【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1393話 リーゼロッテ純愛ルート 貴族

公開日時: 2024年5月24日(金) 12:05
文字数:1,714

 数か月後――


「ええっ!? り、リーゼロッテさんって、お貴族様なんですか!?」


 俺は驚きの声を上げる。

 現在、俺とリーゼロッテさんはラーグの街から出る馬車に乗っていた。

 Bランクパーティの認定を受けた『蒼穹の担い手』は、次なる街へと旅立つことが決まったのだ。

 依頼の段取りの関係で、この馬車に乗っているのは俺とリーゼロッテさんの二人のみ。

 その道中で、リーゼロッテさんが貴族の娘だということを打ち明けられたのである。


「ええ、実はそうなのですわ」


 リーゼロッテさんが言う。

 リーゼロッテさんって、偉い人だったんだな……。


「ご、ごめんなさい! 俺、今まで失礼なことを……」


「お気になさらないで。わたくし、貴族の娘だからといって特別扱いされるのは嫌いですの。今まで通りに接して下さると嬉しいですわ」


「そ、そうですか……」


 俺は安堵の息をつく。

 どうやら、これまでどおりの関係でいられるようだ。


「しかしですよ? リーゼロッテさんが貴族なら、ひょっとして他のパーティメンバーの方々も貴族だったり……」


「いえ、違いますわ。まぁ、貴族とまったくの無関係ではありませんが……」


「無関係ではない……というのは……」


「彼らはわたくしの護衛騎士ですの。パーティリーダーのコーバッツが、筆頭護衛騎士ですわね」


「な、なるほど……」


 俺は納得する。

 貴族の私兵であれば、冒険者としても一流なのも納得だ。


「しかし……どうして俺に打ち明けようと思ったんです?」


 俺は尋ねる。

 隠したいことの一つや二つ、誰にでもあるだろう。

 それをわざわざ教えてくれたのだ。

 何か理由があるのだろうか?


「ふふっ……。実はわたくし、タカシさんのことが大好きなんですの。タカシさんが望むなら、わたくしはタカシさんの妻になってもよろしいと思いまして」


「えぇっ……!?」


 俺は素っ頓狂な声を上げる。

 このお姉さんはいきなり何を言い出すんだ!?


「り、リーゼロッテさん……。あなたは高貴な身分でしょう? 俺なんかと……」


「あら、身分差なんて気にしませんわ。わたくしは長女ですが、兄が二人いますし……。当主を継ぐことはありません。それに、わたくしが好きになったのは、他でもないあなたなんですもの」


 リーゼロッテさんが言う。

 俺はごくりと唾を飲み込んだ。

 彼女の好意は本気らしい。


「ねぇ、タカシさん……。わたくしをお慕いくださいまして……?」


 リーゼロッテさんが耳元で囁く。

 彼女の甘い香りが、俺の鼻腔をくすぐった。


「え、えっと……その……」


 俺は返答に詰まる。

 そんな俺に対し、リーゼロッテさんは妖艶な笑みを浮かべた。

 こんな笑みを見せられたら、俺が返せる答えなんて――


 …………。

 ……いや、待て。

 彼女の企みが分かったぞ。


「リーゼロッテさん、あのですね」


「はい?」


「よだれが垂れてますよ」


「あらあら、失礼しましたわ。タカシさんの創作料理を想像すると……思わず……。……じゅるり……」


 リーゼロッテさんがよだれを拭う。

 そう、彼女は食いしん坊なのだ。

 俺は日本から来た転移者なので、この世界にはない料理の数々を披露していた。

 特にマヨネーズが好評だったな。


「でも、料理だけが狙いではありません。わたくしからタカシさんへの愛は本物ですわ」


「しかしですね……」


「ねぇ、タカシさん……。わたくしと夫婦になりましょう? ラスターレイン伯爵家は継げませんが、分家としてなら貴族の地位を得ることができますわ。タカシさんの水魔法は一流ですし、誰にも文句は言わせません」


「えっと……。その、何というか……」


 俺は返答に困る。

 これはもう、逃げたほうがいいかもしれない。

 そんな俺にリーゼロッテさんが顔を寄せてきた。


「お望みなら、わたくしの胸をいつでも触らせて差し上げますわよ?」


「そ、そんなことで俺は……」


「ご無理なさらないで。わたくし、気付いていますのよ? タカシさんがいつもわたくしの胸を見ていることに……」


「うっ!?」


 俺は動揺する。

 そんなの、バレていないと思っていたのに……。


「ふふっ、いいのです。好きなように見ていてくださいな」


 リーゼロッテさんが胸を突き出すようにして言う。


「うぅ……」


 俺は思わず胸を凝視してしまった。

 ああ……メロンみたいだなぁ……。

 俺はもう、ダメかもしれない……。

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