【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1243話 一蹴

公開日時: 2023年12月24日(日) 12:05
文字数:1,822

 俺が勾留されている『海神の大洞窟』に招かれざる客がやってきた。

 人魚族の不良集団『海神の怒り』だ。

 人族に対する偏見や嫌悪感に染まっている彼らは、俺をボコボコにする気満々だった。

 そこに侍女リマが割って入り仲裁を試みるが、それで彼らが止まることはなかった。


「容赦しねぇと言ったはずだぜ? 人族の前に、お前を再起不能にしてやろうか? あぁん?」


 男はリマの髪を掴み、強引に立たせる。

 彼女は苦しそうに顔を歪めていた。


「あ、あなたたち……。こんなことをして、どうなるか分かっているのですか……?」


「おいおい、ちょっとしたおふざけだろ? そんなにムキになるなよ」


「そうそう! それによぉ……。人族がどんな目に遭おうが、別に構わねぇだろ?」


「今の王族や王宮務めの連中には誇りってものがねぇ。薄汚ぇ人族を庇うなんてよ」


 リマが苦し気に言葉を絞り出すと、男たちが下卑た笑みを浮かべた。

 言葉での説得も失敗だ。

 彼らの心には、人族に対する侮蔑しか存在しない。


(仕方ない……)


 これ以上、彼らに好き勝手やらせるわけにはいかないだろう。

 俺は闘気を開放する。

 魔道具『闘気封印の縄』が俺の闘気を抑制してくるが、強引に突破する。


 ビリビリッ!!

 パァン!!!

 縄の一部が弾け飛び、俺の右手に自由が戻った。


「なっ!?」


 突然の出来事に驚く男たち。

 だが――俺はまだ動かない。


「一度だけチャンスをやる。大人しく帰れ」


 俺は彼らにそう告げた。

 リマに暴力を振るったことは許しがたいが、殺し合いをするつもりもない。

 大人しく帰ってくれるのならば、それが一番良いだろう。

 治療魔法を使えば、リマを癒やすことも可能だし……。


「なんだ? 人族のくせに偉そうな口をきくじゃねぇか?」


 男が俺を睨みつける。

 彼はリマを無造作に解放する。

 そして、次の瞬間――俺の顔面に向かって拳を叩き込んできた。

 ドンッ!!

 俺の額に衝撃が走る。


「おら! どうだ!? 人族め!!」


 男は高笑いをしていた。

 だが――


(なんだ? この程度か……?)


 俺は拍子抜けする思いだった。

 彼らは自称『選りすぐりの不良軍団』とか言っていたが……。

 この程度の実力で、本当に戦えるのか?

 これなら、先日戦った『ダダダ団』の方が強いだろう。


(俺が強くなりすぎたのも原因か……?)


 俺はチートスキル『ステータス操作』やミッション報酬により、成長を続けている。

 才能に恵まれた者であっても、チートスキルがなければその成長は途中で鈍化してしまうだろうが……。

 俺の場合、その心配がない。

 順調に成長を続けていた。


「ナイト様! 大丈夫ですか!?」


 リマが心配そうに叫んだ。

 彼女は、俺の身を案じてくれているらしい。

 まぁ、モロに顔面パンチを受けてしまったので、普通は大ダメージ必至だもんな。


「ああ、大丈夫だ」


 俺は短く答えた。


「へ? な、なんで……?」


 男も俺の態度が信じられないのだろう。

 彼は困惑しているようだった。


「お前たちとは戦うだけ無駄だ」


 俺はそう告げる。

 あまりにも実力差があるので、勝負にすらならない。

 それに、ミッション『10人以上の人魚族に加護(微)を付与せよ』の件もある。

 人魚族と致命的な敵対関係になることは避けたかった。


「この……人族風情がぁ!!」


 男が激昂した。

 しかし、俺は動じない。

 彼は仲間たちと共に殴りかかってくるが――


「かあぁあああっ!!」


 俺の闘気によって弾き飛ばされた。


「なっ!?」


「ぐへっ!!」


「い、いったい何が……!?」


 驚愕に目を見開く男たち。

 そんな彼らに向かって、俺は告げる。


「もうやめろ。死にたいのか?」


「ひ、ひいぃ!?」


 俺の言葉を受けて、男たちが引きつった声をあげた。

 先ほどまでの勢いは完全に消え失せている。


(ふむ……)


 どうやら、完全に怯えさせてしまったようだ。

 少し怖がらせ過ぎたかもしれないな……。

 俺は男たちに微笑みかける。


「今日はここまでにしよう。お互いに、これ以上争うのは無益だろう?」


「す、すみませんでしたぁ!!」


「誰だよ! 人族が弱いって言った奴は!!」


「闘気だけで俺たちを吹き飛ばすなんて、あり得ねぇ!」


「やっぱりジャイアントクラーケンと渡り合ったってのは本当なんだ!!」


「大ボス! 助けてくれぇ!!」


 男たちは一目散に逃げていく。

 洞窟の外へと出て行った。

 そんな中、リーダー格の男が足を止めて振り返る。


「覚えてやがれ、人族! 水中でなら、こうはいかなかった! この恨み、絶対に晴らしてやるからな!!」


 そう叫んできた。

 俺は彼の言葉に――


「ああ、いつでも待っているぞ」


 と笑顔で応じたのだった。

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