チュンチュン。
朝になったようだ。
窓から小鳥の囀りが聞こえる。
俺とモニカ、ニムの3人は同じベッドで目を覚ました。
3人とも生まれたままの姿で横になっている状態である。
昨夜は結局、4回戦までやってしまった。
(さすがに疲れた。しかし同時に、スッキリした気分でもある)
やはり体力の差だろうか。
2人はまだ寝息を立てており、起きる気配はない。
今日は朝からオルフェス内で諸用を済ませる必要があるので、そろそろ起こさないといけないのだが……。
(このまま眺めていたい気もするなぁ……)
そんなことを考えながら、俺はしばらく2人の寝顔を眺めていた。
2人とも美少女だ。
しかも魅力的な素晴らしいプロポーションをしている。
特にモニカのスタイルの良さは群を抜いていると思う。
背が高く、足は細くて長く、腰回りもキュッと締まっている。
それでいて胸はそこそこ大きく形が良いため、とても目の保養になるのだ。
そんなことを考えつつ眺めていると、視線に気付いたのかモニカが薄目を開けた。
「……んん~? あふぅ……」
寝ぼけ眼のままあくびをするモニカ。
可愛らしい仕草だな。
「おはよう、マイハニー」
俺は笑顔で挨拶した。
「……おはよ、たっちゃん」
眠そうに返事をするモニカ。
まだ意識がハッキリしていない様子だ。そんな様子も可愛らしく思える。
俺は手を伸ばし、そっと髪を撫でた。
サラサラしていて触り心地がいい。
「えへへへ~」
嬉しそうに笑う彼女を見ていると、俺も嬉しくなってくる。
いつまでも撫でていたい気分だな。
そんなことをしていると、今度は反対側から声が聞こえた。
「……むぅ……うるさいですね……」
どうやらニムも起きたらしい。
もぞもぞと動く気配が伝わってくる。
「おはよう、ニム」
「……おはようございますぅ……」
ニムは相変わらず寝覚めが悪いな。
まだ目がトロンとしているぞ。
そんなニムも可愛くて仕方ないんだがな。
よし、頭をナデナデしてやろう。
「よしよし……」
「……ふぁ……あぅぅ……」
ニムの頭撫でていると、だんだんと目が冴えてきたらしく、表情がしっかりしてきた。
「よし、目が覚めたようだな」
「は、はい……ありがとうございます」
ニムは照れくさそうに微笑んだ後、ハッとした表情になり、慌てて周囲を見回した。
そして自分の格好を確認して赤面している。
(相変わらず可愛い反応だなぁ)
ついつい頬が緩んでしまう俺だった。
そんなやり取りをしている俺たちだったが、いつまでもこうしているわけにはいかない。
「まずは朝食だな。ええっと、ここって朝食付きだっけ?」
「あれ? そう言えばさっちゃんは何も言っていなかったね?」
俺とモニカは首を傾げる。
宿泊料金にどこまでのサービスが含まれているかは、宿屋によって異なる。
「い、言っていなかったということは、付いていないのでしょうか?」
「普通に考えればそうだが……。あんな珍しい魔道具付きのスイートルームなんだし、実は付いているのかもしれないぞ? さっちゃんが言い忘れていただけとか」
ニムの言葉を受け、俺はそう答える。
サーニャちゃんは13歳。
なかなかしっかりした娘だと思うが、たまにうっかりミスをしてしまうこともあるだろう。
俺の『アイテムボックス』には弁当なども収納しているので、朝食が付いていなくとも大した問題ではない。
だが、仮にサーニャちゃんの丹精込めて料理を作ってくれていたとして、俺たちが弁当を食べてその料理を食べられなかったらどうなるだろう?
金銭的な損失は大したことない。
しかし、若いながら健気に働いている彼女が少しばかり落ち込んでしまう可能性はある。
それを考えると、安易に弁当で済ませるのも良くない。
「よし、俺が確認してこよう!」
俺はベッドから降りて立ち上がった。
「待ってよ、たっちゃん。その格好で行くつもり?」
モニカがジト目で俺のことを見てくる。
それはそうだろう。
今の俺は全裸だからだ。
「おっといけない! 危うく変態になるところだったぜ……」
俺は足を止め、アイテムボックスから服を取り出そうとする。
「兄さん、アレの出番じゃないですか?」
「ん……? ああ、そうか! アレがあったな!」
俺は思い出した。
この部屋には、通信の魔道具が設置されていることを!
それを使えば、このスイートルームからサーニャちゃんに連絡を取ることができる。
「えっと、確かここをこうして……」
俺は通信機のスイッチを入れる。
するとすぐに応答が返ってきた。
『こちらサーニャですにゃ!』
「ああ、さっちゃんさん。確認したいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
『もちろん大丈夫ですにゃ! お答えできることなら何でもお答えしますにゃ!』
「ありがとうございます! 朝食の件なのですが……」
『朝ごはんですにゃ?』
「はい。ほら、昨日は朝食について何もおっしゃっていなかったと思いまして。朝食付きなのかどうなのかと……」
『あっ! 忘れていましたにゃ! すみませんにゃ……』
「いえいえ、大丈夫ですよ。それで、どうなんでしょう?」
『もちろん付いていますにゃ! スイートルームは特別ですにゃ!』
おお、やっぱりそうだったか!
これで一安心だな。
「了解しました。では……」
『あ、ちょっと待ってほしいですにゃ!』
通信を切ろうとしたら呼び止められた。
何だろう?
何か言い忘れたことでもあるのか?
「何でしょう?」
『濡れタオルのサービスもありますにゃ。今からそちらにお持ちするのでお待ちくださいにゃ!』
「ああ、朝もいただけるのですね。ありがとうございます」
ぶっちゃけ、タオルも水も自分で用意できるので不要だ。
しかし、断ると無用な注目をされる可能性がある。
このあたりは、昨晩と同じ感じだな。
『それでは少しばかりお持ちくださいにゃ!』
そう言って通信が切れた。
とりあえず、食事については問題ないことが確認できたな。
「朝食は付いているってさ。その前に濡れタオルを持ってきてくれるそうだから、身支度を整えておこうぜ」
俺はモニカとニムにそう声を掛ける。
その後は朝食をいただいた後にチェックアウトだ。
我ながら完璧な計画である。
オルフェスでの諸用に向けて、完璧なスタートが切れそうだ!
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