俺はピンチに陥っている。
襲われているエレナを助けたつもりだったが、それは勘違いで彼女は襲われてなどいなかった。
犬に懐かれて少し過剰なスキンシップを取られていただけだったのだ。
俺は犬を蹴り飛ばした上、エレナのスカートの中でペロペロしまくってしまった。
エレナ、犬、ワワワワンの男たち……。
俺はこの集団からボコボコにされる未来が見えている。
どうにか逃げ切る方法はないものか……?
「お、俺が悪かったです、エレナさん! ちょっとした勘違いだったんです! 許してください!!」
俺はそうまくし立てる。
とりあえず、土下座だ!
俺は地面に這いつくばる。
「はぁ!? 冗談じゃないわ!! 勝手に勘違いしたあげくに、可愛いワンちゃんを蹴り飛ばすなんて……!!」
エレナは相当に怒っている。
その怒りはもっともである。
だが、彼女のセリフから若干の突破口を見つけた気がした。
「エレナさんが怒っているところは、そこですか?」
「はぁ……? 他に何に怒るっていうのよ?」
「いや、その……。俺からスカートの中をペロペロされたこととか……」
俺が恐る恐る尋ねると、エレナは目を丸くした。
そして、すぐに顔を真っ赤にする。
「そ、そう言えばそうだったわね! 私もハレンチなことをされたわ!! べ、別に気持ち良くなんてなかったんだからね! 勘違いしないでよ!!」
エレナが慌てている。
やはり、俺の舌使いは通用していたようだな。
舐めたのは太ももあたりだったが、それでも十分にマッサージ的な効果があったらしい。
これは良いぞ!
このチャンスに、話題を逸らそう。
「ふっふっふ。素直になってくださいよ、エレナさん。――いや、エレナ」
「な、何よ? というか、ちゃんと敬語を使いなさいよ。――あ」
俺は立ち上がり、エレナに顔を近付ける。
そして、彼女の顎に手を当ててクイッと持ち上げた。
「エレナ……。素直になれよ? 俺にペロペロされて、本当は気持ち良かったんだろ?」
「ううぅ……。そんなわけないでしょ! あんたみたいなカス――駄犬に舐められて、気持ち良くなんかなかったわ!!」
エレナが悔しそうに言う。
俺は、彼女の性格がかなり掴めてきた。
プライドの高いツンデレである。
この様子を見るだけで、本音が透けて見えるようだ。
「おや? 強情だな。――それなら」
俺は周囲を見渡す。
ワワワワンの男や犬が俺を睨んでいるが、まだ襲ってはこない。
依頼主であるエレナから俺への詰問を邪魔しないつもりらしい。
「くくっ! お利口だな」
俺はニヤリと笑う。
そして、エレナに顔を近付けた。
「な、何をするつもり? それ以上近付いたら……」
「黙れ」
俺はエレナに顔を近付ける。
そして、そのまま彼女の唇を奪った。
「んんっ!?」
突然のキスに驚いたのだろう。
彼女は目を見開いたまま硬直した。
その隙を狙って、俺は彼女の口内を蹂躙する。
「んんんっ!?」
エレナが驚きのあまり、ビクリと身体を震えさせた。
彼女は俺の腕の中で暴れているが、大した力ではない。
俺は構わずにエレナの唇を貪り続けた。
しばらくたってから、俺はエレナを解放する。
「ぷはっ!? はぁ……はぁ……」
エレナが荒い息を整える。
頬が紅潮しており、瞳が潤んでいる。
「エレナ、正直に言ってごらん。本当は気持ち良かったんだろう? ん?」
「はぁ……はぁ……。ば、馬鹿にしないで!! 私はあんたみたいなカスに――」
「正直に言ってくれれば、次に再会するときはもっと気持ちのペロペロをプレゼントしてやるぜ?」
俺は彼女の耳元に口を寄せ、囁いてやった。
すると、エレナの瞳が揺れる。
「う……うぅ……! そ、それは……。でも、私の貞操はタカシ様に捧げる予定で……。ああ……」
よし!
もう少しで陥落しそうだ。
「さあ、言ってみろよ。気持ち良くなかったのか?」
俺はエレナの耳元で囁き続ける。
彼女の耳が真っ赤に染まった。
「き、気持ち良かったです……。気持ち良くて、頭が変になりそうでした……」
「ははっ! 正直でよろしい」
俺はニヤリと笑い、エレナの頭を撫でた。
彼女は気持ち良さそうに目を細める。
ふむ……。
少し強引だったが、これでエレナもあと一歩になったか。
「さて、これでお前の気は済んだだろう?」
「え……? あ……!」
俺はエレナから離れて言った。
彼女が寂しそうな様子を見せる。
一方、ワワワワンの男や犬たちはポカンとしている。
次は彼らの困惑や怒りを鎮めつつ、この場を去るとするか。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!