その状態で余たち3人を相手にして、いつまで耐えられるか見ものだ」


「ちっ!」


 景春の指摘は概ね合っている。

 俺の『炎精纏装サラマンダー』はかなり強力な魔法だが、決して無敵ではない。

 発動しているだけでMPを消費するし、攻撃を受ければその度に多少のMPを消費する。

 火は桜に対して相性が良いため、本来は気にするほどのMP消費量ではないのだが……。

 攻撃に全振りした3人がかりの攻撃を受け続ければ、さすがに厳しい。


「図に乗るなよ! 俺が全力を出せば、お前らなんか一瞬で消し炭だ!!」


 俺は叫ぶ。

 かなりイライラしていた。

 しかし、桜花家の3人は動じない。


「やれるものなら、やってみたらどうだ?」


「わたしも覚悟は決めました……。もう、何も怖くありません!」


「ねぇさまと……桜花家のためなら! わたしの命を捧げます!」


 3人が告げる。

 その間にも、俺への集中攻撃は続く。


「ちっ!」


 俺は闘気で身体能力を強化し、桜吹雪を避ける。

 だが、なにせ手数が多い。

 少なくない数の花びらが俺にヒットし、じわじわとMPを削ってくる。

 本当に……人を苛つかせるのが上手い奴らだ。


「忠告はしたぞ……! そんなに死にたいのなら、勝手にしろ!!」


 俺は叫ぶ。

 もういい。

 不殺もクソもない。

 このガキどもを一人残らず殺す!


「くらえっ! 爆裂火炎――うぐっ!?」


 俺は火魔法を発動しようとした。

 だが、その直前で……俺の体が動かなくなる。


『タカシ……』


『タカシお兄ちゃん……』


 まただ。

 また、幻聴と幻視。

 ボーイッシュな美少女と無垢なハーピィの少女が俺を見つめて……いや、責めるように睨んでいる。


「くっ……!!」


「ふははは! やはり、体が動かぬようだな!! こちらの勝ちだ!」


「悪く思わないでください」


「桜花は……渡しません!」


 景春と双子。

 3人の妖術が俺を襲う。

 やはりダメだ。

 強めの攻撃を仕掛けようとすると、体が動かなくなる。

 記憶を失う前の俺――あるいは闇を受け入れる前の俺は、筋金入りの甘ちゃんだったらしい。

 まるで呪いのように忌々しい。


「ちぃっ!」


 俺は刀で妖術を受ける。

 しかし、全ては防ぎきれない。

 肉体にダメージはないが、MPが削られていく。


「ふふふ! いいぞ!」


「このままいけば勝てる……!」


「お願い、このまま……」


 3人の攻撃は苛烈になっていく。

 俺は、かなりのストレスを感じていた。

 こいつら……。

 半ば呪いのようなものとはいえ、幼子を傷つけないという俺のポリシーが無ければ、とっくに死んでいるんだぞ。

 それにつけこんで、好き放題しやがって……。

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