【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1150話 つい倒してしまったけど【北部side】

公開日時: 2023年9月20日(水) 12:27
文字数:1,565

 ゴブリンの群れに襲われているリンドウ北部。

 たまたまリンドウに居合わせたユナとトミーが駆けつけた。

 2人の実力――特にユナの火魔法があれば、ゴブリンキングだって大きな脅威ではない。

 しかし、それは周囲の被害を考えない場合の話だ。


「ふふん。のんきなものね……。私が来たことで安心しきっているのは、嬉しくもあり、微妙な気分でもあるわ」


 ユナが呟く。

 彼女の周囲には、街の住民たちがいた。

 彼らは逃げようとしていない。

 Bランク冒険者にして『魔弾』の二つ名を持つユナが登場したことで、安心しきっているのだ。


「ユナ様の火魔法では、街に延焼するかもしれやせん。住民も熱狂しちまってますし、ここは俺の風魔法でバランスを崩させつつ――あっ!? え……?」


 トミーが突然、狼狽した様子を見せる。

 彼が視線の端で捉えたのは、ケガをして倒れている女性の姿だった。

 その女性は、少し前に『緑の嵐』に加入した新メンバーだ。

 トミーが慌てて駆け寄る。


「お前、どうしてここに!? 休憩所で休んでいたはずだろ!?」


「トミー……あんただって同じじゃない……。街に魔物がなだれ込んできたなら、冒険者として加勢するのが当然でしょ……」


「だがよ! お前は今、まともに戦えるような状態じゃ……」


 彼女はフレンダの元パーティメンバーであり、Cランク冒険者だ。

 実力としてはトミーと同格。

 だが、諸事情によりその戦闘能力は一時的に落ちていた。

 結果として、ゴブリンの群れを相手にした乱戦の中、手痛いダメージを追ってしまったようである。


「くっ……。ゴブリンキング……! お前だけは絶対に許さない!! お前だけは……絶対に!!!」


 トミーはゴブリンキングに向き直る。

 そして、彼の体から闘気が溢れ出した。


「くたばりやがれっ!!」


 トミーが放つ渾身の一撃。

 そこらの魔物なら、一撃で屠れるほどの一撃だ。


「ゴギャアアアァッ!」


 しかしゴブリンキングは違った。

 その一撃は致命傷にはなっていない。

 それどころか――


「ちっ! やべぇな……」


「グルアアァッ!!」


 ゴブリンキングが反撃に移ろうとしている。

 大切な者を傷つけられ暴走状態だったトミーは、防御が疎かになっていた。

 そのままでは攻撃をくらってしまうところだが――


「ふふん。しっかりしなさいよ。――【ファイアーウォール】」


「ゴブゥッ!?」


 ゴブリンキングは、ユナが発動した火の壁により足止めされる。

 その火力は驚異的だ。

 まともに当たれば、ゴブリンキングにも致命傷を与えるだろう。


 しかし、さすがに一瞬で灰にできるほどではない。

 巨体が燃え盛っている状態で最後のあがきをされたら、街に被害が出るリスクがある。

 そのため、ユナはあくまで妨害までにとどめた。


「ギャギャッ!! グルッグッグ!!!」


「いっちょ前に、状況を理解しているようね? あんたの推測通り、私は下手に火魔法で攻撃できないわ。街も大事だし」


 ユナの火魔法はリンドウの街全体を燃やしかねない。

 それほどまでにユナの火魔法の威力は高いのだ。

 もちろん、気をつければ被害を最小限にとどめることはできるのだが……。

 ゴブリンキングぐらいの魔物が相手となると、着弾後の最後のあがきが計算しづらいのも事実だ。

 少なくとも、建物の1つや2つは燃えてしまう可能性が高い。


「グルルルォオオオオッ!!」


「ふふん。でもね? あんたの命運が、それで復活したわけじゃないのよ?」


「グギャッ!? ――ギャオォッ!!??」


 ゴブリンキングの首が飛ぶ。

 ユナではない。

 彼女も剣は使えるが、メインは火魔法である。

 トミーでもない。

 彼は武闘をメインに、風魔法でサポートしつつ戦うスタイルだ。


 ならば、誰がゴブリンキングを倒したのか?

 それは――


「おっと……。つい倒してしまったけど、別に良かったんだよな? ユナ、それにトミー」


 タカシだった。

 彼の持つ剣が、ゴブリンキングの首を一撃で切り落としていたのであった。

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