【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1028話 招かれざる客

公開日時: 2023年5月21日(日) 12:09
文字数:1,593

「あー、さっきはちょっとやり過ぎたかもなぁ……。反省反省……」


 俺はベッドの上で独りごちる。

 先ほどの一件は、我ながら性欲に負けすぎていたと思う。


「とはいえ、後悔はしていない。だって、サーニャちゃんは可愛いからな」


 俺は天井を仰ぎながら、そう呟く。

 彼女はぜひとも俺の女になってもらいたい。

 俺の地位や資金力をもってすれば、彼女一人ぐらい増えたところで問題はない。

 ただ、今の俺は正体を隠した冴えない男だ。

 既にモニカとニムを侍らせていることは知られているし、愛を伝えたところで応えてくれるかは微妙だな。


(ヤマト連邦の件を片付けてから、改めてアプローチするのが無難か……?)


 俺は今後の方針について考える。

 とりあえず、今は目の前にある課題をどうにかしなければならない。

 それは……オルフェスに巣食う『ダダダ団』の排除だ。

 奴らが悪さをしている影響で、隠密小型船の完成が遅れている。

 隠密小型船がないと、ヤマト連邦への潜入作戦を実行に移せない。

 そのためには、ダダダ団を潰しておかなければならない。


「『三日月の舞』は無事なんだろうか……?」


 彼女たちは、率先してダダダ団を潰しに向かってくれた。

 Cランクパーティの彼女たちは強い。

 ダダダ団も弱くはないだろうが、所詮はマフィア。

 たかが知れている。

 本当に強いのであれば、冒険者として活動して富や名声を得つつ、ワンチャンの叙爵を狙っているはずだからだ。

 Bランク、あるいはCランクでも特別表彰者クラスなら間違いなくそうした方がトータルで得だ。


「まあ、心配はいらないか。エレナたちなら大丈夫だろう」


 仮に何かあったとして、考えなしに助けに行くことはできない。

 下手に動くと、『ハイブリッジ男爵がオルフェスに滞在している』という噂が広まりかねないからだ。

 動くとしても、準備を整えてからになる。


「とりあえず脳内で作戦でも練っておくか。――ん?」


 俺はふと気配を感じた。

 間違いない。

 侵入者だ。


(ふむ……。気配はダダ漏れだが、足音を隠す努力の形跡はある……。そこそこの手練れか)


 俺が今いる場所は、『猫のゆりかご亭』のスイートルームだ。

 ダダダ団の一件があったため、俺以外の客には引き払ってもらったとサーニャちゃんから聞いている。

 足音を隠す素振りがあるし、少なくとも迷い込んできた一般客の可能性はゼロだ。

 同時に、気配自体はダダ漏れであることからして、高ランク冒険者や熟練の騎士の線も薄い。

 つまり、ほぼ間違いなくダダダ団の構成員であり、俺あるいはサーニャちゃんを狙っているのだと思われる。


(――【気配遮断】)


 俺は気配を殺し、身体能力を活かして部屋の天井付近に貼り付いた。

 これなら、侵入者が入ってきてもすぐには俺を見つけられないだろう。

 そして、そのまま相手の出方を窺った。

 すると、ドアのノブがガチャリと回る。


「……」


 扉の向こうの人物は、『俺が侵入者に気付いていること』に気付いていないようだ。

 やはり、ボチボチ程度の実力に留まるな。

 素人ではないが、熟練者でもない。


 ギイィ……。

 ゆっくりと扉が開かれる。

 そして、そこから3人の男が姿を現した。

 彼らは注意深く部屋の中を見回すと、口を開く。


「おい、ここが例の部屋だよな……? 誰もいねえじゃねえか」


「確かにこの部屋で合ってるはずなんだがな」


「無駄口を叩くな。――見ろ、ベッドの上に膨らみがあるぞ。寝てるのかもしれねえ」


「へへへ……。のんきな野郎だぜ。まさか、この俺たちが忍び込んでくるとは夢にも思っていないんだろうな」


 男たちが下卑た笑い声を上げる。

 彼らはいずれも黒い衣服に身を包んでおり、一目でその筋の人間だと分かる。


「よし。じゃあ、さっさとやっちおうぜ」


「ああ。念のため、全員で一斉に刺すぞ」


「分かってるっての。任務は完璧に遂行しないとな」


 男たちは懐に手を入れ、短剣を取り出す。

 それをベッド上にある膨らみに向けて構えると、躊躇いなくそれを突き刺したのだった。

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