【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1630話 数日後

公開日時: 2025年1月17日(金) 12:10
文字数:950

 数日後――


「くくっ……。桜花城の掌握は完璧だな」


 俺は桜花城の天守閣から城下を眺める。

 あの日、ついに景春は俺に屈服した。

 しつこく使っていた『余』という一人称を『あたし』に改め、自分が藩主ではなく一人の少女であることを認めたのだ。


 それは、景春の自己認識だけの問題にとどまらない。

 大広間には桜花七侍の他、多数の家臣が集まっていた。

 少しばかりくすぶっていた俺に対する不満も、これで完璧に解消できたことだろう。


 問題は何も残っていない。

 と言いたいところだが……


「むうぅ~!!」


「ったく……」


「…………ずるい」


 3人が不満の声を上げている。

 その3人とは、紅葉、流華、桔梗だ。

 彼女たちは俺に対して抗議の視線を向けている。

 いや、正確に言えば俺の懐にいる少女に対して、か。


「景春……少し離れてくれ」


「どうして? 別にいいじゃない。ようやく藩主の重圧から解放されたんだから」


 景春が答える。

 彼女は俺の膝の上にちょこんと座っていた。

 もはや、『民に対して重税を課した悪どい藩主』という雰囲気は全くない。

 15歳前後という見た目相応の振る舞い……いや、むしろ幼く無邪気な雰囲気さえ感じられる。


「今思えば、あたしは藩主の立場に疲れてたのかも! あんたのおかげで、ようやく肩の荷が下りたわ!」


 景春は快活に言う。

 性格が変わりすぎて、ちょっと心配になる。

 まぁ、元藩主としてのメッキを強引に剥がしたのは俺なのだが。

 いわゆるストックホルム症候群……とは少し違うか?

 何にせよ、彼女の精神状態には注意が必要かもしれない。


「そ、それは良かったな。……さて、そろそろ離れてくれないか?」


「嫌よ! あたしをあんな目に合わせておいて……。責任取りなさいよ!」


 景春は頬を膨らませる。

 その表情は、年相応に可愛らしい。


「あんな目って?」


「とぼけないでよ。みんなが見ている前で、あたしを凌辱したくせに……」


「ひ、人聞きの悪いことを言うな。そりゃ、多少は恥ずかしい思いはしただろうが、凌辱はしていないぞ」


「似たようなものでしょ! ……とにかく、あたしはあんたに逆らえない体にされたんだから! もう、離れろって言われても離れないわよ!」


 景春はぷいっと横を向く。

 その仕草が可愛らしくて、思わず笑みがこぼれた。

 しかし、いつまでもこうしてはいられない。

 紅葉たちの視線が痛いし、それに……

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