【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

330話 風呂に入ろう

公開日時: 2021年6月15日(火) 21:05
文字数:3,002

 6人の奴隷を購入した日の夜になった。

夕方のうちに、ニムの土魔法により仮設住宅は建造してもらっている。

合計11部屋以上だ。


 取り急ぎ、奴隷組にはそれらの部屋に泊まってもらうことになる。

また、登用組の5人についても近いうちに引っ越してもらうことにしよう。

彼らにしても、今のまま雇い主と同じ建物内での寝泊まりでは気が休まらないだろうしな。


 この屋敷の敷地内で暮らす者は、ずいぶんと多くなった。

まずは、俺たちミリオンズ。

俺、ミティ、アイリス、モニカ、ニム、ユナの6人だ。


 次に、3か月ほど前からここで働いてくれている使用人組。

執事のセバス、メイドのレインとクルミナの3人だ。


 そして、登用試験組。

兎獣人のヴィルナ、双剣使いのキリヤ、天眼使いのヒナ、読書家のトリスタ、孤児院出身のロロの5人だ。


 最後に、奴隷組。

猫獣人のクリスティ、元村人のハンナ、元村人のニルス、元冒険者のシェリー、元冒険者のネスター、片目を失明している幼い少女リンの6人だ。


 以上、合計で20人にもなる。

ずいぶんとにぎやかになったものだ。


「さあ。今日はみんなが揃った記念すべき最初の日だ。みんなで食事……といきたいが、その前に風呂に入ってもらう」


 俺はそう言う。

この国の一般人には、風呂に入る文化が浸透していない。

風呂に入るのは、王族や貴族、それに一部の資産家や高位の冒険者ぐらいだ。

サリエの父のハルク男爵邸や、ディルム子爵邸などには風呂があった。


 一般人は、濡れタオルで体を拭いたり、井戸や水の魔石で水を浴びたり、川で体を注ぐ程度のものである。

俺も、この街で屋敷を手に入れるまではそのようにしてきた。


 ヴィルナたち登用試験組の5人は、この国の基準では別に不潔というわけではない。

また、クリスティたち奴隷組の6人も似たようなものだ。

この国の奴隷制度は、結構きちんとしている。

商館でも、定期的に水浴びなどはさせられていたのだろう。


 しかし、やはり毎日のように風呂に入っている俺たちハイブリッジ家の面々に比べると、どうしても清潔さについて気になるところはある。

そのため、みんなで食事をとる前に、風呂に入ってもらうことにしたのだ。


「お、お風呂だって? そんなの、貴族ぐらいしか入らないぞ!」

「いや、だから俺がまさに貴族なわけだが」

「そうではなくて、奴隷を風呂に入れさせる物好きなんてそうそういないってことだ!」


 クリスティがそう言う。

確かに、よく考えればそれもそうか?


