「よくぞここまで! 我こそは雷鳴流の序列二十三位、名は――あべしっ!?」
「邪魔だ」
俺は名乗りを上げようとした男に峰打ちを決める。
安倍氏と名乗った男は、白目を剥いて気絶した。
「名乗りすら上げないとは、武神流も落ちたもの! 序列十八位の俺が――ぐあっ!」
「名乗りなどいらん」
俺は序列18位の男に回し蹴りを放つ。
男は後方に吹き飛び、そのまま気絶した。
ここは雷鳴流の道場。
その敷地内にある中庭だ。
ここを通り抜ければ、雷鳴流の師範がいるであろう稽古場へと辿り着く。
「道場破りの作法すら守れぬとは! 序列十五位の拙者が――ひでぶっ!?」
「下劣な輩を相手に、作法などない」
序列15位の男に、俺は拳を叩き込む。
彼は後方に吹き飛び、そのまま気絶した。
「こ、こいつ強いぞ!」
「かくなる上は集団戦でっ!!」
「囲め、囲め!!!」
男たちが俺を取り囲む。
俺は刀を構えた。
「「「うおおおおおおっっ!!」」」
男たちが一斉に飛びかかってくる。
俺はそれを冷静に捌きつつ、峰打ちで気絶させていった。
「つ、強すぎる!」
「とにかく囲め! 囲んで叩くんだ!!」
「全員でかかれっ!!」
「もうやってるよ! だが、こいつ……。攻撃が当たらねぇ!」
俺は男たちの攻撃を捌いていく。
そして、峰打ちで気絶させていった。
「な、なんて強さだ……!」
「このままじゃ、俺たち全員やられちまう!」
「た、助けてくれぇ……!!」
男たちは絶望の表情を浮かべる。
しかし、俺は手加減などしない。
情けは無用だ。
そんな余裕はない。
「ぐあっ……!」
「ううっ……!!」
俺は男たちを峰打ちで倒していく。
だが、そのときだった。
「そこまでだ」
重苦しい声が響く。
その声の方向に視線を向けると、そこには1人の男が立っていた。
「よくぞここまで辿り着いたものだな」
男は感心したように言う。
彼は、鋭い眼差しで俺を見つめていた。
「私こそ、雷鳴流の序列十一位! 名は――」
「なんだ、ただの下っ端か」
「えっ!? あ、あべしっ!?」
俺は序列11位の男に峰打ちを決める。
彼は白目を剥いて気絶した。
「いかにも強そうな雰囲気で出てきたから、雷轟本人か準師範あたりかと思ったのに……」
俺は呟く。
拍子抜けにも程がある。
だが、気を抜いている場合ではない。
この中庭で倒したのは、ええっと……序列23位、18位、15位、11位だったか?
名乗られる前に倒した奴も多いし、序列11位より弱い奴らは概ね撃破したと言ってもいいだろう。
残るは、序列10位以内の門下生たち。
そして、桜花七侍を務める雷轟や、準師範あたりか。
俺の『気配察知』のスキルによると、彼らは道場敷地内の稽古場にいるらしい。
「待ってろよ、桔梗……」
俺の中で、彼女への思いがさらに強くなっていく。
必ず助けてみせる!
そんな思いを胸に、俺は駆け出すのだった。
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