俺はオリビアの忠義度上げに取り組んでいる。
おっさんの急患を装い、治療院の個室ベッドに運んでもらった。
そこで、オリビアに好意を告げるが、拒絶される。
俺はそれでも強引に押し切ろうとする演技をして、彼女に襲いかかる。
(くっくっく。メイドの割に身体能力が高いとはいえ……俺の前では無力そのものだな)
俺はニヤニヤしそうになる顔を抑えて、オリビアを押し倒す。
オリビアの腕力は、古参メイドのクルミナやその他の新入りメイドよりも強いだろう。
オリビア、クルミナ、新入りメイドたちは、加護(微)までしか付与されていないからな。
加護(微)までしか付与されていないメイド勢という枠組みの中で言えば、彼女は敵なしだ。
ただ、それより上の加護を付与されている者や、そもそもメインが戦闘職の者と比べると、やはり劣る。
チートの力は凄まじい。
ミリオンズよりもオリビアの身体能力が劣るのは半ば当然として……。
ハーフドワーフで幼女鍛冶師のロロあたりと比べても、オリビアの腕力は弱いように思う。
「くっ……。なんて力なのですか……! やめなさい!!」
抵抗むなしく、オリビアはベッドに抑え込まれた。
とても悔しそうな表情をしている。
(ふっふっふ……! 俺という強敵を前に、手も足も出ないようだな!!)
俺は心の中で笑う。
そして、そのまま彼女の服の下に手を伸ばした。
(はぁ~。オリビアとの関係も、ついに進展するときが……)
俺は感慨にふける。
――ん?
いやしかし、ちょっと待てよ……?
一瞬、オリビアの衣服を剥く手が止まる。
(これ……治療院でやることか……?)
冷静に考えて、やっぱりおかしいだろう。
いくら忠義度のためだとはいえ、こんな真似をする必要があるのだろうか?
せめて幻惑魔法『ミラージュ』を解いて、自分本来の姿で襲うべきかもしれない。
今の俺の姿は、謎のおっさんだ。
このままでは、自分で自分を寝取っているような気分になってしまう。
冷静になれ、俺。
ここは一旦深呼吸だ。
「すぅ~……ふぅ……」
「……?」
俺の行動を怪しむオリビアの視線が痛いが、俺は気にしない。
そして、俺が気合いを入れ直そうとした瞬間――
「ふっ!!」
「な、何っ!?」
急に、オリビアが気合の声を上げた。
それと同時に、俺はバランスを崩してベッド上に倒れ込む。
(いったい、何が起こったんだ……?)
俺は困惑する。
必死に状況把握に努めるが――
「ぐはっ……!」
股間に強烈な衝撃。
さらには、背中への強烈な打撃。
「言い残すことはありますか?」
「ぐふっ、ぐっ……」
そして、俺の耳元でオリビアの冷たい声。
混乱する頭の中でも、俺は瞬時に理解した。
(今の金的と打撃は……オリビアが放ったものだ……!!)
間違いない。
この痛みと快楽は現実だ。
オリビアの腕力はさほどでもない。
だが、技巧は別だ。
俺が力を抜いた隙をついて、オリビアは素早く抜け出して俺に反撃したようである。
今の彼女は、俺を背後から押さえつけている形だ。
しかも、左手は短刀を持って俺の首筋に当てており、右手で俺の男根を握って離さない。
俺は完全に背後を取られている。
簡単に動けるような状況ではなくなっていた。
(しまった……! 油断した!!)
俺は内心で舌打ちをする。
戸惑っている間にも、オリビアは淡々と俺へ勧告してくる。
「あなたの目的は何なのですか? 私を手籠めにして、ハイブリッジ男爵家に取り入る気でしょうか? それとも……深い意味はなく、単なる劣情から私へいかがわしいことをしようとしただけなのでしょうか?」
(ぐっ……)
オリビアの声には、感情がこもっていない。
彼女は俺に対する警戒を解いていないようだ。
「答えなさい。後者であれば、強制労働で済ませてもいいですが……。前者であれば、万死に値します」
(くそっ……ここは一旦退くべきか……)
俺はそう考える。
しかし、オリビアは俺の答えを待たずに手に力を入れた。
「うっ……!」
彼女の左手にある短刀により、俺の首に若干の切り傷が入る。
併せて、右手の男根を握る力も増す。
痛みと快感が同時に襲ってくる!
こ、これは反則だ……!!
「答えないのですね? なら――!」
彼女の左右の手に、さらなる力が込められていく。
左手の短刀が俺の首筋を傷つけ、右手が俺のモノを握りつぶさんとしてくる。
これはマズい……!!
俺は焦りを感じ始める。
首の外傷は、この際どうでもいいが……!!
このまま股間に力を加えられ続ければ、俺は社会的に致命傷を受ける可能性がある。
何とか挽回しなければ……。
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