【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1364話 タカシ=シルヴェスタ『セイント・スタイル』

公開日時: 2024年4月25日(木) 12:08
文字数:1,131

「――ぐっ!? ま、またか……」


 俺は再び我に返る。

 ここは古代遺跡。

 俺は並行世界の幻影と戦っているところだ。


「どうだ? アイリスのみを真摯に愛せば……こんな未来もあり得たんだぞ!!」


「ぐぬっ……」


 俺は歯噛みする。

 アイリスとのラブラブ結婚生活。

 俺の脳内に、幸せな家庭が思い浮かぶ。


 幻影たちは、単純に戦闘能力が高い。

 その上、どういう仕組みか俺に並行世界の記憶まで見せてくる。

 肉体と精神のダメージにより、俺は追い詰められつつあった。


「ふっ……。そろそろ終わりにするか……」


 幻影が身構える。

 俺は、そんな幻影を睨みつけた。


「いや……終わらせない」


 俺は闘気と聖気を全身に漲らせる。

 そして、全力の拳撃を幻影に叩き込んだ。

 だが――


「その程度か?」


「何っ……!?」


 幻影は、俺の攻撃を受けてもビクともしていなかった。

 俺は思わず後ずさる。

 そんな俺に、幻影は告げた。


「この程度の実力でこの俺を倒せるとでも? 聖闘気の出力がまるで足りんな」


「バカな……! なんだその聖闘気の量は!?」


「俺は……タカシ=シルヴェスタ『セイント・スタイル』! 徒手空拳の近接戦闘において、俺の右に出る者はいない!!」


「ぬうっ!?」


「くらえっ! 【聖・砲撃連拳】ん!!」


 幻影の俺は拳の連撃を繰り出す。

 速い!

 凄まじい連撃だ。

 まるでガトリングガンのような拳が、俺を襲う。


「ぐあっ!!」


 俺は吹き飛ばされた。

 そして、壁に叩きつけられる。


「ぐっ……」


「どうだ? これほどの武闘……。お前には到達できない領域だろう」


 幻影の俺は、俺を見下ろしながら言い放つ。

 悔しいが、その通りだ。

 俺には武闘で彼以上の実力はない。

 ミリオンズ内でも、アイリスの方が強かったしな……。


「確かに、まともに武闘で戦っては勝ち目はない……。なら、距離を取るまでだ!」


 俺は即座に体勢を立て直す。

 いろんな女性を救い仲を深めるため、俺は様々なスキルを伸ばしてきた。

 悪く言えば、彼らの言う通り器用貧乏だ。


 鍛冶に特化した『スミス・スタイル』、聖闘気を活かした武闘に特化した『セイント・スタイル』……。

 2人の得意分野で戦ってしまえば、勝ち目はない。

 ならば、剣をしまい、武闘を封印すればいい。

 俺には他の戦闘手段もある。

 器用貧乏とは、言い換えれば多種多様な局面に対応可能ということだ。


「ははっ! 逃がすと思ったか?」


「なにっ!?」


 俺は背後に殺気を感じる。

 幻影の俺が、いつの間にか俺に肉薄していた。

 いくら何でも速すぎる……。

 移動速度だけなら、武闘特化の幻影よりも速いぞ!?


「【術式纏装・雷天霹靂】だ! そしてくらえっ!! 【ワン・オー・セブン・マシンガン】ん!!!」


 幻影のキックが俺に迫る。

 雷属性を帯びた強烈な連撃だ。


「ぐああああああっ!!」


 俺は絶叫する。

 そして、その場に崩れ落ちたのだった。

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