【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1529話 軟弱なことに興味はない!

公開日時: 2024年10月7日(月) 12:41
文字数:1,406

「いずれにせよ、無月が協力してくれて助かるよ。とても嬉しい」


「ふん……。配下にわざわざ礼を言うとは、もの好きな主だな」


 無月がぶっきらぼうに言う。

 だが、おそらくは照れ隠しだろう。

 この数日、ずっとこんな感じで接してきた。

 忠義度は微増を続けており、加護(微)は付与できている。

 桜花城攻めまでに加護(小)を付与できるかは微妙なところだが、基本的にはこういった接し方で間違いはないはずだ。


「金剛と雷轟の様子はどうだ?」


「当面は問題ない。俺の奥義……『虚影転写の術』が効いているからな」


「それは良かった」


 無月の奥義、虚影転写の術。

 偽の記憶を植え付けるこの術により、金剛や雷轟は『謎の道場破りに敗北した』ことになっている。

 これでしばらくは安全だろう。


「しかし、主よ」


「なんだ?」


 無月が鋭い視線で俺を射抜いてくる。


「貴様、本当に桜花城を攻め落とすつもりなのか?」


「……ああ」


 俺は頷く。

 無月は『正気か?』とでも言いたげだ。


「それが俺の目的に合致するのでな」


「……詳しくは聞かん。俺を含めた3人の桜花七侍を単独で倒した貴様なら、きっと成し遂げるのだろうからな」


 無月はそれ以上追及してこない。

 彼女なりに俺の実力を評価しているのだろう。


「だが、桜花城を攻め落とした後のことは考えているのか? 個として強いだけでは、乱世を生き抜くことはできんぞ」


「それは……。まぁ、そのときはそのときだ」


 俺は無月の指摘に、言葉を濁す。

 藩主になれば、まずは税を軽くしてあげたいな。

 だが、財政のバランスの問題もある。

 その他、周囲の藩、将軍派、女王派などとの力関係も知らないし……。

 具体的には、どうなっていくか分からない。


「不必要な混乱を避けるために、金剛や雷轟を生かしておいたんだ。俺が藩主になっても、引き続き桜花七侍には働いてもらうさ」


「そうか。それは重畳だな。俺もまた、表舞台に戻れるというわけだ」


 無月はにやりと笑う。

 碓かに、それもいいだろう。

 彼女が仲間に始末されそうになったのは、隠密部隊のルールによるものだ。

 俺がトップに立てば、そのあたりはどうとでもなる。

 しかし……


「ふっ。別に、働き続ける必要もないんだぞ?」


「何? 俺を閑職に追いやるつもりか?」


 無月が鋭い目で睨みつけてくる。

 おっと、言葉足らずだったな。

 誤解されてしまったようだ。

 俺は言葉を続ける。


「女としての幸せを掴むのも悪くないってことさ」


「なっ……!?」


 俺の言葉に、無月は頬を赤らめる。

 彼女の意外な反応に、俺は虚を突かれた。

 てっきり、『女扱いするな』と激怒するかと思ったのに。


「無月は美人なんだし、俺としては大歓迎だ。元気な子どもを産んでくれ。共に幸せに暮らしていこう」


「な、な、何を言うかと思えば……。俺はそのような軟弱なことに興味はない!」


 無月は赤面して叫ぶ。

 うーむ……。

 無月は美人でスタイルもいいし、その気になればかなりモテると思うんだけどな。

 彼女はそういうものを望んでいないのだろうか。

 若くして桜花七侍に任じられたぐらいだし、これまでは仕事一筋だったのかもしれないな。

 もう少し押してみよう。


「なぁ、そう言わずにさ……」


「ゴホン! お、俺は……少し休憩させてもらう!!」


 無月は叫ぶ。

 彼女はそのまま速足でその場を立ち去っていった。

 そんな彼女を見送りながら、俺は呟く。


「なかなか可愛いところもあるな。……ん?」


 俺の侍装束の袖が、くいっと引っ張られた。

 俺はそちらへと視線を向ける。

 そこにいたのは……

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