俺は新たなミッションを得た。
それは『桜花城を攻め落とし、支配しよう』というものだった。
「桜花藩の総戦力はどれほどのものなのだろう? さすがに、サザリアナ王国並みというほどでもないのか?」
これまでのミッションは、無茶振りレベルのものはなかったように思う。
その傾向から考えると、桜花藩の総戦力は俺でも何とかできるぐらいのものかもしれない。
「ハガ王国や人魚の里レベルと同じか、それ以下の可能性が高そうか……」
一口に『国』といっても、その規模には差がある。
大国であるサザリアナ王国に対して、ハガ王国や人魚の里の規模は小さめだ。
俺でもワンチャン何とかできる程度だろう。
いや、別にハガ王国や人魚の里を攻め滅ぼすつもりなんて一切ないけどさ。
「適当な予想だが……国力において『サザリアナ王国=ヤマト連邦』で、『サザリアナ王国の貴族領=桜花藩』ぐらいの関係だろうか?」
俺の直感によると、それぐらいだと思う。
ならば何とかなるか……。
ラスターレイン伯爵家やソーマ騎士爵家が相手でも、今の俺なら何とかできる気がする。
いや、それは楽観的すぎるか。
彼らは彼らで、何かしらの奥の手とかを持っているかもしれないし。
それに、桜花には城がある。
城を攻め落とすとなると、単純な1対1での戦闘とはまた違った難しさがあるだろう。
「うーん……やはり、かなり厳しいか。でもまぁ、やるしかないんだけどさ」
俺は腕組みをして考える。
高難易度であることは間違いないが、報酬も魅力的だ。
なにせ、加護(大)が解放されるのだから。
俺には『加護付与』スキルがある。
最初期から持っている加護の効果は、『全ステータスの3割向上』と『スキルポイントを消費してスキルを取得・強化できる』だ。
付与には忠義度50という高いハードルを越える必要があるが、その効果はとても強力である。
そして、この世界に来て1年半ぐらいが経った頃、ミッション報酬によって加護(小)を付与する能力を得た。
その効果は、『全ステータスの2割上昇』と『所持スキルの内の最大3つのスキルレベルをそれぞれ1ずつ上昇』である。
効果はやや控えめだが、付与に要する忠義度は40でありハードルが下がった。
俺のハーレムメンバーや配下の多くは加護(小)を得ており、優秀になっている。
とても利便性の高い加護だと言っていいだろう。
その1年近くあと――今から9か月ほど前には、加護(微)を付与する能力も得た。
その効果は、『全ステータスの1割上昇』と『所持スキルの成長促進(微)』である。
効果はさらに控えめだ。
しかし、その分ハードルも下がっている。
しかも、通常の加護や加護(小)とは違い、条件を満たした者に自動付与される。
ハイブリッジ男爵領の少なくない民衆が条件を満たしており、領地の繁栄に地味ながらも大きな役目を果たしている。
加護付与スキルは、俺のチート能力の根幹である。
付与できる加護の種類が増えるのなら、ミッションに取り組まないという選択肢はありえないだろう。
前向きに考えていくしかないが……。
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