【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

728話 賭博場入り

公開日時: 2022年7月23日(土) 12:19
文字数:2,466

「さあ、地下の賭博場に案内する気になったか?」


「チッ……。誰がてめぇなんかに……」


「じゃあいいさ。自分で探すから」


 千やキサラからの情報、そしてこのチンピラたちの反応からして、この酒場から地下へ下りる手段があるのはほぼ確実だ。

 どこかに隠された階段でもあるのだろう。

 後は探せばいいだけだ。


 俺は気配察知術レベル2、視力強化レベル1、聴覚強化レベル1など、探知系のスキルも持っている。

 頑張ればきっと見つかるさ。

 ミティ、ナオミ、ネスター、シェリーたちも手伝ってくれるだろうし。

 俺はそんなことを考えつつ、地下への階段を探し始める。


「おっ! ここから音が聞こえるな」


「なにっ! まさか、兄貴が……」


「兄貴?」


 俺が聞き返したときだった。

 バンッ!!

 床の一部が勢いよく開き、そこから大男が現れた。

 上半身裸で、筋肉隆々といった感じだ。


「ほう。地下への通路はそこにあったか。わざわざ教えてくれるとは、丁寧なことだ」


「……お前が招かれざる客か」


 大男は俺を睨みつける。


「そこを通らせてもらおう。それとも、力ずくで押しとおるか?」


 俺は一応、そう問い掛けた。


「兄貴! そんな野郎はぶち殺してください!」


「兄貴が来たならもう安心だ!」


 他のチンピラたちが叫ぶ。

 こいつはボスではなさそうだが、兄貴と慕われているからにはそれなりに強いのだろう。


「やるか? 俺としてはそれでも構わない」


 俺は戦闘態勢を整える。


「…………」


 大男は無言のまま、こちらを睨む。

 そして、口を開いた。


「いや、案内しよう」


「いいのか? 子分どもの手前、そんなに簡単に引き下がっちゃ格好が付かないだろ?」


「別に構わん。勝てない奴に勝負を挑むほど、俺は愚かじゃないつもりだ。自殺願望はない」


「ふーん。まあ、どっちでもいいけど」


「それに、金ぐらいは持っているんだろう?」


「ああ、この通りさ」


 俺は金貨100枚以上が入った袋を掲げて見せる。

 賭博場に潜入する以上、見せ金は必要だろうと思って用意しておいたのだ。


「わかった。こっちに付いてきてくれ」


 そう言って、大男が歩き出す。

 俺、ミティ、ナオミ、ネスター、シェリーはその後に続く。

 チンピラたちは、兄貴分が実力行使に出ると思っていたらしい。

 少し拍子抜けという顔をしていた。


「ミ……ベティ、少し暗いぞ。足元に気をつけてくれ」


「ありがとうございます! タカ……ターキース様!」


 俺とミティは、互いに偽名を使って声を掛け合う。


「ほら、ナオミちゃんも」


「あ、ありがとうございます。助かります」


 俺はミティとナオミに手を貸しつつ、階段を下りていく。

 え?

 ネスターとシェリーには手を貸さないのかって?


 ネスターは大事な配下ではあるが、男だ。

 男は自分で何とかしろ。

 生命の危機ならさすがに助けるが、足元が暗い程度で俺が手を貸すのもそれはそれでキモいだろ。


 一方のシェリーは女性なので俺が気を配ってもいいのだが、彼女にはネスターというお相手がいる。

 長年冒険者として活動を共にしてきたそうだし、お互いの身を案じて共に奴隷に堕ちたほどの仲だ。

 俺が入り込む余地はない。


「(ベティ、ターキース……。聞かない名だな……。こいつらはいったい何者なんだ?)」


 先導する大男が小声でそう呟いたのが聞こえた。

 俺たちが偽名を使っているのは、一応正体がバレないようにするためだ。

 まあ、こんなふうに正面から乗り込んでおいて今さら感はあるが。


「ここだ」


 しばらく階段を下りると、そこには大きな扉があった。

 大男がその前に立ち、ノックをする。


「俺だ。『蛇は闇夜に蠢く』」


 ギイィッ……。

 重厚な音を立てて、ドアが開かれる。

 大男が言った謎の文言は、符丁かな?

 厨二臭い合言葉だが、とやかくは言うまい。


「ほう……」


 地下室の内部を見て、俺は思わず声を上げた。

 そこはなかなかに広い部屋だった。

 天井からは小洒落たシャンデリアがぶら下がり、部屋の中央には高級そうなテーブルが置かれている。

 先客たちがギャンブルに興じている。


「赤の4だ」


「私は黒の7ね」


 ルーレット盤を囲んでいる男女もいれば……。


「おら、ストレートだ!」


「ぐっ! 俺はツーペアだ……」


 ポーカーに興じる男たちもいる。


「ようこそ。ここは我らの賭博場です」


 部屋に入ってきた俺たちに、一人の女性が話しかけてきた。

 20代前半くらいだろうか。

 かなりグラマーな体型の女性で、露出度の高い服を着ていた。


「あなたは?」


「申し遅れました。私はこの賭博場の案内人を務めさせていただいております、トパーズと申します」


「なるほど。では、早速案内してもらえるか?」


「かしこまりました。それではこちらへ……」


 案内人の女性に促され、俺、ミティ、ナオミ、ネスター、シェリーはカジノの中へと入っていく。


「お客様はどのようなゲームをお望みですか? ルーレット、スロット、ポーカー、ブラックジャック、バカラなど色々取り揃えてありますが」


 ポーカーやブラックジャックがあるのか。

 少し意外だな。

 この世界は娯楽分野が未発達だと思っていたが。

 さすがに王都ともなれば、それなりに娯楽があるらしい。


 まあ、厳密に言えば地球とは少しルールが異なるのだろうが。

 俺の異世界言語のスキルは、そのあたりをいい感じに翻訳してくれるのだ。


「そうだな……。まずは総支配人に会わせてもらえないか?」


 俺たちがここに乗り込んだのは、ギャンブルをするためではない。

 ボスを捕らえるためだ。

 もちろん実力行使で暴れてもいいのだが、現状では物証が足りない。

 この国において、賭博自体は違法じゃないからな。

 高額賭博か、あるいは詐欺とか恐喝の証拠を確保する必要がある。

 そのためには、ボスに接触するのがいいだろう。


「申し訳ございません。総支配人にお会いできるのは、限られた方のみとなっておりまして」


「そうなのか?」


「はい。こちらの場にて一定以上勝たれた場合にのみ、その権利が与えられます」


「ふむ。面白い趣向だな」


 俺は案内人の指差す方向に目を向ける。

 ルーレット、スロット、ポーカー、ブラックジャック、バカラなどに興じている者たちがいる。

 まずはギャンブルでこいつらを蹴散らし、荒稼ぎしてやることにするか。

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