【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1551話 vs樹影【紅葉side】

公開日時: 2024年10月29日(火) 12:12
文字数:1,347

「……? 動いてきませんね」


「やりづらいな。どういう理屈で浮いているんだ、あれは?」


「……『血統妖術』と言っていた。おそらく、門外不出の妖術を使っているはず。予測は困難……」


 戦闘態勢に入った3人娘は、樹影の行動に警戒する。

 彼女の妖術により、一度は撃破された蒼天、夜叉丸、巨魁の体が宙に浮いている。

 具体的には、地面から30センチほど。

 攻撃しようと思えば普通に届く距離だが、安易な攻撃をためらわせる雰囲気もある。


「ふふっ。あははははっ! さぁ、踊り狂え!! 【傀儡術・八雲之舞】!!!」


 樹影が叫ぶ。

 同時に、宙に浮かされていた蒼天たち3人が激しく動き始めた。

 まるで操り人形のように勝手に動いている。

 その動きは、人体としての限界を超えたものだ。


「な、なんだ!? これは!!」


「くっ……速い! 植物妖術の詠唱時間を稼ぐ隙が……」


「……駄目。対人剣術の常識が通じない……!」


 流華、紅葉、桔梗の3人は、暴走する3人を相手に劣勢となった。

 明らかに油断し手加減してくれていた前の戦いとは違う。

 そして同時に、油断せずに正面から全力を出しているわけでもない。

 3人の動きは変幻自在で奇々怪々。

 予測が難しく、また速すぎてこちらの攻撃が当たらないのだ。


「く、くそっ! てめぇら、卑怯だぞ! 一度は負けたくせに……!!」


 流華が蒼天たち3人に文句を言う。

 だが、そのの声は届かない。


「無駄だ! このひよっ子どもは、私の支配下にある! 精神性は甘っちょろくとも、それなりに鍛えられてはいるからな! これが有効活用というものだ!!」


 樹影が勝ち誇る。

 彼女の『血統妖術』は凄まじく、3人の体を完全に支配しているようだ。


「くっ……! このっ……!!」


「……出し惜しみはなし。全てを出し尽くす……!!」


「オレだって、何とか突破口を探してみせるぜ!」


 紅葉、桔梗、流華が奮闘する。

 彼女たちはタカシの加護(小)の恩恵を受けている。

 能力面での急激な成長に実戦経験が追いついておらず、突発的な事象への対応力はまだまだだ。


 だからこそ、戦いの中で成長する余地がある。

 そのはずだ……。

 だが、樹影の『血統妖術』が、3人の成長を上回っていた。


「くくっ。目の前の相手だけに気をとられているな? 私への警戒が甘いぞ」


「なにっ!?」


「青二才を操って高みの見物をしている……とでも思ったか? そんなわけがなかろう。――【天華封陣】!!」


 樹影が唱える。

 次の瞬間、紅葉たちの周囲の地面に謎の紋様が現れた。


「な、なんだ……!?」


「くっ……! 動けない……!」


「……これは、まさか結界!? 男たちが動いた軌跡が、妖術の陣に……!」


 紅葉たちが焦る。

 3人娘の周囲が緑色に光り輝いている。

 その光は、紅葉たちの体にまとわりつくように動き……。


「あ……」


「お……」


「う、うぅ……」


 3人の体から力が抜けていく。

 樹影の妖術により、力が封じられているのだ。

 ほどなくして、彼女たちは完全に脱力し、そのまま地面に倒れてしまった。


「わははははっ! 無様だなぁ、小娘ども!! 私のことを『おばさん』と呼ぶからこうなるのだ!!」


 樹影が高笑いする。

 3人娘は辛うじて意識を保っているものの、立ち上がることができないでいた。


「く……。こんな妖術があるとは……。た、高志様……」


 紅葉が最後にそう呟く。

 だが、その声が高志に届くことはなかった……。

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