【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1640話 お館様ならそうした【レインside】

公開日時: 2025年1月27日(月) 12:10
文字数:933

「……と、こんな感じですね。『だるまさんが転んだ』の概要は理解できましたか?」


「なるほど……。チョコラテ・イングレスのことでしたか」


「あら……。似たようなものを知っておられるのですね。詳しく説明して損しました」


 女がニヤリと笑う。

 

「では、説明も終わったところで……さっそく勝負と参りましょう」


「……分かりました」


「だーるーまさんがー……」


「――【ワープ】!」


 レインが小声で呟く。

 次の瞬間、彼女は女性の背後へワープしていた。

 そのまま女性にタッチする。


「な……!?」


「はい、終わりました」


「ば、馬鹿な……! 近づいてくる気配なんて、微塵もなかったはず……!」


 女が狼狽している。

 レインは小声で転移魔法を発動していた。

 そのため、女は自分が負けた理由がすぐには分からなかったのだ。


「いや、ひょっとして今のは……。転移系の波長が微かに……」


「それでは、私は先を急ぎますので。失礼いたします」


 レインは何事もなかったかのように歩き出す。

 背後から声が聞こえるが、彼女はスルーした。

 だが――


「ま、待ちなさい!」


「…………」


「待って! いえ、待ってください!! 本当に待って!!」


「……はぁ」


 レインが振り返る。

 そこには、まだ女性が立っていた。

 まだ何かあるのだろうか?

 勝負前の取り決めでは、レインが勝った場合はそのまま通行してよいという話だった。

 その取り決めを破ろうというのだろうか?

 所詮は口約束のため強制力など何もないとはいえ、あまり褒められた行為でないことは確かだ。


「まだ、何か?」


「い、いえ……その……ですね……」


「はい」


「……あの……私たちに力を貸してくれませんか?」


「はい……?」


 レインが首をかしげる。

 力を貸してくれ……?


「一体、どういうことでしょうか?」


「……実はですね。私たちは今、危機に瀕しているのです」


「はぁ……」


 レインが訝しむ。

 通りすがりの人が困っていても、別に助ける義理などない。

 そんなことより、彼女が忠誠を誓うタカシの無事の方が何倍も重要だ。

 だが……


「いいでしょう。とりあえず、話だけは聞きます」


「あ、ありがとうございます!」


「礼には及びません。お館様ならそうした……。ただそれだけのことですから」


 レインが告げる。

 彼女が他のメンバーと合流するのは、少し先のことになりそうだ。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート