【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1415話 呼び方

公開日時: 2024年6月15日(土) 12:49
文字数:1,342

「なるほど……。高橋様は、桜花城に用があるのですか……」


「ああ。俺の記憶の手がかりがそこにある……かもしれない」


 俺はイノリに答える。

 今は俺、イノリ、カゲロウの3人で話し合っていた。

 他の面々は俺の『エリアヒール』によって回復しており、日常に戻っているはずである。


「桜花城には、強力な結界が張られています。外部の者はそう簡単には侵入できません」


 イノリが真剣な表情で言う。

 俺は首を傾げた。


「結界か……。俺の剣で斬れないかな?」


「き、斬る? そんなことは不可能……いえ、高橋様ならもしかして……」


 イノリがブツブツとつぶやく。

 記憶があやふやなのだが、俺はなかなかの強者だったらしい。

 イノリやカゲロウの様子からも、それは推測できる。


「ところで、イノリに一つ言いたいことがある」


「は、はい……?」


 イノリが緊張した面持ちでこちらを見る。

 俺はそんな彼女を真正面から見据えた。


「『高橋様』って、他人行儀じゃないか? どうせなら、『旦那様』とか呼んでみないか?」


「な……っ!? そ、そんな不埒なこと……」


 イノリが頬を赤らめる。

 そんな初心な反応に、俺は思わず興奮してしまった。

 イノリの肩に手を置くと、顔をグッと近づける。


「いいじゃないか。俺は君を愛している。何も問題はないはずだ」


「も、問題だらけです! 私たち、出会ってまだ一日も経っていないのですよ? そんな人をいきなり『旦那様』だなんて……」


「時間など関係ないさ。俺たちの愛の前ではな」


 俺はイノリに言う。

 彼女にも、カゲロウと同じく加護(微)を付与できている。

 決して嫌われているということはないだろう。


「で、ですが……」


 イノリがモジモジとしながら言う。

 そんな彼女に、俺はさらに顔を近づけた。

 そして、耳元で囁くように告げる。


「イノリが懇願するから、処女だけは奪わずに済ませたんだぜ? 愛する君のため、将来を考えて行動したんだ」


「う……うぅ……」


 イノリが顔を真っ赤にする。

 俺はそんな彼女の頭を撫でた。


「だから、な? 『旦那様』と呼んでくれ。それだけでいいんだ」


「で、でも……。私は巫女として、地下遺跡を守護していく義務があります。結婚など……その、まだ早いというか……」


 イノリが俯いたまま言う。

 その話を出されると弱いな……。

 余所者の俺には、イノリが背負っているものの重さが分からない。


「なら、せめて『高志』と名前で呼ぶぐらいはしてほしい」


「は、はい……」


 イノリは恥ずかしそうに頷くと、俺に身を寄せる。

 そして、ゆっくりと口を開いた。


「高志……様」


「いい子だ」


 俺は思わず彼女を抱きしめる。

 イノリは抵抗せず、むしろこちらに腕を回してきた。

 俺はそんな彼女の唇にキスを――


「ええい! 何をしておるか!!」


 しようとしたところで、カゲロウが間に割って入ってきた。


「むっ……邪魔をしないでくれ」


「黙っていられるものか! 高志殿の今後の話をしていたのに……。いい加減にしてくれ! そもそも、私というものがありながらイノリ殿にまで手を出すなんて……!」


 カゲロウが涙目で叫ぶ。

 彼女は床に両手をつくと、がっくりとうなだれた。

 俺はそんな彼女に優しく声をかける。


「すまないな。だが、俺はカゲロウのことも愛しているぞ」


「高志殿……」


 カゲロウが顔を上げる。

 そんな俺たちを見て、今度はイノリがため息をつくのだった。

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