【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1520話 vs桜花七侍・雷轟

公開日時: 2024年9月28日(土) 12:06
文字数:1,185

「桔梗! 助けに来たぞ!!」


 俺は叫ぶ。

 稽古場の奥に位置する雷轟の私室。

 そこに、桔梗はいた。

 彼女は縄で縛られており、身動きが取れないようだ。


「た、高志くん……!?」


「無事だったか、桔梗。良かった……」


 俺はほっと胸を撫で下ろす。

 見たところ、乱暴された様子はない。

 服ははだけているが、それだけと言えばそれだけだ。


「ふはっ。こいつは驚いたな」


 雷轟が部屋の奥から姿を現す。

 年齢は30代~40代くらいか。

 彼の服装はかなりゆったりとしたものだ。

 完全にリラックスモードだったらしい。

 彼は余裕の表情を浮かべたまま、言葉を続ける。


「まさか、本当にここまで来るとは……。流浪人風情にしては大したものだ」


「……お前が雷轟だな? 世間話をするつもりはない。桔梗を返してもらおう。拒否するのならば殺す」


 俺は言う。

 すると、雷轟は愉快そうに笑った。


「くくくっ。いきなり『殺す』とは、物騒な奴だな。あまり強い言葉を使うなよ……弱く見えるぞ?」


「世間話をするつもりはないと言ったはずだ」


「わざわざ殺されに来たのか? それほど、この小娘にご執心というわけか」


「うるさい。桔梗は俺の師匠だ。武神流を教えてもらうことで、俺の剣術はさらなる高みに登れる。彼女を失うわけにはいかない」


 話をするだけでは埒が明かない。

 俺は刀を抜く。

 それを見て、雷轟は嘲笑した。


「はっ! そんな小さな棒切れで儂の相手が務まるかな?」


 そう言って、雷轟は傍らから巨大な武器を手に取る。

 それは巨大な金砕棒だった。


「お前の剣術がどれほどのものか、儂が直々に見極めてやる」


 雷轟は言う。

 やはり、戦うしかないようだ。

 俺は無言で頷く。


「た、高志くん……!」


 桔梗が叫ぶ。

 彼女は泣きそうな顔をしていた。

 そんな彼女を安心させるように、俺は微笑んで見せる。

 そして、雷轟に対して油断なく刀を構えた。


 これで3人目の桜花七侍との戦闘だ。

 彼はどういった戦い方をするのか……。

 慎重に見極める必要がある。


「来ないのか? ならば、こちらから行かせてもらうぞ!!」


 雷轟は金砕棒を振りかぶる。

 彼からこちらまで、まだ距離がかなりある。

 いったい何を仕掛けてくるつもり――


「【雷轟六卦】」


 雷轟は呟く。

 すると、超速で雷轟は間合いを詰めてきた。


「ッ……!!」


 俺は咄嗟に刀を構え、防御の体勢を取る。

 だが、間に合わなかった。

 金砕棒による重い一撃が俺を襲う。

 俺の体は吹き飛び、壁に叩きつけられた。


「ぐっ……!」


 衝撃に耐えつつ、俺は記憶を思い起こす。

 今の技は、どこかで見たことがあるような……。

 記憶はおぼろげだが、冒険者活動をしている中で知り合った武闘家やオーガの少女戦士が使っていた気がする。

 しかし、威力や速度はそれらより遥かに上だった。

 俺は壁に叩きつけられたまま、しばらく動かない。


「誰が……誰を『殺す』って? 身の程知らずが……」


 雷轟はニタリと笑う。

 そして、床に倒れる俺に向かって歩み寄ってくるのだった。

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