俺、マリア、リン、ロロ、ノノン、キサラ、トパーズ。
7人で、開発中の温泉に入ることになった。
まずは脱衣場に案内する。
「ふむ。計画通りのレイアウトになっているな。家具類はまだ揃っていないようだが……」
俺はそう呟く。
大まかな脱衣場としては及第点だ。
しかし、例えば棚や椅子なんかはまだない。
「はわわ……。なんだかドキドキしますぅ」
「は、はい。私もです」
「…………(どきどき)」
リン、ノノン、ロロは、なんだかもじもじしている。
初めての温泉に緊張している?
それもあるかもしれないが、風呂には毎日のように入っているしなぁ。
たまに俺とも一緒に入るし、今さら大きな照れはないはずだ。
一応、大自然の中での入浴は初めてか。
まだ開発中で柵などもないし、覗こうと思えばいくらでも覗ける構造だ。
まぁ、気配察知のスキルを持つ俺が一緒なので、覗きなんて許さないが。
「えいっ! マリアはもう脱いだよっ!」
「おお、早いな。さすがだ」
「えへへ」
俺が褒めると、マリアが満面の笑みを浮かべて喜んでいる。
彼女とは既に深い仲になっているし、数え切れないぐらい風呂にも入っている。
今さら照れはない。
「――ん? 何を見ているんだ? キサラ」
「なっ!? べ、別に見てなんかいねぇ!」
「ほう。では、なぜ目を逸らす?」
「うぅ……」
キサラはなぜか明後日の方向を見ていた。
「そんなに俺の裸を見たかったのか? しょうがない奴だな」
「そ、そういう意味じゃねえ!」
「ほら、遠慮せずに見ろよ」
「だ、誰が見るか! オレは先に入ってるからな!」
キサラはぷりぷりと怒りながら服を脱ぎ、さっさと湯船に向かってしまった。
マリアやリンも後を追う。
可愛らしい小さな尻が見えている。
「キサラは素直じゃありませんね。あんなに顔を赤くして……」
「まったくだな。男勝りな口調のくせして、こういうのに耐性がないらしい」
トパーズと俺が呆れたように言う。
「さぁ、俺たちも行くぞ。――あれ? まだ脱いでいなかったのか?」
「いえ、あの、そのぉ……」
「おいおい。偉そうなことを言っておいて、お前も不慣れなのか?」
「…………」
彼女だけ服を着たまま突っ立っていた。
顔が真っ赤で、目が泳いでいる。
これは困ったな。
混浴どころか、脱衣場で服を脱ぐことすら難しいとは。
――ん?
ロロが忍び足で、トパーズの後ろに回っている。
「…………(ずりっ)」
「へ?」
間の抜けた声を上げるトパーズ。
ロロはトパーズのスカートをパンツごとずり下げていたのだ。
そして他の服も脱がされ、あっという間に全裸になる。
「ひゃ、ひゃああああああああっ!」
トパーズは慌てて手で大切なところを隠した。
「何をするのですか!」
「…………(くすくす)」
「笑い事じゃ……。あ、ちょっと! 待ちなさい!」
湯船の方に逃げるロロを追いかけていくトパーズ。
なんだかんだで楽しそうだ。
キサラ、マリア、リン、ロロ、トパーズ。
これで5人が湯船に向かったことになる。
残っているのは、俺とノノンの2人だけだ。
「ふむ……。キサラとトパーズが脱ぎ散らかした服の中に……」
俺は宝を発見した。
これは戦利品だ。
丁重に拾い、アイテムボックスに収納する。
風呂上がりはノーパンで過ごしてもらうことになるが、こればかりは我慢してもらうしかないだろう。
他に選択肢はない。
ここに来る途中でリン、ロロ、ノノンの戦利品もいただいたし、これでコンプリートだな。
え、マリア?
彼女のブツは、既に確保している。
ずいぶんと長い付き合いだからな。
そのあたりは抜かり無い。
「あ、あの……騎士様……?」
「おっと。これは失礼しました、姫様。少々野暮用でして……」
「はぁ……。騎士様は、下着を集めるのが趣味なのですね……」
「それは違います。私は下着ではなく、パンツを集めています。ご安心ください」
「そう言われましても……」
ノノンが困惑した様子で言う。
まぁ、普通に考えれば気持ち悪いよな。
うっかりしていた。
このままでは、ノノンの忠義度が下がってしまう!
「私たちも湯船に参りましょう、姫様」
「ひゃっ!」
ノノンが可愛らしい悲鳴を上げる。
俺は彼女をお姫様抱っこしたのだ。
もちろん、お互いに全裸である。
「きゃっ! わわわっ! 私なんか重いんじゃ……」
「ははは。大丈夫ですよ、姫様。むしろ軽すぎるぐらいです」
腕の中で慌てるノノンに、俺は優しく声を掛ける。
彼女は俺の首に手を回し、身体を密着させた。
「そうそう。大人しくしていなければ落ちてしまいますよ」
「……」
俺の言葉を聞き、ノノンがギュッとしがみつく。
よしよし。
いい子だ。
そのまま、ゆっくりと温泉まで歩いていく。
「おお、これは絶景かな」
露天風呂だ。
岩風呂で、周りには木々がある。
風情があって素晴らしい。
それに、とても開放的だ。
まだ開発中なのだが、それが逆にいい味を出している。
「あっ! タカシお兄ちゃんが来た!」
「ご主人さまぁ、お待ちしておりましたぁ。――って、それは……」
「…………(はわわ)」
リンとロロが顔を赤くした。
彼女たちの体は既に半透明の湯船に浸かっている。
さほどの羞恥心は感じないはずだが。
――いや、待てよ?
「こ、このロリコン野郎が!」
「ひいぃっ! お、襲われてしまいます!!」
キサラとトパーズが湯船の中で後退りする。
その視線は、俺の腕の中にいるノノン――のさらに下。
俺の股間あたりに向けられていた。
しまった……。
ミリオンズのみんなと入る時と同じノリだった。
本来であれば、タオルなどで隠しておくべきだったか。
さっさと俺も湯船に入ることにしよう。
「あのぉ……。騎士様?」
「どうされましたか?」
「みなさん、何を慌てているのでしょう?」
ノノンが俺の腕の中で、首を傾げる。
まさか彼女も、お姫様抱っこをされている下で凶悪なモノが存在感を主張しているなどとは夢にも思うまい。
ここは頑張って誤魔化すしかない。
「…………姫様が知る必要はございません。さぁ、入りましょう」
ざぶん!
俺はノノンを抱えたまま、湯船に入る。
少し熱めのお湯が、全身を刺激する。
こうして、多少のハプニングはありつつも、俺たちは混浴の露天風呂を堪能し始めたのだった。
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