「アイリス、ミティ。どう思う?」

「ボクは気にしないよ。そもそも、ボクの故郷には奴隷制度がないし」


 アイリスの故郷には奴隷制度がない。

以前もそんなことを言っていた。

とはいえ、よその国に来て奴隷制度廃止を声高に主張するほどの強固な主義主張があるわけでもない。


「私も気にしませんが……。手間は増えるかもしれませんね。長時間、お湯の温度を維持しなければならないので」


 ミティの言うことは一理ある。

大人数が入るとなると、入浴時間は長くなる。

普通であれば、湯を沸かすための薪の消費や労力が増大するところだ。

この館では魔石を利用して水や火を得ることができるが、結局は魔石の消費量が増えるだけなので同じだ。


「まあ、俺の火魔法と水魔法があればさほどの手間でもない。少し前に、水魔法の腕前も向上したことだしな」


 俺はそう言う。

ブギー盗掘団の捕縛作戦の前に、スキルを強化したのだ。

今の俺の水魔法は、レベル2である。


 これでも苦労するようであれば、さらにスキルを強化するのもありだ。

保留としてあるスキルポイントがそれなりにある。


 ちなみに、捕縛作戦などを通じて得たスキルポイントは、各自と相談しつつ割り振ってきている。

俺も、一部は保留としているが、一部は割り振り済みだ。

近いうちに、各自が伸ばしたスキルを整理しないとな。


「ふふん。私の火魔法でも手伝うわよ」

「私は手伝えないかな。でも、別にみんながお風呂を利用することに異論はないよ」

「わ、わたしもです」


 ユナ、モニカ、ニムがそう言う。

使用人や奴隷と同じ風呂を利用することに対して、極端に忌避感を持っている者はいない。

まあ、俺を含めてみんな元一般庶民だしな。

特権階級としての意識は持っていない。


「お風呂ですか! トリスタから聞いたことがあります! 許されるのであれば、ぜひ入ってみたいです! ねえ? トリスタ」

「そうだねえ。僕も、一度は入ってみたいかな。文字で読んでいるだけじゃ、想像できないところもあるしね」


 ヒナとトリスタがそう言う。

彼女たちは農村出身だ。

風呂に入ることはもちろん、見たこともないのだろう。


 しかし、トリスタが今までに読んだ本の中に、風呂の描写はあったようだ。

そのため、どのようなものかの知識はあると。


「お館様。お館様のご判断に反対はしません。私自身、利用させていただいている身でもありますので。しかし、物事には序列というものがございます。先に入るのは、お館様や奥方様であるべきという点はご認識くださいますようお願いします」


 セバスが俺にそう助言してくる。

セバス、レイン、クルミナについては、以前から風呂を利用してもらっている。

ただし、順番は俺たちミリオンズの後だ。

この国において、風呂に入るのは偉い人からという風習があるからだ。


 この屋敷の風呂は大きい。

数人以上が一度に入ることができる。

今までは、俺、ミティ、アイリス、モニカ、ニム、ユナが好きなタイミングで入っていた。

6人全員が同じタイミングで入ることもあった。


 6人の入浴が終わった後に、セバスが入浴する。

さらにその後に、レインとクルミナが入っていた。


「わかった。今まで通り、俺たち6人は先に入らせてもらおう。その次は、男組と女組がタイミングをずらして入るのがよさそうか。登用試験組と奴隷組は、分けたほうがいいのか? ヴィルナたちはどう思っている?」


 俺はそう問う。

デリケートな話なので、事前に確認しておいたほうがよかったかもしれない。

各人の回答次第では、今後の関係に亀裂が入ってしまう。


「いえ。私は気に致しません」

「ふっ。俺もだ。俺自身、奴隷に落ちる一歩前の生活をしていたしな」

「…………(こくっ)」


 ヴィルナ、キリヤ、ロロは奴隷に偏見を持っていないようだ。

まあ、ヴィルナとキリヤは、この街のやや貧しい区域の住民だしな。

それに、ロロは孤児院育ちだ。


 他のみんなの意見も確認したが、特に大きな偏見や差別意識を持っている者はいなかった。

組分けを再整理しておこう。


 ミリオンズ組:俺、ミティ、アイリス、モニカ、ニム、ユナ

男性組:セバス、キリヤ、トリスタ、ニルス、ネスター

女性組:レイン、クルミナ、ヴィルナ、ヒナ、ロロ、クリスティ、ハンナ、シェリー、リン


 ミリオンズ組が先に入るのは確定。

男性組と女性組は、日によってどちらが先に入るか変わることになる。


「風呂に入るのなんて、ずいぶんと久しぶりだねえ。ゴホッ」

「そうだな。以前、ソーマ騎士爵家にお邪魔したときに、入らせてもらったとき以来だ。ゲホッ」


 シェリーとネスターがそう言う。

相変わらず、肺の調子は悪そうだな。


 まあ、今すぐに命に別状があるわけでもない。

今日はゴタゴタしている。

近いうちに治療魔法をかけてあげることにしよう。


 まずは、風呂だ。

最近では感覚がマヒしつつあるが、男のロマンである混浴だ。


 そして、その後では男組と女組がそれぞれ入浴する。

ゆったりとリラックスしてもらって、疲れを取ってほしいところだ。

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