ジェイネフェリアと男同士の親睦を深めている。
湯船にはゆっくりと浸かり、疲れを癒やした。
続いて、彼の背中を流そうとしているところだ。
「ううっ……」
彼は恥ずかしそうに背中を丸め、俺の視線から逃れようとしている。
「おいおい。そんな態度だと、俺が襲っているみたいじゃないか」
俺が苦笑しながらそう指摘する。
ジェイネフェリアの態度は、まるで恥じらう乙女みたいな反応だ。
「だって……。……騎士爵さんのアレが……」
「ん?」
彼の言葉がいまいち理解できない。
「俺のモノがどうかしたのか?」
「ぼ、僕の背中に当たってるんだよー……」
ジェイネフェリアが消え入りそうな声でそう言う。
「むっ! またか……。本当にすまない」
なぜ俺のモノはこれほど大きくなっているのだろうか?
俺には男色の趣味はないのだが。
実際、キリヤ、トリスタ、セバスあたりと入浴しても、もちろん俺のモノはピクリとも反応しない。
中性的なジェイネフェリアを見ていると、なぜか息子が元気になってしまう。
これも【精力強化レベル1】や【夜戦術レベル1】の副作用なのか?
「ほ、本当に騎士爵さんは噂通り……。いや、噂以上の人だったんだよー。油断していたんだよー……」
ジェイネフェリアは相変わらず、顔を赤くしたままだ。
その表情は何というか、妙に艶っぽい。
「噂? 何の話だ? そんなことより、俺はジェイの事を気に入っている。だから、もっと仲良くなりたいと思っているんだ」
彼は、なかなか優秀な魔道技師のようだった。
仲良くなっておいて損はないだろう。
「そ、それはありがたい話なんだよー。でも、さすがにここまでの深い付き合いは覚悟してなかったんだよー」
「覚悟? 俺はただ、背中を流してやろうとしているだけだ。何か問題でもあるのか?」
「ううっ……」
ジェイネフェリアは目を潤ませながら、こちらを見てくる。
「わ、わかったんだよー。お手柔らかに頼むんだよー」
彼がなぜ逡巡していたのかよく分からないが、やっと観念したか。
俺は満足げに微笑む。
「では、行くぞ」
「よ、よろしくなんだよー」
俺はまず、彼の頭から洗っていくことにした。
「熱くないか?」
「大丈夫なんだよー」
シャワーで軽く頭を濡らし、シャンプーで髪を洗ってやる。
そして、そのままゆっくりと指で地肌をマッサージするように洗っていった。
「あぁー。気持ちいいんだよー」
どうやら喜んでくれているようだ。
シャンプーを洗い流す。
次は体を洗ってやろう。
「では、背中からいくぞ」
「う、うん」
ボディソープをつけた手で、ゆっくりとジェイネフェリアの背中をなでていく。
「ふむ……。なかなかきめ細かな肌だな」
「あ、ありがとうなんだよー。ちょっと恥ずかしいけど……」
ジェイがそう言う。
肌がきめ細かいこと自体は、何ら恥ずかしいことではないだろう。
恥ずかしいと言えば……。
「少し筋肉が足りないかもしれないな。魔道技師にどのような能力が必要なのかはよく知らないのだが、もう少し鍛えた方ができることは増えるんじゃないか?」
「僕は魔法の才能は少しだけあるけど、肉体的な能力は高くないんだよー……。確かに、筋肉もあった方が作れる魔道具は増えるけど……」
ジェイがそう呟く。
天は二物を与えず。
なかなかうまくいかないものだな。
そんな彼に加護(小)を付与できれば、さらに高性能な魔道具の開発も可能かもしれない。
その恩恵により、一部のスキルレベルが上がると同時に、基礎ステータスが2割向上するからな。
彼の忠義度は、既に20台後半に達している。
初対面のときから20を超えていて、商談が成立した時点で20台中盤に達した。
さらにこの裸の付き合いによって、少し上下に振れながらも微増傾向にあるのだ。
「まあいい。今後、ゆっくり時間をかけて鍛えていけばいいだろう。さて、次は前を洗ってやろう」
「えっ!?」
「何を驚いている? 頭と背中を洗ったのだから、次は前だろう?」
「そ、そうなんだけど……。やっぱり自分でやるんだよー……」
「遠慮することはない。俺に任せろ」
俺は有無を言わさず、彼の前に手を回す。
そして、彼の胸板を洗い始めた。
「ううっ……」
ジェイの横顔は真っ赤になっている。
なぜ男同士でそんなに赤くなるんだ。
彼はそういう趣味があるのか?
俺まで少し変な気持ちになってきてしまう。
落ち着け。
今洗っているのは、男の胸板なのだ……。
心頭滅却すべし。
だが、無情にも俺の手に伝わってくる感触は……。
ふにっ、ふにっ。
柔らかい感触だった。
男のくせに、ずいぶんと柔らかい。
あまり太っているようには見えなかったのだが、胸部だけは脂肪があるようだ。
「はあ、はあ……」
しかも、ジェイの呼吸が荒くなっている。
一体どういうことだ?
「騎士爵さん……? あの……、もう……、やめてほしいんだよー。僕、おかしくなりそうなんだよー……」
彼が消え入りそうな声でそう言ってくる。
「そ、そうだな。そうしよう」
俺はそう返答する。
これ以上やると、俺も何だか一線を越えてしまいそうだ。
この世界において、男色はどの程度受け入れられているのだろうか?
地球上においては、時代や地域によっては死罪や追放レベルの禁忌だったこともある。
あまり大っぴらにはしない方がいいだろう。
ミティやアイリスがドン引きするかは分からないが、少なくともプラスの感情は抱かれない気がする。
ここは変な気を起こさないうちに退散すべきだ。
俺はそう思った。
しかし……。
「ひゃうんっ!? そ、そこはダメなんだよー!」
ジェイがそんな声を上げる。
「む? どうした?」
「ど、どこを洗おうとしてるんだよー! 騎士爵さん、エッチなんだよー!」
ジェイが顔を真赤にして、こちらに振り返りながら抗議してくる。
「何の話だ?」
俺はそう問い返す。
「だから、僕の……」
彼がそう言い掛けたところで、気付いた。
俺は、自分でも気づかないうちに彼の下半身に手を伸ばしていたのだ。
無意識の行動だ。
自分の欲望を抑えられない。
【精力強化レベル1】の副作用か?
いや、そもそもの俺の精神力の問題かもしれない。
「すまん。すぐにやめる」
俺はそう言って、彼の下半身のモノから手を離そうとする。
だが、まるで吸い付くようにして離れない。
物理的に吸い付かれているのではなく、俺の本能がそれを手放さないのだ。
「んんっ! ダ、ダメなんだよー。そこをそんなに強く握っちゃ……。あうっ!」
彼が切なそうな表情で、喘ぎのような声を出す。
それにしても、ずいぶんと小さなモノだ。
俺のモノと比べると、1割以下のサイズ感しかないような……。
小さいなんてレベルじゃねーぞ!
俺は違和感を覚える。
だが、そんな違和感は、興奮によって塗りつぶされた。
「騎士爵さ……。ああっ! ほ、本当にダメだんだよーっ!」
「…………」
ジェイが抗議の声を上げるが、暴走状態の俺には届かない。
俺は無言で手を上下に動かす。
そして……。
「ああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
彼の叫びと共に、俺の手に温かい液体が掛けられたのだった。
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