【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1298話 国宝・海神剣

公開日時: 2024年2月18日(日) 12:13
文字数:1,248

 人魚の里での活動も、今が佳境だ。

 アビス・サーペントが、俺たちに襲い掛かってくる。

 俺は拳を握りしめると、エリオットを見据えながら構えた。


「ほう? 逃げないのか?」


 エリオットは愉快そうに笑う。

 彼はアビス・サーペントを前面に押し出すように、ゆっくりと前進してきた。


「もう勝敗はついたも同然だが……。逃げないというなら相手をしてやろう」


 エリオットはニヤリと笑うと、アビス・サーペントに命令を下す。

 すると、アビス・サーペントは勢いよく襲いかかってきた!


「【聖拳】!!」


 俺は右拳に聖なる力を込める。

 そして、迫ってくるアビス・サーペントに対して正拳突きを放った。

 俺の拳を正面から受けたアビス・サーペントは、大きく弾き返される。


「むっ!? ……ふむ。多少はやるようだ」


 エリオットが呟くと同時に、アビス・サーペントが水球を吐き出した。

 俺はそれを難なく躱していく。

 そこに――


「海の精霊よ! 我らの怨敵に災禍を!! 【ダークネス・ブラスト】」


 エリオットが魔法を放った。

 黒い霧のようなものが俺に迫る。

 俺はそれを片手で弾いた。


「まだまだぁ! ――【国宝・海神剣】ん!!」


 エリオットが斬りかかってきた。

 おそらくは、これも宝物庫から持ち出したものだろう。

 その剣は見るからに上物であり、アビス・サーペントの牙と似た形状をしていた。


「くらえぇっ!!」


 エリオットが剣を振り下ろす。

 俺もアイテムボックスから鉄剣を取り出し、それを受け止めた。


「ぐぅ……!!」


 重い……!

 想像以上のパワーだ!

 俺の見立てでは、エリオットの強さは中の上ぐらいだと思っていたが……。

 それが一気に跳ね上がっている!

 これが魔道具『玉手箱』の力……。


「おいおい、考え事をしている暇はないぞ!?」


 エリオットの連撃が俺を襲う。

 俺はそれを必死に捌いた。

 ドーピングされた状態で国宝の海神剣を使われると……さすがに厄介だ。

 そもそも、ここは海中であり人魚の方が圧倒的に有利な上、俺は『海神の呪鎖』によって弱体化しているしな……。

 俺は防戦一方になってしまう。


「くははっ! どうした、人族よ!! さっきから守ってばかりだな!!」


 エリオットは高笑いしながら剣を振るい続ける。

 彼は完全に戦闘の快楽に呑まれていた。


「いつまでも調子に――むっ!?」


 俺の反撃が空振りする。

 直後、気付いた。

 エリオットの後方で、アビス・サーペントが攻撃の準備に入っていることに。


「『海神の化身』よ! あの人族を薙ぎ払え!!」


 エリオットが叫ぶと同時に、アビス・サーペントの口から強烈な水球が放たれる。

 俺がエリオットに集中している間、たっぷりと力を溜めていたのだろう。

 魔力によって固められたその水球は、まるで砲弾のようだった。


「ちぃっ! 間に合うか……!?」


 俺は慌てて回避行動を取る。

 あのレベルの攻撃をまとも喰らえば、チート持ちの俺でもただでは済まないだろう。

 だが――現実は非情だった。

 アビス・サーペントの水球の速度が想像以上に速かったのだ。


「ぐっ……! 間に合わな――」


 巨大な水球が俺に迫ってくる。

 俺は思わず、目を瞑ってしまうのだった。

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