【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1324話 おみそれしました

公開日時: 2024年3月15日(金) 12:33
文字数:1,373

 俺は宴の最中、ネプトリウス陛下と話をしている。

 何やら、俺へのお礼を考えてくれているらしい。

 俺としては、『ヤマト連邦の近海まで連れて行ってもらえること』と『海神石を譲ってもらったこと』で十分なようにも思える。


「いや、しかしな……。それらは、例の件の直後に決めた取り急ぎの礼だ。まだ足りぬ。他にも何か、礼をせねばならぬだろう」


 ネプトリウス陛下は言う。

 彼の言うことにも一理あるか……。

 大きな手柄を立てた者への褒美は、時間をかけて慎重に決める必要がある。

 しかしそれはそれとして、その場で何らかの褒美を暫定的に与えることもあるだろう。

 感謝の気持ちというのは、早く伝えるのが大切だからな。


「でしたら、一つお願いしたいことがあります」


「ほう……。それは何だ?」


「メルティーネのことについてです」


 俺は周囲に人がいないことを確認し、そう告げた。

 聞かれて困ることでもないが、大っぴらに話すことでもない。


「メルティーネとな……?」


 ネプトリウス陛下は怪訝な顔をする。

 俺は続けた。


「俺は彼女を愛しています。俺たちのことを応援してくださると嬉しいですね」


「なんだ、そんなことか」


 ネプトリウス陛下は笑う。

 そして、こう言った。


「貴殿がメルティーネを妻に取るというならば、祝福しよう。国王としても、父親としてもな」


「ありがとうございます」


 俺は一礼する。

 ネプトリウス陛下は続けた。


「もちろん、メルティーネが貴殿との婚姻を拒むならば話は別だが」


「はい。それは本人とよく相談してみます」


 俺はうなずく。

 メルティーネが俺に好意的であることは、彼女の態度や行動から明らかだ。

 だが、さすがに結婚となると慎重にならざるを得ないだろう。


「……ところで、それほどあっさりとご許可をいただいてよろしいのですか? 自分で言うのも何ですが、俺はどこの馬の骨とも知れぬ人族ですよ?」


「ふむ。確かに、恩人というだけでは躊躇するところだが……。貴殿はただの恩人ではなく、大恩人だからな。それに……」


「それに?」


「貴殿ほどの傑物であれば、人族の中でも相応の地位にあるはず。余の見立てでは、『ナイトメア・ナイト』というのは偽名だろう」


「……おみそれしました。さすがはネプトリウス陛下。そこまで見抜いておられたとは……」


 俺は素直に称賛する。

 俺はメルティーネと初めて出会ったとき、『ダダダ団』の首領リオンと戦闘中だった。

 そのときの流れで『ナイトメア・ナイト』と名乗ったため、人魚の里でも同じ名前で通していたのだ。

 これからヤマト連邦への潜入作戦が控えているという事情もあり、あえて本名を明かす必要はないと思っていたのだが……。

 ネプトリウス陛下は、すでに俺の背景に気付いていたようである。


「偽名を用いていた無礼、平にご容赦ください。俺の本当の名前は――」


「よい」


 俺の言葉を遮るように、ネプトリウス陛下は言った。


「貴殿のことだ。何か事情があるのだろう? 例えば、これから重要な使命が控えている……とかな」


「…………」


 鋭い。

 鋭すぎる。

 やはり一国の王は違うな。

 絶対に偽名を貫きたいほどではないが、できれば本名を隠しておいた方が万全なのも事実だ。

 ここはお言葉に甘えるか。


「貴殿から無理に聞き出そうとは思わない。余に真の名を告げるのは、種族間で正式な友好関係を結ぶ際で構わぬ。ただ、これだけは約束してくれ」


 神妙な面持ちで彼が告げたのは――

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