【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1386話 サリエ純愛ルート 治療魔法使い

公開日時: 2024年5月17日(金) 12:21
文字数:1,349

「……おわっ!? お、おっぱい!?」


 目が覚めると、俺は柔らかい何かを触っていた。

 慌てて手を引っ込める。

 ええっと、何がどうなっていたんだっけ……。


 ……そうだ、思い出した。

 俺は治療魔法使いになったのだった。


 異世界と言えば、冒険者。

 読み物としては確かにそうだ。

 しかし、現実となればわけが違う。

 俺はこの世界に転移してきて、状況整理もままならないまま魔物に襲われた。

 あれはトラウマ級の恐ろしさだった。


 俺は思い知った。

 剣士などの近接職は、俺には無理。

 弓士や攻撃魔法使いならマシだろうが、いずれにせよ多少の危険はある。


 そこで、危険の少ない仕事を探した。

 最初に考えた候補は、鍛冶師・料理人・栽培人あたりだった。

 だが、鍛冶や料理には施設が必要だし、栽培には土地が必要だ。

 転移してきたばかりの俺には、そのいずれもアテがなかった。


 そこで、治療魔法のスキルを取得することにした。

 治療魔法使いなら、固定の店を構えなくとも何とかなる。

 初めは路上で低級の治療魔法を受け付け、日銭を稼いだ。


 幸いなことに、魔物討伐だけじゃなくて魔法の行使でも経験値が入る仕様だった。

 俺は新たに得たスキルポイントを使用し、治療魔法関連のスキルを集中的に伸ばしていった。


 そして、転移から数か月が経過した今。

 こうして、診療所を構えるぐらいには金銭的な余裕を得ている。

 治療魔法使いとしては、既に準一流の域に達しているだろう。

 スキルポイントに余裕がないため、戦闘系スキルは伸ばせていないが……。

 特に大きな問題はないはずだ。


「いや、失敬。考え事をしてしまった」


 俺は目の前の女性に話しかける。

 彼女は不思議そうな顔をしていたが、特に追及はしてこなかった。

 治療魔法は、とても便利な魔法だ。

 しかし、万能ではない。

 効率良く行使するには、対象者の不調の原因を正確に把握する必要がある。

 そのため、俺はこうして視診や触診をしているわけだな。


 別に、下心があってやっているわけじゃないぞ?

 その証拠と言っていいかは分からないが、俺は彼女の名前も知らない。

 あくまで、たくさんいる患者の中の1人に過ぎないのだ。


「それでは、お大事に」


 俺は彼女を見送る。

 そして、次の患者さんを待っていたのだが――


「……? な、なんだ、お前たちは……!?」


 突然、診療所に武装した人間たちが入ってきた。

 彼らは剣を構えている。


「な、なんのつもりだ? 一体、何がどうなって……?」


 俺は困惑した。

 とてもじゃないが、穏やかとは言えない状況だ。


「俺はただの治療魔法使いだ。人から恨まれる覚えは――ぐあっ!?」


 突然、俺は勢いよく床に押し倒された。

 背中から叩き付けられ、鈍い痛みが走る。

 まさか強盗か……!?

 今まで一度もこんなことはなかったはずだが……。


 俺は慌てて周囲を見渡す。

 しかし、彼らは部屋を荒らそうともしていない。

 目的は、どうやら俺のようだ。


「クソっ……! 放せ!!」


 俺は全力で抵抗する。

 だが、びくともしなかった。

 俺は元無職。

 筋トレをずっとサボっていた、ひ弱な男にすぎない。


 俺なんかが彼らに勝てるはずもなかった。

 せめて、戦闘系のスキルを取っていれば……。

 治療魔法関係のスキルに特化しすぎてしまったか……。


「ぐっ……!」


 俺は頭を床に押さえつけられたまま、後ろ手に縄で拘束される。

 そして、そのままどこかへと連れ出されたのだった――

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