【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1037話 タカシ様…助けて【エレナside】

公開日時: 2023年5月30日(火) 12:07
文字数:2,116

 ダダダ団のアジトの一室にて、幹部のヨゼフが『三日月の舞』に手を出そうとしている。

 まずはエレナがピンチに陥ったが、それを見たルリイとテナが必死に体当たりをした。


「……ちぃ。面倒な奴らだな。この状況で動けるのかよ」


「な、何やってるのよ2人とも! 私のことはいいから!」


「んんっ!」


「んーっ!」


 エレナの言葉を受けても、ルリイとテナは引き下がらない。

 四肢を拘束されたまま、身を捩るように動かしてヨゼフへ体当たりを行っている。


 美しい仲間愛だと言っていいだろう。

 マフィアに捕まり完全に無力化された状態で、自分を犠牲にしてでも仲間の救出を優先する。

 彼女たちはまさに冒険者としての鏡のような行動を取っていた。

 ただ一点。

 その抵抗に、時間稼ぎ以上の意味がないことを除いては。


「はははっ! 健気だな。感動的な場面じゃないか」


「くぅ……」


「……よし、決めたぜ。まずは金髪の嬢ちゃんを可愛がってやる。女に生まれたことを後悔させてやるぜ。その後で、順番に残りの奴らも抱いてやる。だが、腹パンで言うことを聞かせるだけってのも芸がねぇな」


 ヨゼフが舌なめずりをする。

 彼はエレナは暴力で屈服させるつもりのようだが、残りの2人はまた別の方法を取るつもりらしい。


「へへ、決めたぜ。お前はこの木馬に跨がれ」


「んんっ?」


 ルリイは、ヨゼフによって強制的に木馬に跨がらされた。

 彼女の手は縛られてしまっているため、股間に全体重が掛かってしまう。

 幸い、接触面はさほど鋭利ではなく、ケガをするほどの負担はないが……。


「苦しみたくなけりゃ、俺が金髪女を楽しんでいる間に改心しておくんだな。そうでなきゃ、足に重りを増やしてやるからな。さて、まずは小手調べに1キロの重りからだ」


「んんーっ!!」


「やめて! お願いだからやめてっ!!」


 ルリイのピンチにエレナが声をあげる。

 だが、ヨゼフは聞く耳を持たない。

 彼は重りと共にルリイを木馬にセットすると、次はテナの方に視線を向ける。


「お前は……そうだな。正座でもしてもらうか」


「んっ?」


「おっと、『ただ正座するだけ』とでも思ったか? 甘いぜ。お前が正座するのは――この砂利の上だ」


 ヨゼフが用意していた砂利をばら撒く。

 アジトの一角に、小石や砂が散らばったエリアができたことになる。

 彼はテナの体を掴むと、そこに連れてくる。


「んんっ!!」


 テナは嫌がる素振りを見せる。

 だが、ヨゼフは容赦なく彼女を砂利の上に正座させた。

 さらには、重りを持ってきて――


「おらよっ! これも追加だ!!」


「んんんっ!!!」


 正座しているテナの膝に、その重りを乗せる。

 ただ正座するだけでも、体の固い者にはキツイ姿勢だ。

 小石や砂がばら撒かれた地面の上での正座は、さらに辛い。

 そして今、テナは重りを乗せられてしまっている。

 彼女が受ける苦痛は大きい。


「へへっ。お前もちゃんと改心しておくことを勧めるぜ? でないと、重りを増やすからな」


「…………」


 テナは苦しそうな表情を浮かべながらも沈黙を貫く。

 弱いところを見せれば、仲間に心配を掛けてしまうと考えたからだ。


「さて、では始めるとするか。――いや、待てよ? そういやお前もいたなぁ? 魔導工房の若き店主さんよぉ?」


「ひっ!?」


 ヨゼフが部屋の一角に視線を向ける。

 そこには、拘束された一人の少女がいた。

 彼女は『三日月の舞』のメンバーではない。

 サーニャが営む『猫のゆりかご亭』の隣にある魔導工房の店主である。

 いや、正確に言えば元店主だ。


 彼女はダダダ団の策略により借金漬けにされて工房を奪われ、こうして身柄すら押さえられていた。

 秘密造船所責任者のゴードンが魔導回路を依頼していたのは彼女である。

 本来であればその確かな腕により、タカシの『ヤマト連邦への秘密潜入作戦』に貢献しているはずであった。


「へへっ。そう警戒するなって。お前には手を出さないよう、ボスに言われているんだ。その魔道具関係の腕前にはボスも一目置いているんだぜ?」


「わ、わたしはあなたたちなんかに手を貸したりは……」


「ま、焦ることはねぇ。今から俺はコイツら3人を楽しむからよぉ。その後も考えが変わっていなけりゃ、その時考えるさ。くくっ!」


「くっ……」


 ヨゼフはエレナの方へと向き直る。

 絶体絶命のピンチだ。

 エレナたちの冒険者人生もこれまでかと思われた。


(タカシ様……助けて……)


 エレナがタカシ=ハイブリッジ男爵の顔を思い浮かべる。

 平民から貴族に成り上がった英雄。

 短期間でBランク冒険者になり、やがてはAランク――いやSランクにも到達できるのではないかと噂される人物。

 そんな彼の顔が脳裏に浮かぶ。


 ――もっとも、彼女視点ではタカシに会ったことはないという認識なので、その顔は美化された架空のものだが。

 エレナは目を閉じ、祈るような気持ちで憧れの人のことを考えていた。

 その時だった。

 ドゴオッ!


「なにっ!?」


 凄まじい破壊音と共に、部屋の中に土煙が舞う。

 ヨゼフやエレナは、突然の出来事に目を見開いた。


「ちっ! なんだってんだ!?」


「あ、あれは……?」


 部屋の中の光景が一変した。

 壁が崩れ、瓦礫の山となっている。

 そして、その穴の向こう側には――


「我らはダークガーデン。闇に潜み――闇を狩る者」


 黒装束に身を包んだ者が立っていたのだった。

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