【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1067話 千本桜

公開日時: 2023年6月29日(木) 12:13
文字数:1,898

 俺とベテルギウスの激しい戦いが続いている。

 龍神の力は脅威だが、炎精サラの力を得た俺もそうやすやすと負けるつもりはない。


「――【獄炎球】!!」


 俺の右手から、特大の火の玉が放たれた。


「その程度か! 同じ技は通用せん!!」


 ベテルギウスが拳を振るう。

 すると、その拳から凄まじい衝撃波が発生し、火の玉を打ち消した。


「ちぃっ!!」


 俺は舌打ちをする。

 同じ魔法でも、多めの魔力を込めておいたんだけどな。


(ベテルギウスの奴め、さっきよりも強くなっていやがる……)


 俺という掘り出し物を見つけて、やる気満々になった影響か。

 だが、こちらも負けてはいない。

 元より俺は、火魔法を最も得意としている。

 そんな中、俺は新たに炎精サラの力を借りて纏装術を発動した。

 今の俺は、まさに火のスペシャリスト。

 自分で言うのも何だが、俺を止められる奴はそうそういないだろう。


「――炎あれ。わが求むるは豪火球。【千本桜】!!」


 俺は右手を掲げ、詠唱する。

 直後、俺の周囲に大量の炎の桜花弁が出現する。


「なっ!?」


 ベテルギウスが驚く。

 だが、すぐに冷静さを取り戻して叫んだ。


「無駄だ! 数だけ多くとも、矮小な威力で我が闘気を貫けると思うな!!」


 ベテルギウスがそう言うと同時に、彼の身体から闘気が溢れ出す。

 そして、そのまま防御態勢を取った。

 俺はそれを見てニヤリと笑う。


「矮小な威力かどうか……試してみるがいい!!」


 俺は右手を突き出した。


「散れ! 【千本桜・鳳凰乱舞】!!」


 俺の号令に合わせて、炎の桜花弁が一斉にベテルギウスへと殺到した。


「ぐむっ!? 一発一発の威力が想定以上に高い……。――くそがぁあああっ!!!」


 ベテルギウスが絶叫する。

 だが、俺は手を緩めない。


「まだまだいくぞ! ――炎よ燃え上がれ。天高く舞い上がり、我が敵を焼き尽くせ! 【炎魔煉獄覇】ぁ!!」


 俺は超火力の魔法を放つ。

 ベテルギウスを中心に、巨大な炎の柱が立ち昇った。


「おのれぇえっ!! 調子に乗るなぁあああっ!!」


 ベテルギウスの闘気がさらに膨れ上がった。

 炎が次々とかき消されていく。


「なにっ!?」


「【龍撃・神威】!!」


 ベテルギウスが全身に闘気を纏う。

 そして、炎柱を強引に突き破って突進してきた。


「くっ!!」


 俺は咄嵯に防御姿勢を取る。

 炎化している今の俺に物理攻撃は効かないはずだが……。

 嫌な予感がしたのだ。

 そしてその予感は正しかった。


「ぐぁっ!!」


 俺はベテルギウスの攻撃により、大きくふっ飛ばされてしまう。

 何とか重力魔法で体勢を立て直したが、それでもかなりのダメージを受けてしまった。


「はぁ……はぁ……」


「くっくっく……どうだ? 己の無力さを実感できたか?」


「……何の魔法だ? 今の俺に物理攻撃を通すとは……。それに、その前の火魔法も、そう簡単に突破できるものじゃないはずなんだがな」


「今の一撃で理解できなかったのか? まあいい。教えてやる」


 ベテルギウスが不敵に笑う。

 そして、言葉を続けた。


「我は龍神ベテルギウス。魔法については詳しくないが、魔法使いへの対策くらい心得ている」


「対策だと?」


「そうだ。闘気の質を変えれば、特定属性への耐性や貫通力を上げることができるのだ」


「闘気にも……質が……?」


 聞いたことのない話だ。

 いや……あれか?

 アイリスやエドワード司祭の得意技法に『聖闘気』というものがある。

 俺はてっきり『聖なる闘気』ぐらいに思っていたが、『聖魔法系の属性に変質させた闘気』だったのかもしれない。

 今回の場合、ベテルギウスは通常の闘気を『火闘気』に変質させてきたわけか。

 詳しいことは検証が必要だが、その可能性はある。


「ふん。貴様の火魔法には驚かされたが、それだけだ。所詮は人間。一属性を極めるのが精一杯といったところであろう。我の敵ではなかったな」


「なるほど……。熟練の闘気の使い手……龍神ベテルギウスの力は凄まじいな」


「そういうことだ」


 ベテルギウスが得意げに胸を張る。

 そして、そのまま言葉を続けた。


「では、続きを始めようか。次は我の番だ。久方ぶりの運動として、貴様をボコボコにしてから帰るとしよう。なに、心配せずとも命までは――」


「――だが、残念だったな。お前は一つ、勘違いをしている」


 俺はベテルギウスの言葉を遮り、口を開く。


「勘違いだと?」


「俺はまだ、全ての力を出し切ったわけではないのだ」


「なに? 何を言っている? 貴様の力は、既に見切ったぞ。負け惜しみはよせ、見苦しい」


「それはお前の勝手な思い込みだ。今、証明してやろう」


 英霊に勝てば、良い経験になりそうだ。

 人を殺す心配もないし……。

 ヤマト連邦への潜入作戦前に、ちょうどいい肩慣らしになる。

 俺はそんなことを考えながら、魔力と闘気を練り上げたのだった。

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